小池政行「現代の戦争被害」感想。
いわゆる新書。2007年2月21日読了。

小池政行 /岩波書店 2004/08出版 208p 18cm ISBN:9784004309031 ¥735(税込)
現代の戦争の被害者は、軍人ではなく民間人である。第一次、第二次世界大戦の頃と比べるとその傾向は顕著である。という著者の自説をジュネーブ条約に基づく国際人道法の法的解説を述べ(著者は1951年生まれで、外務省に20年弱勤めた後、日本赤十字国際部参事を経て、日本赤十字看護大学教授、青山学院大学法科大学院講師となっているので法学に詳しいのだろう)、ソマリア内戦、ボスニア・ヘルツェゴビナの民族浄化、コソボ紛争、アフガニスタンvsアメリカ、イラクvsアメリカの事例から説明していく。
が。
著者の言いたいことは判るのだが、本書を読んでいても「現代の戦争では民間人の犠牲者が増え続けている」という実感がもてない。事例にあげた戦争の経緯を説明することに力を注ぎすぎていること、および現代アメリカの戦争の始め方や戦闘方法に対する批判が多すぎ、肝心な自説の主張がぼやけてしまっている。
更に。
第3章にてボスニア・ヘルツェゴビナの民族浄化に関する記述があるのだが、セルビア人による虐殺行為を世界に広く知らしめたのはアメリカの広告代理店ルーダー・フィン社であり、エスニック・クレンジング=民族浄化という言葉を作り出したのもルーダー・フィン社である、と8ページくらいかけて書かれているのだが。
それってさあ、高木徹の「戦争広告代理店」の丸パクリじゃねえの?
確かに参考文献として「戦争広告代理店」が挙げられているけど、本文中には引用の記述はないし、8ページ(くらい)に渡っているって、それはもはや引用ではなくパクリだろ?
もしかしたら著者は、ルーダー・フィン社がボスニア・ヘルツェゴビナの代理店だったのは事実なのだから、事実を書くと記述が似通ってしまうのは仕方がないではないか、と思っているのかも知れないが、少なくとも両書を読んだ私には、本書はパクリとしか思えない。
こんなの出版して良いのかね?
旧ユーゴのことを知りたい人は、千田善(ちだ・ぜん)という旧ユーゴに延べ10年くらい滞在していた学者の本の方が遙かに参考になる。のでご紹介。
なぜ戦争は終わらないか ユーゴ問題で民族・紛争・国際政治を考える
千田善 /みすず書房 2002/11出版 236ページ ISBN:9784622070146 ¥2,625(税込)
ユーゴ紛争はなぜ長期化したか 悲劇を大きくさせた欧米諸国の責任
千田善 /勁草書房 1999/04出版 221ページ ISBN:9784326351183 ¥2,730(税込)
2点/10点満点
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