常岡浩介「ロシア 語られない戦争 チェチェンゲリラ従軍記」感想。
ルポ。2008年11月26日読了。

常岡浩介 / アスキ-・メディアワ-クス 2008/07 ¥780 (税込)
◆構成がちょっとおかしく、ルポ本として「これはいかん」と思えてしまう本である。
◆しかし本書の著者は、ロシアに暗殺された元FSBエージェント・リトビネンコと、生前コンタクトをとっていた唯一の日本人ジャーナリストで、チェチェン問題に関しては今までの日本人ジャーナリストとは異なった視点を持っている。
◆著者は1992年頃からイスラム教に興味を持ち、2000年に改宗した正式なイスラム教徒なのだそうだ。著者はチェチェン独立派ゲリラ部隊に従軍取材を申請し、イスラム教に改宗したことが幸いし、従軍が認められた。本書第1章では、その従軍記が書かれている。4ヶ月にわたる行軍は、まるで「脱出記」のような過酷な取材となるのだが、どういうルートを通ったのか本書を読んだだけではイマイチピンとこないのだ。本書を読み進め、最後のリトビネンコインタビューの手前に、従軍ルートを記載した地図が載っていた。地図は最初に載せんかい!
◆その行軍は、チェチェンゲリラのゲラエフ隊が、グルジア内の自治領アブハジア共和国へ侵攻するルートなのだが、読んでいてもチェチェンゲリラが何でアブハジアを侵攻しなきゃならないのかよくわからない。
◆チェチェン戦争の話は何冊か本を読んだけど、結局のところチェチェンは現状維持派、穏健的独立派、武装独立派の内部分裂が泥沼化の要因と思うのだが、本書はチェチェン武装独立派にかなり偏った内容になっている。本書全体に言えることは、かなり過酷かつ危険な取材をしており、本当かなあと疑ってしまう部分もある。しかし、偏った内容であることは、あとがきで著者自身が認めており、認めていることによって、本書の内容に真実味が感じられた。
◆チェチェンに興味のある方は、読んで損のない本と思います。
8点/10点満点
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