坂本勉「トルコ民族主義」感想。
トルコ民族史。2017年06月02日読了。
現代トルコはどのようにして形成されていったのか。
本書ではそのルーツを言語、文化を中心に遡り、オスマントルコ(1299-1922年)ができる遥か前、中国の古文書に出てくる文言を参照し、現在のモンゴルあたりに住んでいた5世紀末のテュルク系民族「鉄勒」(てつろく)に祖を発し、そのテュルク系民族は中央ユーラシアに進出し「突厥」(とっけつ)となり、西暦1000年頃にイラン(セルジューク朝)、現在のトルコ・アナトリア地方に進出(ルーム・セルジューク朝)、
イランに移り住んだテュルク系(=トルコ系)民族は、言語としての完成度が高かったイランのペルシャ語を用い、イスラム教シーア派文化が発達、
アナトリアに移り住んだテュルク系民族は、ペルシャ語ではなくトルコ語を言語として発展させようという機運が生まれ、言語学者が奮闘し、トルコ語の完成度を高めていった。
イランの近くにあるアゼルバイジャンでは、更に別の系統の文化が進化し、
トルコ民族が、キリスト教国家であるアルメニアをどのように懐柔し取り込んでいったのか、
そしてオスマントルコが滅亡した後の現代トルコは、どのように国づくりを進めていったのか。
などについて書かれている。良書。
7点/10点満点
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