白川優子「紛争地の看護師」感想。エッセイ。 2020年12月31日読了。
国境なき医師団で世界各地に派遣されている看護師の実体験記である。
2006-2007年頃だったと思うが、私は国境なき医師団のロジスティシャンに応募して落ちた。英語力不足で。
なので国境なき医師団の活動については、世間一般人より知っている(応募したくらいだからねー)。
ボランティア精神に燃えた若い子がこの本を読んだら、感化されること必至。
とても良い内容だ。
だから私はあえて違う視点で物申す。
国境なき医師団の理念は素晴らしいが、世間的には赤十字(&赤新月)との区別がつかない。
その違いはなんだ?明確に説明すべきでは?
(国によって大きく違うが、日本の赤十字職員は常勤で給与をもらっている)
※まあ、国境なき医師団はNGO(非政府組織)、赤十字は(国に寄りけりだが)政府認可団体、って違いがある。
ロジスティシャンに応募した経緯を含め思うに、国境なき医師団では外国からのボランティアロジスティシャンの地位が低すぎる。下手すれば現地で雇ったロジスティシャン(現地語が喋れるし、現地の地方政治体制=誰に話を通せばうまくいくかを知っているので必要)以下の扱いになる。実力で現地採用より能力が低かったら、それは仕方のないことなのだが、じゃあ現地採用が国境なき医師団「本部」と連絡を取れるか(フランス語)と言ったら違う。フランス語を喋れる現地採用だったら、それはすさまじく優秀ってこと。
国境なき医師団で活躍する医師、看護師、助産師、ロジ、みんな使命感を持って活躍している。それは疑いようがない。本書でもそれは十分わかる。
だが、国境なき医師団は本当に崇高なのか?
毎年公開されている経理報告を見ても、現地活動に必要な賄賂を使途不明金とするのは理解できるが、それ以外の不明金が多すぎるような気がする。率直に言うと、国境なき医師団の事務スタッフとして働く人が多くなりすぎ、無駄な経費が生まれているんだろうね。
7点/10点満点
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