石井光太「神の棄てた裸体」感想。
ルポ。2007年12月17日読了。
石井光太 /新潮社 2007/09出版 310p 20cm ISBN:9784103054511 \1,575(税込)
「物乞う仏陀」でルポライターとして鮮烈なデビューを飾った石井光太の新作。
本書は、性に対して厳しいイスラム圏で、性がどのように扱われているかを、前作同様様々な国の底辺に行き、体当たり取材を敢行したもの。
・インドネシアの13歳の売春婦の話
・インドネシアでは、性器に焼けた石を突っ込まれてしまった東ティモール難民の乞食女の話
・パキスタンで男娼をしなければ生きていけない幼い兄弟の話
・ヨルダンの売春宿で売春をしているイラク難民の女性の話
・レバノンの金持ちの元で働くフィリピン人女性を相手にした占い師の話
・マレーシアに住むおかまのインドネシア人の話
・バングラデシュとミャンマーの国境近くで、子どもが金のためにさらわれる話
・イラン西部のクルド人の村で、戦争で足がな苦なってしまった女性を嫁にする一夫多妻の話
・ミャンマーに住む爺さんが語る、日本人兵に嫁が犯され、それがため嫁は姿を消し、残された子どもを育てている話
この本にはまだまだこういう話が載っている。
どこまでが本当でどこまでが作り話なのかと思ってしまうくらい、非現実的な、というか信じたくないようなリアルな現実が書き出されている。その圧倒される現実は、日本にいたら感じることができないものであるし、スーダンのダルフール紛争すらまともに取り上げることができないテレビや新聞などのマスメディアでは、石井光太が本書で書いているような内容はあまりに過激なため、取り上げることはないだろう。
著者石井光太は、一体いつまでこういうルポを書き続けることができるのだろうか。いつまでも書いて欲しいのだが、こういうルポを続けるとしたら、いつかどこかでのたれ死んでしまうのではないかと、いらぬ心配をしてしまう。
10点/10点満点
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コメント
読んでると痛くなる表現が多いです。
仏陀より、裸体のほうがいいかと思います。
次は何を書いてくるのかワクワクドキドキします。
投稿: 北野あり処 | 2008/06/27 23:59