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2007/05/12

岡崎大五「バンコク危機一髪」感想。
紀行文調の小説。2007年05月08日読了。

バンコク危機一髪
岡崎大五 /角川書店(角川グループパブリッシング) 2006/11出版 349p 15cm ISBN:9784043654086 ¥579(税込)


岡崎大五の添乗員シリーズにどっぷりとはまってしまったこの一ヶ月、総じて楽しく読めた。一気に読みすぎたと思わないではないが、天気がはっきりしなくて鬱々とした気分が続いたので、お気楽に読めてしまって後味も良いく気分も軽くなるから、まあいいか。未読の岡崎本も残り少なくなってきたので、あんまりちゃっちゃと読んでしまうと、今後の楽しみが少し減ってしまうな、と思いつつも、また今日も手を出してしまった。それが本書「バンコク危機一髪」だ。

本書の奥付を見ると、本書は2001年に刊行された「だましだまされ生きるのさ」を、文庫化した際に改題した本とのこと。何で改題するのかねえ。「だましだまされ生きるのさ」は買っていなかったからいいけど、ネットで作者とタイトルで検索して本をぽいぽい買ってしまう私は、改題されたことに気付かず同じ本を買ってしまうことがよくあるのだ。何で改題するのかねえ。


さて本書。

大まかな内容は、旅行中バンコクで金がなくなってしまった主人公岡崎君は、金を稼ごうとバンコクで働く決意をする。が、現実は甘くなく、ようやく就職した先は山師のような日本人長峰社長が、バンコクの警察官ワロップと組んで経営している怪しげなコンサルティング会社だった。世間を知らない主人公岡崎君は、バンコクで働く日本人の中でも最も安い給料で雇われることになった。コンサルティング会社、聞こえは良いが実態は何もないに等しく、先輩日本人社員はやる気なし。そして先輩はクビ。入社早々に先輩がいなくなってしまった岡崎君は、自分の食い扶持を稼ぐため、バンコクの役人達を訪ね歩き、役人とコネを作るところから始めるのだった……

という感じで始まり、終始一貫、バンコクでのどたばたライフが書かれている。

主人公が岡崎君なので、岡崎大五若かりし日々を綴った青春回想録と思いながら読んでいたのだが、エッセイにしてはフィクション要素が多くないか?と疑問に思い、本書の奥付をよく見たら「この作品はフィクションです」と書かれている。小説だったのか。

こういう紀行文のノリをそのままフィクションとして書かれたもので、私が以前読んだことがあるものでは、高野秀行「アジア新聞屋台村」が該当するけど、出版年度は岡崎大五の本書の方が早いんだよな。

高野秀行や蔵前仁一の紀行文は、主役はあくまであくまで作者本人で、作者本人が体験し感じた旅の話が詰まっている。対して岡崎大五の添乗員シリーズは、どちらかと言えばツアー客が話の主役で、岡崎大五は狂言回しに役割になっている(ように思う)。

添乗員シリーズは、まあ面白く読めるのだけれども、やっぱり冷静に考えるとちょっと脚色がはいっているようにも思えるし、それは別になにも悪いことではないんだけど、本書はフィクションとして割り切っている感じがして、結果、添乗員シリーズよりも完成度が高くなっていると思うのです。




本書は、岡崎大五の本で一番面白く読めました。


8点/10点満点

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