新田次郎「劔岳<点の記>」感想。
近代歴史小説。2017年12圧15日読了。
初めて劔岳の頂点を測量した測量官・柴崎芳太郎を主人公とした、測量の苦闘史(日露戦争の直後)。史実に基づく。
私は2014年まで法政大学地理学科(通信教育)で、測量を含めた地理学を学んでいた。
測量というのは、実在する地形(3次元)を、地図という2次元空間に落とし込むために必要な作業である。
本書は、通常なら3次元空間を図る測量という技術を、地図という2次元空間を経ることなく、文字という1.5次元空間に無理くり落とし込んだものである。
そのため測量に関する説明が多い。山の険しさに関する説明も多い。それらをくどく感じるほど説明しているため、人物描写が薄くなっている。
新田次郎作品は、どれも背景描写(本作の場合は測量そのものと測量技術の説明)にページが多く割かれ、人物描写が薄くなる傾向にある。とはいえ、新田次郎が取り上げるの題材(テーマ)はスケールが大きく、欠点を差し引いても魅力が勝り、多くの読者から絶賛されている。
本書も、つい最近映画化されている(といっても公開は2009年なので、もう9年も前)
悪くはないけど、説明が多くて多少興を削ぐ。そう感じた小説だった。
6点/10点満点
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