福原直樹「黒いスイス」感想。
新書。2008年06月11日読了。

福原直樹 /新潮社 2004/03出版 206p 18cm ISBN:9784106100598 \714(税込)
◆3年間一人旅をしていたshizaさんという方が発行しているメルマガ(サイドバーにリンクあり)で薦められていたので読んでみた。
◆本書のタイトルにある通り、スイスというのは実は黒い国であるということが書かれた本。著者は毎日新聞ジュネーブ特派員を6年勤め、本書執筆時ブリュッセル支局長。6年暮らしたスイスでの実体験と、特派員で培った取材能力で、スイスの黒さを暴き出している。
◆以前、松村劭「スイスと日本 国を守るということ」という本を読み、スイスという国の特殊さはある程度知っていた。が、スイスの黒さがまとめられた本書を読み、なるほどなあと感心しきりなのである。
◆1972年まで公共団体がロマ(ジプシー)の子どもを誘拐し強制的に施設に入れ成人になるまで家族との接触を禁止していた、第二次世界対戦時ユダヤ人の入国を拒否していた、核開発をしていた、トルコ人移民の帰化申請は拒否、などの丁寧な取材で裏付けられた話が載っている。
◆なかでも特に興味深かったのは、スイスの銀行のマネーロンダリングに関する話である。スイスの銀行が堅牢なプライベートバンクであることは有名であり、事実上マネーロンダリングの温床となっている。最近では犯罪組織がスイスの銀行を利用した場合、口座が凍結されることもあると本書に書かれている。しかし、スイスでは脱税は犯罪ではないそうで、それ故、外国の人物が脱税で稼いだ金をスイスの銀行に預けても、脱税は犯罪ではないというスイスの法律に基づき、各国に対しての捜査協力はしないのだとか。
◆本書は、スイスは良い国であるというイメージを日本人が勝手に持っていることと、実態はけっこう黒い国なのだよ、というギャップが大きく、著者の意図が成功している本なのだと思うのである。とはいえ、国家なんてのはどの国でも黒い部分は大なり小なりあるはずなので、こういうテーマの本は作ろうと思えば世界各国バージョンをいくらでも作れる(書ける)のではないかな。
7点/10点満点
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