桜井春彦「アメリカ帝国はイランで墓穴を掘る」感想。
駄本。2007年03月29日読了。

桜井春彦 /洋泉社 2007/04出版 253p 19cm ISBN:9784862481306 ¥999(税込)
本屋で前書き部分を立ち読みし、シオニスト批判やネオコン批判が載っていたので、「お、結構いけるかも」と思い買いましたが....
「フリーメーソン世界征服のシナリオ!」のような本と同じレベルのトンデモ本でした。
著者は電波を出している人で、著者の言いたいことが理解できる人は、たぶん電波を受信できる人だと思います。
善良な方は、本書を読まない方が良いと思います。
1点/10点満点
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本書は、途中までまともだったのにだんだんおかしくなってくる、のではなく、ほぼ最初っから変です。そういう意味では良心的です。
というわけで、本書がトンデモ本であることの根拠を以下に記します。
◆1◆ 序章・疑惑のアメリカ帝国 のヘンテコ
911のテロのついて書いているのだが、唐突に以下のようなことが出てくる。
本書25ページから引用
『しかし、何が9月11日に起こったのかは正確にはわかっていない。
南北2タワーに旅客機が激突する様子は撮影されているが、その後の崩壊は合理的に説明されていない。まして旅客機の激突と関係ない7号館がなぜ崩壊したのかは謎だ。そのあまりの不思議さに俳優のチャーリー・シーンも疑問を表明している。』
(1)ビル崩落後、様々なテレビ番組に築学者が数多く出演し、崩壊に至るメカニズムはじゅうぶん合理的に説明されていたと思うけど。もしかしたらビル崩落の理論が著者には難しくて理解できなかったのかな。
(2)チャーリー・シーンがいつそういう表明を出したのかが書かれていない。
(3)というか、チャーリー・シーンの意見などどうでもいい。
◆2◆ 第1章【シミュレーション】イラン攻撃はアメリカ帝国崩壊への一里塚となる のヘンテコ
著者はアメリカがイランを攻撃する可能性に関連し、イスラエルがヒズボラ掃討を名目としてレバノンに軍事侵攻、する悪夢のシナリオを一例としてあげているのだが、
本書35~36ページより引用
『イスラエル軍はヒズボラ掃討を名目としてレバノンに軍事侵攻し、そのままシリアに攻め込んで大規模な軍事衝突に発展する。
中略
イスラエル軍の侵攻に対し、シリア側も応戦して戦闘が激化する。そうした中、イラクでは政府の施設が爆破され、少なからぬ閣僚が犠牲になった。
イスラエルのシリア攻撃に反発したイスラム勢力による攻撃だと多くの人は理解する。アメリカ政府は「民主主義への挑戦」だと激しく「テロリスト」を非難する声明を出す。
イラク政府が機能不全になる中、アメリカ軍は大規模な掃討作戦を開始する。
後略』
(1)イスラエルがレバノンに侵攻するのはまあいいとして、一体どういう名目でシリアを攻めるのだろうか。その理由が書かれていないと、いくらシナリオといったって説得力がないと思う。(イスラエルなら国際世論が納得する理由なく軍事侵攻をやりかねないけど)
(2)イラク政府、ってのは引用間違えじゃなくイラクなのである。何でイスラム勢力がイラクを攻撃するのか、シナリオとはいえ、よくわからない。
◆3◆ 第1章【シミュレーション】イラン攻撃はアメリカ帝国崩壊への一里塚となる のヘンテコ2
イラン侵攻と原油価格の関連性について言及している中で、
本書48ページより引用
『アメリカがイラクに侵攻する前は、1バレルあたり20ドル台の後半で推移していたが、2006年夏には70ドル台で推移している。2007年に入ると50ドル近くまで下落したが、もしイランに核攻撃があれば、急上昇して1バレル120ドルから200ドルに達すると見られている。代替エネルギーでもカバーすることは困難だろう。』(太字は本書でも太字になっているところ)
(1)原油は先物取引だから、イラク侵攻が原油価格上昇の主原因じゃないよ。世界全体で原油の需要が増えてきたから、投機筋が先買いしたという見方が主流だと思うよ。で、70ドルで買った連中は先読みしすぎて失敗したという意見が主流だよ。
(2)イランが核攻撃されても、イラン全土の全ての油田がダメになるわけじゃないから、イランの原油生産量が100%→0%になるわけじゃない。本書15ページに世界の原油推定埋蔵量が掲載されているけど、それによるとイランの埋蔵量は世界の約11%。イランからまったく原油がとれなくなっても、全世界で見たら11%マイナスなので、70ドル→200ドル、つまり3倍には絶対ならないよ。
◆4◆ 第4章 王政の時代 のヘンテコ
この章では、ペルシアの時代背景と、パーレビ王朝の確立経緯、ホメイニのイラン革命について書かれているけど、なぜか【ケネディ暗殺の瞬間を撮影したフィルムの隠蔽】という部分が出てくる。
なぜ王政の説明のところで書かなければならないのか、全く理解できない。
◆5◆ 全てに共通するヘンテコ
本書全体的にいえるヘンテコなところとして、やたらめったら人物名を出して読者を煙に巻く、というものがある。重要な人物も重要でない人物も関係なく、とにかく登場する人物数が多い。これは著者が「俺はこんなにいろんな人物を知っているのだ、貴様ら平凡な読者はその人物相関関係など知るまい、貴様ら愚民読者どもは俺様の意見を拝聴すれば良いのだ、俺様は正しいのだ、俺様の書くとことは絶対なのだ」という思想を持って書いているようなニュアンスに読み取れます。
例として、【第5章 イスラム帝国】にどれだけの人物が登場するのか記してみます。
第5章は170ページから220ページまでの51ページです。
P170
ムハマド・レサ・パーレビ(イラン国王)
アヤトラ・ホメイニ(シーア派指導者)
デイビッド・ロックフェラー(チェースマンハッタン銀行)
ジミー・カーター(アメリカ大統領)
ゲイリー・シック(NSC=国家安全保障会議スタッフ)
P171
森詠(日本人ジャーナリスト)
モシェ・ダヤン(イラン国防大臣)
P172は写真
P173
ウリ・ルブラニ(在テヘラン非公式イスラエル大使)
P174
ロナルド・レーガン(アメリカ大統領候補)
ジェームズ・ボウト(少将)
チャールズ・ベックウィズ(デルタフォース創設者・大佐)
P175
ジョン・K・シングローブ(少将)
オリバー・ノース(中佐)
P176
キルス・ハシェミ(武器商人)
ウォーレン・クリストファー(国務長官・どこの国の?)
レザ(ハシェミの兄)
ジャムシド(ハシェミの兄)
アーマド・マダニ(イラン海軍少将)
P177
アリ・アクバル・ハシェミ・ラフサンジャニ(イラン国民議会議長)
イラン・ナジド・ランクニ(ハシェミ兄弟の連絡相手でラフサンジャニの義理の息子)
アーメド・ホメイニ(アヤト・ホメイニの息子)
ドナルド・マクヘンリー(国連大使)
ラムゼー・クラーク(もと司法長官)
P178
ウィリアム・ケーシー(レーガン政権時のCIA長官)
メーディ・カルビ(イランの宗教指導者)
ジョン・シャヒーン(ケーシーの友人)
ヤセル・アラファト(PLO議長)
アブデラジス・ボウテフリカ(アルジェリア外相)
アリ・ベンメナシェ(イスラエルの軍事機密を入手できる立場にあった人物)
P179
マイルズ・コープランド(元CIAオフィサー)
スタンフィールド・ターナー(CIA長官)
ロバート・マクファーレン(海兵隊元大佐)
カーミット・ルーズベルト(?)
アール・ブライアン(カリフォルニア州保険福祉局長)
メーディ・バザルガン(イスラム革命後の首相)
P180
ジョン・タワー(上院軍事委員会委員長)
ロバート・ゲーツ(?)
ジョージ・H・W・ブッシュ(パパブッシュ)
P181
ラファエル・エイタン(LAKAM指揮)
アドルフ・アイヒマン(ナチ親衛隊)
....すいません、P220まで全部抽出しようと思ったのですが、もう面倒なのでやめます。
この傾向はこの章に限った話じゃなくて、本書全編にわたってこんな感じです。
◆6◆ 写真の謎
本書にはいくつかの写真が掲載されています。
P19 ロシアの政商ペレゾフスキー
P21 ネオコンの代表的論客ポール・ウォルフォウィッツ
P26 911テロ直後のペンタゴン
P33 息子ブッシュ(バカブッシュ)
P39 B2ステルス爆撃機
P45 テヘランの反米運動で燃やされた星条旗とイスラエル国旗
等々です。(これも抽出に飽きた)
で、これらの写真には(C)マーク、すなわち誰が撮った写真なのか記載されていません。
無断使用ですかねえ。
◆7◆ 著者の経歴のバカっぽさ
裏表紙に著者の経歴が載っています。引用します。
『桜井春彦
調査ジャーナリスト。1955年生まれ。早稲田大学理工学部卒。
雑誌「軍事研究」(ジャパン・ミリタリー・レビュー)で
米情報機関の秘密工作に関する十数本のレポートを執筆している。
現在の状況と似ているとされる1930年代にアメリカで
ファシズム政権の樹立を目指すクーデター計画が存在した事実も、
9・11の直前に紹介した。また、雑誌「世界」(岩波書店)では、
「ブッシュ政権の内幕」としてジョージ・W・ブッシュ政権の実態に関するレポートを発表している。
後略』
だから?
※すいません、駄本けなしに疲れてしまいましたのでこれで終わります。
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