佐藤賢一「褐色の文豪」感想。
時代小説。2006年03月14日読了。

佐藤賢一
文藝春秋 2006/01出版 519p 20cm ISBN:416324610X ¥2,100(税込)
「黒い悪魔」の続編といえる作品である。「黒い悪魔」はアレクサンドル・デュマ父が主人公なのに対し、本作はその息子にして同じ名前の文豪アレクサンドル・デュマが主人公である。戦いに勝ち出世する強い軍人であったデュマ父の物語であった「黒い悪魔」に対し、本作は文豪デュマがいかにして作家を志し、出世作を書き、三銃士を書き、成功を収め、つまずき、死するか、までを書いた物語である。どうでもいいことだが「椿姫」を書いたのは本作の主人公である文豪アレクサンドル・デュマの息子で、またも同じ名前のアレクサンドル・デュマ(フィス)だったとは知らなかった。
素直な感想を言ってしまえば、主人公文豪デュマの人物像に魅力があまり感じられない。いつもの佐藤賢一が書く主人公のような、悪漢なのだが好漢という魅力がないのである。
また、文豪デュマ少年期から晩年死に至るまでの人生40年くらいを一冊に書いているため、重要な役割と思っていたらただ過ぎ去るだけの脇役が多いのも不満(カトリーヌ、ノディエ、ジョゼフなど)。重要な脇役にも魅力的なのは出てきませんが。
そんなこともあってか、この作品を読むのに要した時間は、いつもの佐藤賢一作品の倍かかった。でもこれだけの分厚い本をきっちり読ませる筆力を持っているのだから、佐藤賢一はたいした作家さんです。
けっきょく褒めたいのか貶したいのかどっちなんだろう。
6点/10点満点
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