張平「十面埋伏・下」感想。
暗黒刑事小説(?)。2006年01月05日読了。

張平・ぢゃんぴん(じゃんぴん)・荒岡啓子訳
新風舎 2005/11出版 394p 20cm ISBN:4797483067 ¥1,890(税込)
正月を挟むんじゃなかった。
実質的に下巻は3日で読み終えた。上巻の途中からぐいぐいと引き込まれるストーリーは、下巻になっても勢いが衰えることはなく、最後まで続いた。正月を挟まず上下間を一気に読んでいたなら、もっと面白く感じたかもしれない。ちょっと惜しいことをした。
本書の内容は、突き詰めてしまえば至極簡単な話だ。
正義の志を持った主人公群が、凶悪犯と、癒着する大勢の役人で構成される黒社会の連中を、とことんまで追い込む、それだけの話だ。
それだけの話だが、丁寧に作り込まれたストーリー展開、上下関係やメンツに縛られながら行動する登場人物、貧富の差を象徴とした現代中国の暗部、などのディテールが、黒社会に引きずり込まれる役人どもの腐敗ぶりに説得力を持たせ、黒社会の結束力の強さに説得力を持たせ、黒社会の連中が主人公群を邪魔する方法に説得力を持たせ、邪魔をする腐敗した役人に太刀打ちできない主人公群のいらだちに説得力を持たせている。
そしてストーリーが面白い。
相当に暗い小説で、日本人作家でいうと(特に悪人の描き方が)船戸与一に似ていると思う。訳者の文体のせいか。
最後に、この本の素晴らしいところを一点。
中国人の人名はただでさえ覚えにくいのに、この小説はやたらと登場人物が多い。この本では、見開きページごとに登場人物の名前にルビがうってある。これは読者に対する素晴らしい配慮だと思う。
9点/10点満点
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