中津孝司「アフリカ世界を読む」感想。
アフリカ分析書。2007年07月04日読了。

中津孝司 /創成社 2006/10出版 196p 18cm ISBN:9784794450135 ¥840(税込)
本書で最初に出てくるのは、アメリカがなぜスーダン(ダルフール)の大量虐殺を無視し続けたかについての分析である。
著者曰く、アメリカは隣国のチャドから石油を輸入しており、スーダンからは輸入していない。だからスーダンが内戦に陥ろうと大量虐殺が起きようと、アメリカ経済には関係ない。だが人道的支援の声が高まったことと、スーダン難民が大量に(おおよそ200万人)チャドに流れ込み、その難民を更に攻撃する連中が国境を越え、チャドで戦闘が行われるようになり、チャドで働くアメリカ人石油ビジネスマンが危機にさらされてきた。さらにAU(アフリカ連合)の能力が低く、ダルフール紛争をAUが独自単独で解決できる見込みがなくなったので、ダルフール紛争の解決にアメリカ政府が介入したのだ。(かなり抄録)
ううむ、説得力のある説明だ。
また、本書16ページに著者のスタンスらしき記述があるのだが、これがまたすごい。
「イスラム原理主義者の坊主が牛耳るイランを抹殺しておくことが21世紀を生きる我々の責務であることだけは確かである。」
これはイランが北朝鮮やパレスチナのハマスに、武器や資金、核技術の提供を行っているので、西側資本主義経済を生きる我々にとっては敵だ、という主張に基づく意見なのだが、言い切り方が意見というレベルを超えていて、なというかまあすごい。
私は「世界平和を乱している諸悪の根源はイスラエル」と思っているので、著者のこの意見には賛同できない部分も多々あるのだが、人の意見は百人百様、こういう考え方もあるのだな、と深く考えさせられた。
この本は、私にとって斬新な見解が多く記載されていて結構面白く読めたのだが、全体的に見ると、表を1枚添付すれば事足りるような事柄、例えばアンゴラの何とか油田にはシェルが○%、BPが▲%出資していて、エチオピアのなんちゃら油田にはエクソンモービルが□%、シェブロンが★%出資してていうんたらこんたら、みたいな知識のひけらかしが随所に見られ、そんなことはどうでもいいよ、肝心の中身をさっさと書き進めろよ、と飽きてくる。
惜しい本だな。
6点/10点満点
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