中村繁夫「レアメタル・パニック 石油ショックを超える日本の危機」感想。
ビジネス書。2007年02月07日読了。

中村繁夫 /光文社 2007/01出版 217p 19cm ISBN:9784334933982 ¥999(税込)
中国が世界中の石油を買い漁っている話は、もやは世界中の常識となっている。
ここ1~2年で原油の価格が高騰した主原因とも言われている。
中国は今やアメリカに次ぐ世界第二位の石油消費国であり、石油生産国でありながら、それではとうてい自国の石油消費量をまかなえなくなり、世界各国から石油を輸入している。今はスーダンを筆頭とするアフリカ諸国ととの関係を緊密にしている。アフリカの資源大国の多くは、独裁者もしくは腐敗した政府の圧政があり、共産党一党支配の中国政府関係者は、アフリカのそうした支配者と馬が合うらしい。
日本の石油政策は明らかに中国に負けており、このままいったら近い将来、電気代やガソリン、石油関連製品がすべて値上がりしてしまうのだろうなあ、と思っていた。
話は変わるが、昨年5月24日に「電子材料王国ニッポンの逆襲」という本の感想を書いた。
日本の製造業は、人件費の違いや(バブル崩壊後の)設備投資の消極さが祟って、韓国や中国に抜かれてしまった。しかし、電子材料(電子部品)の世界では、未だ圧倒席な世界シェアを持っているのがニッポンなのである、ということが書かれた本だ。
まだまだニッポンは優れているのだなあ、とこの本を読んで私は元気が出た。
しかし。
電子材料を製造するための原材料であるレアメタルが、中国やロシアなどの資源大国に独占されつつある、と警鐘を鳴らすのが今日紹介している「レアメタル・パニック」である。
私はこの本を読むまで知らなかったのだが、たとえばレアアース=希土類元素は90%が中国から採掘されているらしい。タングステン、バナジウム、アンチモン、バリウムは中国が埋蔵量および生産量ともに世界第一位。モリブデンとビスマスは埋蔵量世界一位、インジウムとレアアースは生産量世界一位。
レアメタル、レアアースの鉱床は、きわめて偏っていて、中国、ロシア、ブラジル、中央アジア、アフリカ諸国に多い。これはプレートテクトニクスで地球の陸地ができあがったことと関係している模様。
様々な電子材料の開発力、製造ノウハウは確かにニッポンが世界各国に抜きんでているのだろうが、それを作る原材料が手に入らなければ、作りたくても作れない。
中国はその原材料の埋蔵量、生産量で世界一位だ。
中国は、国策としてレアメタル・レアアースの輸出を制限しだしていると本書に書かれている。
もし中国が悪意を持って輸出制限をしているとしたら、ニッポンは電子材料製造ノウハウと引き替えにしなければ、レアメタルを入手できなくなってしまうかも知れない。これは恐ろしい。そんなことになったら、ニッポンの製造業で誇れるものがどんどん減ってしまうではないか。
本書の著者は、若い頃ヒッピーをやって、蝶理という商社でレアメタルの輸入を手がけ、現在はチタンの輸入などを行っているアドバンスト・マテリアル・ジャパンの代表取締役。(ちなみにチタンは世界中に豊富にある物質だが、精製が難しいので今のところレアメタル扱いになっている非鉄金属)
著者の経歴が、本書の示す恐ろしさをより一層かき立てる。
光文社のへんてこ英語入り交じりペーパーバックで出版されているせいか、今のところ本書はそれほど話題になっていない。しかし、
日本経済の未来を憂うビジネスマンよ、ぜひ読め (さらに憂鬱になってしまうが)
7点/10点満点
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