ドン・ウィンズロウ/峯村利哉訳「ザ・カルテル(下)」感想。<br />メキシコ麻薬戦争小説。2017年01月14日読了。
小説を読んだのは、麻野涼「死の臓器」2015年08月04日読了。2点。以来である。
下巻(約580ページ)は3日で読んでしまった。
先が知りたくて止まらない。そういう小説だった。
メキシコ麻薬戦争の(たぶんかなりリアルな)今を反映しているので、殺し方は残忍だし、まさかこいつが?!と思う連中が買収されているし、こいつらが手を組むのか!という展開もある。
セータ隊という国軍のエリートが作った麻薬組織が出てくるが、これはロス・セタスという実在の麻薬カルテルをモデルにしている。(ロス・セタスでググると超絶グロ画像がいっぱい出てくる→麻薬カルテルは敵対組織に恐怖を植え付けるため、惨殺した被害者を写真にとってネットにアップしている)
リアリティがありすぎて恐ろしいのだが、先を読まずにはいられない。たぶん全世界中の読者がそう思いながら読んだだろう。
ラストは好き嫌い分かれると思うが、私は嫌い。つまらない。
でもこの小説は、ラストは重要じゃない。本書では前作「犬の力」の後、2004年から2012年までの麻薬戦争を書いている。なぜメキシコはここまでひどくなってしまったのか、その過程を書き切っていることが本書の肝だと思う。
ちなみに、前著「犬の力」と本書「ザ・カルテル」を合わせて、リドリー・スコット+ディカプリオで映画化されるそうである。
9点/10点満点
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