ウォルター・ブロック/橘玲訳「不道徳な経済学 転売屋は社会に役立つ」感想。2022年1月17日読了。
本書の原著は1976年(タイプミスではない)に出版された。
邦訳は2006年に橘玲氏が翻訳し講談社から出版(2011年に講談社+α文庫)。
私の手元にあるのは2020年に出版されたハヤカワ版で、訳者まえがきを新規追記、巻頭解説を全面改稿した版である。
政治に関する考え方として、
保守(コンサバ・右翼)
革新(リベラル・左翼)
という大雑把な区分けが標準的だが、実のところ定義はまちまちで、国によって異なる。
世界各国から見ると、日本の自由民主党は保守ではなく革新(リベラル)政党である。
アメリカでは、
保守(コンサバ・右翼)=共和党=2020年の候補はトランプ
革新(リベラル・左翼)=民主党=2020年の候補はバイデン
のどちらかが大統領になるので、この二つしか考え方(政党)が無いように見えるが、リバタリアン党という政党が1%強の票を獲得している。
リバタリアン党は「リバタリアニズム(完全自由主義・自由原理主義)」という信条を持つ党で、リバタリアニズムは究極のリベラル。本書の著者はリバタリアニズムの信奉者である。
P23(橘玲氏の巻頭解説)
リバタリアニズム
ひとは自由に生きるのがすばらしい。
リベラリズム
ひとは自由に生きるのがすばらしい。しかし平等も大事だ
本書は、著者がこのような心情を持っていることを前提に読むのが正しい。のだが、それほど堅苦しく考えなくても「ああ、うんうん、頷ける」という話(というか既存概念への論破)が多数出てくる。
一つ一つは短く書かれているので、非常に読みやすく、かつ面白い。良書
8点/10点満点
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