中谷美紀「インド旅行記3 東・西インド編」感想。
紀行文。2007年05月16日読了。

中谷美紀 /幻冬舎 2006/12出版 227p 15cm ISBN:9784344408777 ¥519(税込)
中谷美紀3冊目のインド旅行記は、1、2冊目で見られた堅さが抜け、とてもいい感じ。
映画「嫌われ松子の一生」に主演したおかげで身も心もぼろぼろになったから、リフレッシュするためにインド旅行に出るのだ、という理由で始まった(ような印象を受ける)本書シリーズ。旅をるるからには何か目的がなければならない。それはヨガだったり、歴史的建築物を観光することだったり、おいしいものを食べたりと色々あるのだろうが、1、2巻では、目的のために旅をしているのか、旅するために目的を作っているのか判らないところがあった。
3巻目に当たる本書の16ページに、空港の待ち時間に出会ったミャンマー生まれアメリカ育ちのインド人から、タージマハルもいいけどラナクプール(アディナート寺院)も負けず劣らずいいよ、と会話するエピソードが出てくる。
このエピソード自体はたいした話じゃないけど、こういう話が書けるようになったんだ、と旅行作家中谷美紀の成長が如実に感じられるエピソードと感じた。
その後94ページには、とても良い印象を持った現地ガイドとの別れに際し、「出会っては別れるばかりの旅の切なさが、また会おうと言いながら恐らく二度と会わない切なさが私は好きだ」、という感想にまとめている。違う作家の書いた本にも、似たような文章はあるのだろうが、こうもストレートに書かれた本を私は知らない。
旅先で出会った人たちとは、特に少しでも仲良くなった人たちとは、別れ際に「いつかまた会おうね」と言葉を交わす。その言葉は多分に儀礼的な言葉なのだけれども、その言葉には旅の思い出が凝縮されているような気がする。
バックパッカーに憧れて、バックパッカーに近いことまでは出来たけれども、女優という職業を抜きにしてやっぱり自分はバックパッカーにはなれないや、と自らの旅のスタイルを確立させたような中谷美紀の本書は、旅行作家中谷美紀の誕生を感じさせる。
1巻、2巻、3巻と、巻を重ねるごとに内容が良くなっていくところなど、今後まだこういう本を書くのなら、結構期待が持てる。
7点/10点満点
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