細野豪志著・開沼博編・林智裕取材構成「東電福島原発事故 事故調査報告」感想。2023年2月7日読了。
wikipediaより。細野豪志は29歳で衆議院議員に当選(民主党)、以降も当選し、2011年の大震災後、菅直人政権で原発事故の収束及び再発防止担当大臣、節電啓発担当大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)に任命され、初入閣。
野田政権後の選挙で民主党が惨敗し、民進党を経て無所属、のち2021年に自民党に入党。
(日本の政党の移り変わりは、教科書を作っていいる東京法令出版のここが分かりやすい)
第1章は、原発事故発生当時のキーパーソン6名との対話(文責細野)
第2章は、福島の復興に挑戦する6名の民間人との対話(文責開沼)
第3章は、原発事故発生時の政府責任者としての立場を振り返り、今後も残る6つの課題を提示(文責細野)
という構成になっている。
衆議院議員として活動しながら(2000年から8期連続当選)、自分の活動を振り返り、ここまで濃密な本を書けるのか!
細野豪志という政治家を見直した。
本書では以下のような提言がある
・処理水は一刻も早く海に流す。科学的に問題がないのだから、風評に負けて延々と先延ばしにするのは間違っている
・汚染された土(除染土)の中間貯蔵施設には希望がある。1mSVが独り歩きしている現状を変えなければ。
・被爆による健康への影響はなかった。福島の子供たちにだけ実施している甲状腺検査は(まだ継続しているらしい)もはや無意味。
・放射能の健康被害をことさら大げさに喧伝した科学者、マスコミ、芸術家、政治活動家は、むしろ風評の「加害者」である。(本書では明確な名指しはしていないが、原発の専門家面した京大の助手や、山本太郎、坂本龍一などを指していると読めた)
この本を出版することによって、細野豪志はかなり敵を作ったはずだ。
それでも出版したところに、政治家としての矜持を感じられる。
なお評点が7点の理由は、合計12名との対話がベースになっているため、同じ話題が何度も出てくる(福島イノベーションコースト構想や、除染土の中間貯蔵施設の話)。ここはどうにかできなかったのだろうか。
7点/10点満点
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