長沼毅「死なないやつら」感想。
生物学。2014年02月04日読了。
ここ数年、テレビにも良く出ている学者の長沼毅(たけし)。蘊蓄の垂れ幅が広すぎて、いったい何の学者なんだろう? と思っていた。
生物学者でした。
(私は千原ジュニアがメインで出ている「ナダールの穴」というテレビ番組で初めて長沼毅を見た)
本書は、
2万気圧の中でも死なない生物や、
103℃の水で1分煮ても死ななかった生物や、
マイナス190℃に77時間耐えた生物や、
1440グレイの放射線を浴びせても死ななかった生物(人間は10グレイで殆どの人が死にます)、
など、死なない奴らの博物館的な本にしようと出発したみたいですが、筆者の実力がそこまで無かった、というかそこまで沢山のネタが無かったため、博物館的な本にはならず、死なない生物を話のきっかけにして、生物の不思議を語る本となっています。
まあ、おもろかったよ。
個人的には、チューブワームの不思議さについて、そこそこ詳しい解説が載っていたのでGOODです。
チューブワームは今のところ動物に分類されているが、消化器官を一切持っていない。つまり、全くものを食べない生物なのである。
チューブワームは海底火山の噴火口の近くにいる。チューブワームの先端はエラのような組織になっていて、(海底火山から出てくる)海水中の酸素と硫化水素だけを濾して体内に送る。体内には硫黄酸化細菌が棲み着いていて、硫化水素をイオウに酸化し、その時出てくる化学エネルギーと二酸化炭素から栄養を作る。
植物は光をエネルギーにして、二酸化炭素から栄養(炭水化物など)を作る。
チューブワームの体内にいる硫黄酸化細菌は、チューブワームの体重の70~80%に達する場合もある。
細胞内にミトコンドリアを持つのは動物。
ミトコンドリアと葉緑体を持つのは植物。
チューブワームは、動物でも植物でもない、新たなカテゴリーの生物なのかも知れない。
ってところはとても面白かったですよ(個人的にツボにはまった)。
7点/10点満点
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