神林長平「敵は海賊・短篇版」感想。
SF小説。2017年12月30日読了。
神林長平は私より13歳年上の方である。(氏は1953年生まれ、私は1966年生まれ)
氏の著作が世に発表されだしたのは1979年からで、そのころ中学生で熱狂的SFファンだった私(※)は、氏の短篇(多分「狐と踊れ」)をSFマガジンで読み、なんとなくニューウェーブの旗手として認識していた。
※中学生のとき、書店で平井和正の「アダルト・ウルフガイ」を買おうとしたら、書店員のおばちゃんから「あなたがこれを読むの!?」と呆れた顔で聞かれてしまって、「これSF小説だよ」と言い返したけど、表紙がエロだったので書店員のおばちゃんは納得していなかったけど、何とか売ってもらった。書店員のおばちゃんがもうちょっと堅物だったら売ってくれなかったかもしれぬ。いまの書店は売上を上げるのに死に物狂いだから、有害図書であろうとなかろうと、買う子供に何も問わずに売るんだろうな。※閑話終わり
神林長平は1983年に「あなたの魂の安らぎあれ」と、「敵は海賊・海賊版」というSF小説を上梓した。私が工業高専の学生だった頃である。その世界観に熱狂した。
「あなたが一番好きなSF作家は誰ですか?」と問われたら、間髪おかずに「神林長平」
(&「星野之宣=世界最高のSFマンガ家です」)
と答える。
で、敵は海賊はシリーズになった。ネコ型異星人のアプロと、宇宙最強の海賊匋冥(ヨウメイ・シャローム・ツザッキィ)の物語である。ラテルは添え物なのでどうでもいい。
本作は2009年に出版された。
神林長平の(今のところ)いいところは、作中に出てくる技術に、まだ世界が追い付いていないことである。1980年代に書かれた下手くそな近未来SF小説だと、いまだにポケットベルが出てくる。著者の想像より、時代ははるかに先を行っている。こういう小説は哀れである。携帯電話(≠スマホ)を使ったミステリ小説も結構悲惨だが。
というわけで、「敵は海賊」シリーズは、30年間ずっと面白いのである。
6点/10点満点
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