佐藤和孝「戦場でメシを食う」感想。
ドキュメンタリー。2006年10月27日読了。
佐藤和孝 /新潮社 2006/10出版 223p 18cm ISBN:4106101874 ¥735(税込)
1956年生まれの著者は、1980年(24歳)からフリージャーナリストとして、戦地など過酷な場所での取材を続ける気骨ある人。ニュース番組などに現地特派員として出ることもある。
数々の取材の中で、戦場でもメシを食わねばならぬ、ということをテーマに書かれたのが本書。
本書に出てくる取材地は、
・ソ連侵攻時のアフガニスタン
・9.11後アメリカが侵略したあとのアフガニスタン
・ボスニアヘルツェゴビナ
・ネズミ講で破綻したあとのアルバニア
・チェチェン
・インドネシアのアチェ
・イラク
この著者は、他にもマルコス政変時のフィリピンや、アルジェリアの内戦なども取材しているとのこと。よくもまあこんなに次から次へと危険地帯にばかり行けるなあ。命が惜しくないのか?と思っていたら、本書中に「人間はいつか、どこかで必ず死ぬ」と言うようなことが書かれていた。それを世間では「命が惜しくない」と呼ぶのだが。
まあそんなことはどうでもよくて、つまるところ本書の出来映えは如何なのかというと。
戦地での経験談が迫力ありすぎて、メインテーマの「メシを食う」が霞んでしまっている。
こんな中途半端なテーマで本を書く必要はないと思う。
日本のトップレベルの戦地ジャーナリストである著者から見た戦場体験談や、新聞やテレビが伝えない戦地の裏側をそのまま本にすれば、もっと迫力があり、もっと重みのある本が書けると思う。
未だ50歳ということは、これからも第一戦で取材をし続けるのだろうか。
私としては第一戦で取材しながらも、上質のドキュメンタリーをどんどん書いて欲しいところだ。
これからに期待したい。
6点/10点満点
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