藤原章生「絵はがきにされた少年」感想。
ドキュメンタリー。2006年03月15日読了。

藤原章生
集英社 2005/11出版 258p 20cm ISBN:408781338X ¥1,680(税込)
第3回開高健ノンフィクション賞受賞作。
著者は(日本有数のダメ新聞社である)毎日新聞の記者で、95-2001年、駐ヨハネスブルク・アフリカ特派員、2002-メキシコ市支局長・ラテンアメリカ特派員を務めている。そんな著者がアフリカ特派員として5年半取材した集大成(のよう)である。
全部で11章あり、●第1部第1章:ピューリッツァー賞を受賞した南アフリカの白人カメラマンの自殺から、奇妙な国「南アフリカ」について考え、●第1部第2章:著者の息子と南アフリカの海岸を歩き、息子が発した「僕たちズールーじゃないのになぜ歩かなくちゃならないの」という言葉から、人種差別について考え、●第1部第3章:南アフリカのホームランドで、テレビに映っている中、黒人に射殺された3人の白人のうちの1人の未亡人へのインタビュー、射殺した黒人警官へのインタビュー、●第1部第4章:12歳の少女が4人組の男に丸3日レイプされ続け、そして殺される南アフリカの現状と、強盗に襲われそうになった著者の妻、●第2部第1章:レソトに住む老人が少年の頃に撮られた写真、それが絵はがきになり、老人はその絵はがきを手に入れた話、●第2部第2章:レソトからヨハネスブルクの金属鉱山に30年出稼ぎに行き、700米ドル相当の退職金をもらってレソトに戻った老人の誇り、●第2部第3章:アンゴラに住み、妻と長男を殺され、次男を誘拐されているポルトガル系カブリート(白人3/4、黒人1/4のクオーター)の老人と、ダイヤモンドビジネスには黒人は信用されないという話、●第2部第4章:スワジランドからヨハネスブルクへ30年以上出稼ぎに行き、1500ランドの退職金をもらってスワジランドに戻った、無口な老人の話、●第3部第1章:チェ・ゲバラがキューバ革命の後、アフリカに渡りコンゴに革命を起こすべく動いたが7カ月後に撤退した、そのときゲバラの部隊と一緒に動いたルワンダを追われた王制の中心人物の老人の話、●第3部第2章:ジャーナリストが取るアフリカの写真を見て、援助しなければならないと思う人の心について考え、●第3部第3章:ルワンダ大虐殺でフツがツチを殺しまくったが、フツとツチは一体どこが違うのか。
などについて書かれている。
著者は南アフリカに家族で住み、恐ろしい体験もし、仕事でアフリカ各地を回って取材を行った。その貴重な経験を下にした本書は、そんじょそこいらのジャーナリストには出せない深みがあり、そして本書で語られる「日本人や先進諸国の人が抱くステレオタイプなアフリカのイメージへの疑問」は考えさせられる。
第3部第2章で、ザンビア北部の貧しい農村の老女が語る言葉(の要約)に「食料援助はもう要らない。食料はなくなると空しい。まだ肥料をもらった方が良い。収穫の前に食料が来ると働く気がしなくなる」。これがアフリカの現実なのだろうな、と思ってしまう。
7点/10点満点
※やはり私は要約が相当下手である。
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