池内恵「中東 危機の震源を読む」感想
中東分析。2016年11月27日読了。
2009年に出版された本。イスラム研究家としての池内センセの知名度が上がり、ISISが台頭してきた2015年に増刷になった。この手の本が出版から6年もたって増刷ってのは珍しいんじゃなかろうか。
本書は、新潮社の月刊誌フォーサイトに2004年から連載されていた「中東・危機の震源を読む」の53回分(約4年半)の原稿を連載順に並べたもの。フォーサイトは以前定期購読をしていたが、今は紙媒体はやめてしまってWebマガジン(基本有料、一部無料記事あり)になっている。国際情勢のエキスパートが数多く執筆していて、日本有数の優れた情報源。
本書を出版にあたって内容を再構成するなどは一切なく、単純に連載順に並んでいる。そのため前半部(書かれた時期が古い)(は「この先、○○国の政権は厳しい局面を迎えるだろう」的な文言が出てくるのだが、後の章(書かれた時期が新しい)で「やはりこのように事が進んだ」的な解説が出てくる。結果が分かっていることなので、読んでいてちょっとムズムズした。
全体的には、池内センセの目線を知る本、という印象。悪くはないんですけど、ムズムズするのです。
6点/10点満点
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