ケビン・クローン・越智「英語リッチと英語プア」感想。
経済分析本(?)。2007年09月03日読了。
ケビン・クローン /光文社 2007/08出版 257p 19cm ISBN:9784334934170 ¥999(税込)
日テレの『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』に(も)出ているケビン・クローンの著書。
あの番組を見ているといつも思うのは、「太田光の理想的平和主義」 VS 「石破茂&ケビン・クローンが言うところのアメリカの庇護下にある日本」の議論は、番組の演出上の都合もあるのだろうけど、石破&ケビンの行っていることの方が正しく聞こえてしまう。でも、ケビン・クローンの喋り方は、あの甲高い声質も含めて、人をむかつかせるので、ケビン・クローンがどれだけ筋の通った主張をしても、世の中の多くの人は共感しないのだろうなあ。
本書も、あの調子でビシバシと否定しまくる(番組を見ていない人には分からないだろうけど)。
私はケビン・クローンが日本人であること(日米二重国籍)は知っていたけど、日本人であることを隠しているのかと思っていた。この本ではちゃんと「越智」という名字付きで出版されている。隠していたわけじゃないんだ。
さて、この本。
予想以上に面白い。
日本の英語教育の失敗の理由を、実に明快に指摘している。曰く、
・中高で6年間、大学行っていたら10年間も英語を授業で勉強していた
→期間は長いが、実は勉強量が圧倒的に足りない。
→毎日1時間、授業だけで勉強したとする。
1年の授業日数は240日くらい
1時間×240日=240時間(10日分)
1年かけてたった10日しか英語を勉強していない
・日本の教育機関が教えている英語は、「文章翻訳」のための英語で、読む(reading)書く(writing)聞く(hearing)喋る(speaking)いずれにも該当しない不毛な英語教育である。
→今の英語教育は、英語教師を失業させないためだけに存在する
・韓国や中国は英語教育に成功している。
→韓国LGはTOEIC900点が新卒採用のカットスコア
→韓国ヒュンダイはTOEIC800点がカットスコア
・「国家の品格」で英語教育よりも日本語教育といっていたけど、それは現実を無視しすぎ。(と、ケビンは書いているけど、本書の後半で、何語でも構わないけど何を喋るのかが重要、というようなことを書いているので、本質的には同じと思う)
嫌われ者のケビン・クローンが書いている本だから、素直に受け止められない人が多いのではないかと思いますけど、この本、かなり面白い。
9点/10点満点
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