大沢在昌「魔物・下」感想。
ハードボイルドホラー。2007年12月07日読了。
大沢在昌 /角川書店(角川グループパブリッ) 2007/11出版 326p 20cm ISBN:9784048737685 \1,680(税込)
12月6日に上巻を読み始めた。12月7日の出勤途中で上巻を読み終わり、昼休み、帰路、帰宅後もずっと読み続け、一気に下巻を読み終えた。
エンターテインメントに徹したと思われるこの小説、あまりに面白く、普段は通勤電車の中でしか本を読まない私が、久々に自宅でむさぼるように読んだ。つぼにはまった、ということだ。
あらすじ(紀伊国屋Bookwebより)
北海道の麻薬取締官・大塚に、ロシアと地元やくざとの麻薬取引の情報が入る。
現場を押さえるため万全の態勢で臨む大塚。
だが、ブツは押収したものの、麻薬の運び屋であるロシア人を取り逃がしてしまう。
ロシア人は、銃撃による重傷を負いながらも、警官数名を素手で殺害し、町へ消えてしまった。
あり得ない現実に、新種の薬物を摂取している可能性が考えられたが、犯人は逃走する際に一枚の絵を大事に抱えていたという。
この絵は一体何なのか?大塚はロシア人ホステス・ジャンナの力を借り、それがロシアの教会で百年にわたり封印されていたイコンであることを知る…。
消えた聖人画(イコン)が地獄への扉だった──。
恐怖の裏に張り付く憎しみの中でもがき格闘する男の姿を通し、人間存在の真理を問う、大沢ワールドの新境地!
あらすじ終わり
麻薬取締官の主人公大塚を軸としたハードボイルド小説なのかな、と思い読み始めたのだが、読み進むにつれ、ホラー小説であることがわかった。ハードボイルドを期待してしまうと肩すかしを食らうのかも知れないが、最近の大沢在昌は、SFっぽい舞台設定が多くなってきているので、おやぁ?とは感じたけど、最後まで飽きさせることなく、一気に読み終えてしまった。
このSFっぽいホラー設定を受け入れることができないと、イマイチに感じてしまうかも知れない。
ロシア人ホステス・ジャンナがやけに日本語上手いなど、都合のいい展開も多いし、ラストも好き嫌いがわかれるだろう。普段の私ならもうちょっと辛い点数をつけるのだが、久々に「早く次のページをめくりたい」という気持ちにさせてくれ、小説ってのはやっぱり楽しいのだなあ、ということを思い起こさせてくれたので、甘く高点数。
8点/10点満点
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