ロバート・ゲスト「アフリカ 苦悩する大陸」感想。
ルポ。2008年05月23日読了。

ロバ-ト・ゲスト/伊藤真 /東洋経済新報社 2008/05出版 323, 20cm ISBN:9784492211779 \2,310(税込)
◆今年初めての10点満点の本。
◆原著は2004年に出版され、(たぶん)2008年4月に出版された。原著が4年前の本なので、ところどころ訳注が入っている。
◆著者紹介(紀伊国屋Bookwebより)
ロバート・ゲスト
経済誌『エコノミスト』の元アフリカ担当編集長。1990年代に英国紙『デイリーテレグラフ』の日本特派員を務めたあと、『エコノミスト』特派員として南アフリカを拠点に7年間にわたりアフリカを取材。世界各地で50か国以上の取材経験を持つ。民族紛争、開発問題、そして熱帯雨林を走る運搬トラック同乗記など、アフリカに関する報道で外国人記者協会賞など複数の国際的な賞を受賞。現在は『エコノミスト』の米国特派員として、妻と3人の子供たちとワシントンDC在住。
◆各章紹介
第1章 吸血国家―エリートによる、エリートのための独裁主義
第2章 ダイヤを掘る、墓穴を掘る
第3章 「眠れる資産」が繁栄へ道を拓く
第4章 セックスは死と隣り合わせ
第5章 宿怨の三つの温床―部族主義、派閥主義、人種主義
第6章 どうする?援助と自由貿易
第7章 でこぼこ道と盗人警官
第8章 ハイテク技術は「貧困」を救えるか?
第9章 南アフリカは「希望の星」になれるか?
結論 一歩ずつ確実に―「豊かな」未来へ向けて
◆経済発展しつつあるアフリカ諸国であるが、まだ多くの国で政治腐敗が横行し、一部の富裕層(それは政府上層部に直結していることが多い)だけが富み、多くの貧困層は相変わらず貧困のままである。経済誌「エコノミスト」記者として、経済的な目線からアフリカ諸国が抱える問題点をルポした本書は、今まで読んできたアフリカ関連書とは違った切り口で新鮮である。
◆著者の見解では、アパルトヘイトを廃止し黒人政権ができた南アフリカが発展した理由は、黒人政権ANC(マンデラの政権)がソ連崩壊をきっかけにマルクス社会主義と決別したからであるという。マルクス主義との決別を見た南アフリカの白人及び先進諸国の投資家は、南アフリカに投資しても財産が没収される危険性が無くなったと判断し、投資を行うようになった。逆にイギリスの植民地であり自由な経済だったジンバブウェは、黒人大統領ムガベによる白人の土地の強制収容など、投資家をびびらせる政策を実行したため、ジンバブウェ経済は崩壊してしまった。(第1章)
◆先進諸国の人権活動家は、アフリカ諸国から安く農作物(コーンフレークやカカオなど)を輸入することは、安い労働力として子供を働かせることにつながる、言い換えれば先進諸国が搾取していることなのだ、と言うが、著者はこれに異を唱える。先進国の活動家や労組がこのように唱え、アフリカから農作物を輸入しなくなったとき、困るのはアフリカの農民だ。アフリカの農民は、カカオやコーンを売るしか現金を得る方法がない。先進国が農作物を買ってくれないと、農民は現金を得ることができなくなり、ただでさえ子供を満足に学校に通わせることができないのに、現金を得ることができなくなったらますます学校に通わせることなど難しくなってしまう。(第6章)
◆またカメルーンでは、ギネス社のビール運搬トラックに同乗し、ドゥアラという港湾都市からベルトゥアという田舎町まで約500キロの道のりを行く。1泊2日の予定で出発したが、結局目的地までは4日かかり、1600ケースの瓶ビールは、賄賂で取られたなどの理由で2/3に減っていた。道路が少しまともで、警官による検問(=賄賂の強要)がなければ、カメルーンでももっと多くの商売ができる。田舎町の人だってビールを飲みたいのだ。(第7章)
◆経済的な側面から見たアフリカという切り口はとても新鮮で興味深く読めた。今年一番の本であるだけでなく、今まで読んだアフリカ関連書籍の中でも有数の本だった。満足。
10点/10点満点
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