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2018/09/22

服部正法「ジハード大陸 テロ最前線のアフリカを行く」感想。
ルポ。2018年06月12日読了。

◆内容(Amazonから引用)
「今そこにあるテロ」の現場を歩き、事件の歴史的・社会的背景を探るとともにジハーディストたちの真の姿に迫った戦慄のルポ!

イスラーム過激派がもっとも激しくテロ活動を展開しているのは、中東でもヨーロッパでもない。アフリカ大陸だ。たとえば、イスラム国(IS)が国家樹立を宣言した2014年にもっとも多くの人を殺戮したテロ組織はISではなく、ナイジェリアを中心に活動するボコ・ハラムである。西アフリカのマリでは2012年の一時期、アルカイダ系組織がフランスに匹敵する面積を支配下に置き、仏軍の介入を招く事態となった。アフリカはイスラーム過激派による「聖戦」の最前線なのだ。
本書は、毎日新聞ヨハネスブルク支局長としてジハーディストたちとそのネットワークを追い続けた著者による、四年に及ぶ取材の集大成である。アルカイダ系組織アルシャバブと軍が奇妙な共犯関係にあるケニア、無政府状態のソマリア、マリの砂漠、ボコ・ハラムが潜むナイジェリア北部のほか、あるテロリストを追う調査は北欧ノルウェーの田舎町にも及んだ。 被害の実態や事件の背景、歴史的経緯について詳しく言及しつつ、アフリカを舞台に暗躍するジハーディストたちの真の姿に肉迫した戦慄のルポ。高野秀行氏(ノンフィクション作家)推薦!

引用終わり


◆感想
著者は、1970年生まれ、NHK、テレビ番組制作会社を経て99年毎日新聞社に入社。
2012/4-2016/3、南アフリカのヨハネスブルク支局長。現在は毎日新聞外信部副部長。

毎日新聞のヨハネスブルク支局といえば、藤原章生氏、白戸圭一氏が在籍していた部署である。


まず最初に、本書は良い。

毎日新聞社に在籍しながらの活動なので、フリーランスの特派員や外国の特派員に比べると制限が多い。その中で、できるだけの取材をし、それをまとめたのが本書。

以下、着印象に残った部分。

(p33)
ケニアに比べて非常に安価なソマリア産の砂糖は、ケニアに密輸出されることで莫大な利益を生む。

(p67)
ソマリアの首都モガディシオでは、ホテルに入るのが容易ではない。ホテルの敷地から100mも離れたところに1か所目の警備ゲートがあり、そこでホテルと無線交信し、不審者ではないことを確認出来てから通貨を許される。

(p97)
米陸軍のニダル・ハッサン少佐が基地内で銃を乱射し、13人が死んだ。発散少佐は、アメリカ出身のアルカイダ幹部アウラキと何通もメールのやり取りをしていた。

(p124)
著者がマリの首都バマコに入った2012年8月、マリ北部はジハーディストに占領され、マリ政府軍にはそれを奪回する能力はなかった。(その後旧宗主国フランスが軍事介入している)

(p136)
マリに住むトゥアレグ人は、昔から反政府組織を作り活動していた。マリが大干ばつに襲われた1983-84年に、トゥアレグ人の傭兵部隊が大量に隣国リビアに移住し、その後、移住を認めてくれた恩義のあるカダフィ大佐の傭兵として雇われた。

(p174)
南米からコカインをヨーロッパに輸出する際、荷揚げ港として有名だったのがギニアビサウ。

(p254)
2014年7月、ボコハラムは、カメルーン北部で、中国人労働者やカメルーン副首相の妻らを拉致する事件を起こした。

などなど。


繰り返す。本書は良い。


8点/10点満点(良いのだが、企業に所属している以上行動に制限があり、そこが、この手の本を何冊も読んでいる私としては物足りない)

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