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2007/04/06

筒井康隆「巨船ベラス・レトラス」感想。
文壇糾弾メタフィクション。2007年04月04日読了。

巨船ベラス・レトラス
筒井康隆 /文藝春秋 2007/03出版 208p 20cm ISBN:9784163256900 ¥1,200(税込)

(紀伊国屋bookwebより)
売れさえすれば作者を潰したっていいというのか。
人間を使い捨てにする企業の論理か。
そんな若いやつの小説、受賞した時だけその受賞した本が売れるだけのことじゃねえか。
今の状況がなんでも正しいというんなら、なんでもうすぐ世界が滅びるってことを認めて、それを書かないんだ。
それが現在の文学者のやるべきことじゃないのかい。
現代日本文学の状況を鋭く衝く戦慄の問題作。


私は人口9,000人の北海道の片田舎で生まれ育ちました。私が小学生のころ、田舎の町立図書館の図書館司書は同級生の母親がやっており、図書館は身近な存在でした。その町立図書館は他所にはあり得ないある特徴がありました。

人口9,000人の小さな町の図書館です。蔵書数はせいぜいが数万冊です(たぶんですけど)。

そんな小さな町立図書館に、ハヤカワSF文庫と創元SF文庫の本が、なんと1,500冊くらいあったのです。当時発刊されていたハヤカワと創元のSF文庫が8割くらい、もしかしたらそれ以上が蔵書されていたのです。図書館の棚を3本くらい占領していました。壮観でしたよ。

なぜそんなに蔵書されていたかという理由は簡単で、町民の寄付です。

考えてみてください。図書館にある本の3%くらい(かな)がSF小説で占められている、というのははっきり言ってかなり異常です。でも、子供の頃はそんなことを全く気にせずに、小学4年生くらいから火星シーズ、金星シリーズ、、ターザンシリーズ、レンズマンシリーズ、キャプテンフューチャーシリーズ、などを読んでいきました。正確には読んだつもりになっただけで、あまり内容を理解していなかったと今では思いますけど。


そんな子供時代を過ごしたのは私だけではなく、同級生で私の他に3人、SF好きがいました。MくんとYくんとKくんです。Kくんの母親が図書館司書でした。そして私たちは中学生になり、少し読解力が増しました。


さて、筒井康隆。

まず最初に筒井康隆にはまったのはMくんでした。Mくんの次はYくん、Kくんとはまり、私も読み出すようになりました。

「馬の首風雲録」から始まり、「家族八景」「七瀬ふたたび」「時をかける少女」「狂気の沙汰も金次第」「脱走と追跡のサンバ」「俗物図鑑」「日本以外全部沈没」「ウィークエンドシャッフル」「大いなる助走」。。。。。

筒井康隆と半村良と新井素子と星新一と神林長平と豊田有恒と山田正紀と横田順弥と平井和正と高千穂遥と田中光二と岬兄悟と鏡明と光瀬龍と中子真治(元SF映画評論家)と井口健二(SF映画評論家)と伊藤典夫(SF小説評論家)は、中学生の時に多大なる影響を受けたSF作家です。ちなみに小松左京はほとんど読んでいません。当時SFファンは安部公房もSFカテゴリーに分類していたので、それで私も(今思えば無謀にも)中坊の頃に安部公房を読みました。


そしてようやく本書の感想なのですが、良くも悪くも筒井康隆っぽい小説でメタフィクションです。筒井康隆っぽく書くと、

本書は、作家と詩人と編集者と文芸誌の主催者である金持ちと作家の家族がいつの間にか作家と詩人と編集者と文芸誌の主催者である金持ちと作家の家族の無意識を現したと思える巨船に乗り、その巨船にはなぜか作家と詩人の書く小説や詩の登場人物が具現化しその具現化した登場人物たちは作家と詩人と編集者と文芸誌の主催者である金持ちと作家の家族と会話をし敵意をむき出しにし討論しそしてついには神様である作者筒井康隆までもが登場して実話である著作権侵害についての筒井康隆の大いなる憤慨についてまるでエッセイのごとく怒りをぶちまけそして最後にはわけのわからない文学論が展開されます。


それで面白いか面白くないかと問われたら私は面白いと思うのですが、それは私が中学生の時に形成された筒井康隆耐性があるからだと思うので、この本で初めて筒井康隆に触れる人はたぶん「なんじゃこりゃ?!?」となって呆れて終わってしまうような気がするのですが。

ま、個人的には堪能しました。

6点/10点満点

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