武田邦彦「環境問題はなぜウソがまかり通るのか2」感想。
環境問題啓蒙書?2007年09月25日読了。

武田邦彦 /洋泉社 2007/09出版 317p 19cm ISBN:9784862481825 \999(税込)
地球温暖化は、IPCC=地球温暖化に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)と言う国際機関が研究した報告を元にしている。
最新版は2007年に作成された第4次評価報告書で、気象庁が翻訳し、Webで公開されている。
気象庁翻訳 IPCC第4次評価報告書 第1作業部会報告書 (PDFファイル)
この評価報告書に書かれている内容は、日本の報道機関=テレビや新聞が伝える内容ほどセンセーショナルではない。
環境問題に関する書籍や、科学雑誌「Newton」を読み、そこに書かれている事実と、日本の報道機関が伝えている内容の食い違いが大きく、日本の報道機関が伝える地球温暖化に、私は常日頃から疑問を抱いていた。
本書は、その内容の食い違いを明確にしている。
IPCCの第4次報告書では、2100年までの地球温暖化のシナリオを3つ報告している。日本の報道機関が伝えているのは、3つのシナリオのうち、地球温暖化が最悪のスピードで進んだケースの最悪値である。その3つのケースとは、
・資源を使いたい放題に使うケース(最悪ケース)
・世界各国協力して温室効果ガスを減らしたケース(最良ケース)
・その中間ケース(最も考えられるケース)
最悪ケースでも、2100年の温度予測は現在から2.4~6.4℃の上昇で、最良推測値は4.0℃の上昇である。
また、ここ40年間(1961年から2003年まで)で、海面は7cm上昇した。
最悪ケースの予測で、2100年の海面は、現在より26~59cm上昇するとIPCCは予測している。
一方、水は暖かいと体積が増える。これは中学生(小学生だったか?)で習うはずだ。
夏と冬の寒暖差による水温の変化は、平均で40cmある。1年で40cmの変動があるのだ。
また、北極の氷が溶けたって海面は1mmも上昇しない、これはアルキメデスの法則で説明できる現象なのに、なぜ日本の報道機関は北極の氷が溶けると海水面が上昇するなどという、中学生でも分かる嘘をつくのだろう。
私が地球温暖化に疑問を抱くようになった原点は、今から25年ほど前に、私がSF小説や科学雑誌を好んで読んでいたことに端を発する。25年前は、そう遠くない未来、地球は氷河期を迎えるのではないか? と言われていた。氷河期が来ると噂されていた頃、安部公房は「第四間氷期」という小説を発表しているくらいだ。
本書は、寒冷化が心配されていたことにも触れているし、二酸化炭素の大量放出は石油および石炭を燃やすことが主な原因なのだが、石油は2040年頃に枯渇する可能性があり、枯渇したら二酸化炭素は増えないだろう、などの矛盾点もついてくる。
本書は、前作と異なり、このようにIPCCの正式報告書を元に、日本の報道機関の矛盾を突いている。
実に良くできた本だ。
だが、良くできているのも第2章まで。
第3章以降は、著者の邪推が入り交じった意見が多くなってしまう。邪推と書いたが、的を射ている推測も多いのだが、いかんせん、あなたのその意見・見解の根拠は?証拠は?と突っ込みを入れたくなってしまう。
せっかく第2章まで説得力抜群だったのに、残念なことだ。
とても残念な本だ。
5点/10点満点
| 固定リンク
「◇ノンフィクション」カテゴリの記事
- 野村進「島国チャイニーズ」感想。
ノンフィクション。2012年01月14日読了。(2012.01.20) - 石井光太「遺体―震災、津波の果てに」感想。
ノンフィクション。2011年11月09日読了。(2011.11.27) - 木村元彦「誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡」感想。
ノンフィクション。2011年10月20日読了。(2011.11.21) - 石井光太「飢餓浄土」感想。
ノンフィクション。2011年10月28日読了。(2011.11.23) - 藤野眞功「バタス 刑務所の掟」感想。
フィリピン刑務所ノンフィクション。2010年08月22日読了。(2010.08.23)
コメント