青山潤「アフリカにょろり旅」感想。
紀行文。2007年05月22日読了。

青山潤 /講談社 2007/02出版 281p 19cm ISBN:9784062138680 ¥1,680(税込)
ウナギの生態はまだまだ不明なことが多く、産卵地がほぼ特定されたのはつい最近のことである、ということを知ったのは、とあるテレビ番組だった。見たのは1~2年前だったと思う。
「生態がわからない?じゃあウナギってどうやって養殖しているの?」と思ったのだが、その番組によるとウナギの養殖方法は、天然のシラスウナギ(ウナギの稚魚)を捕まえてきて、稚魚から成魚へと育てることだと知った。その番組は養殖方法の紹介がメインではなく、ヨーロッパ(フランスだったかな)でシラスウナギの漁獲高が激減している、という話だった。理由は乱獲。ヨーロッパで獲れたシラスウナギは、中国の業者が買い付け、中国国内で養殖され、日本の食卓に上る。見事。
ちなみにその番組では、ニホンウナギの産卵地はグアム島付近の海で、ウナギは回遊魚であるということも放送された。成魚は川で獲れるから川魚と思っていたが、そうじゃないと知ったときは結構驚いた。
なぜウナギの話を書いたかというと,,,
本書の作者青山潤氏は、ウナギの産卵地をほぼ特定した東大海洋研究所「ウナギグループ」の一員で、本書によると、ウナギとは全世界で18種類しか存在せず、そのうち12種類はほとんど研究がなされていない。そこで東大ウナギグループは、18種類全ての生体を採集するべく世界中を奔走し、17種類まで集めることができた。だが、ケニア、マダガスカル、南アフリカ、タンザニアで調査したにもかかわらず、最後の1つ=ラビアータだけが手に入らなかった。そして、東大ウナギグループは、マラウィ、モザンビーク、ジンバブウェでの調査を行うのであった。
本書はウナギ研究のため、けっして行きたくて行ったわけではないアフリカの大地を、しかたなく駆け抜けた紀行エッセイなのである。
で、ようやく感想。
冒頭から凄いシーンである。マラウィの片田舎、サリマという町にバスで到着したウナギ一行が目にしたのは、一人の黒人が、何人もの黒人にリンチを受け血だらけになっているのである。マラウィってわりと平和なイメージがあったけどなあ。(リンチの原因は本文中に解説(推測)があるけど、ここでは割愛)
ラビアータ種を捕まえるのに何ヶ月かかるか判らないから、調査費を長持ちさせるため、移動はバス、宿は安宿。でもマラウィではバスに乗るのも一苦労。バスに乗る人が多すぎて、やっときたバスの乗れない。乗るまで2時間、乗っても立ちっぱなし、立っているのも現地のおばさんの異臭漂う鞄が目の前で臭い、そんな状況で3時間乗り、ようやく一つ目的地に近づく...
モザンビークでは、ポルトガル人が管理しているダム湖に行く。が、実はこの場所、外国人は普通は入れない。ダム管理会社にねじ込んで、何とか行く。行った現地で、これまた何とかダム湖で釣りをする。が、釣り場のキャンプ場は日中気温50度。アタマくらくらして水をがぶ飲み。でもその水は湖水。この湖には住血吸虫がうじゃうじゃ。でもあついから水を飲む...
蔵前仁一、高野秀行、岡崎大五とは違った大爆笑エピソードがてんこ盛り。でも、紀行作家と呼ばれる人たちや、バックパッカーの紀行文と違うところは、その地に行きたくて行っているわけではなく、研究のため(仕方なく)行っているのだ、というところ。
ううむ、こういう本も面白いなあ。
6点/10点満点 (ちょっと辛めなのは、著者がエッセイストとしてこなれていないから)
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