高橋五郎「農民も土も水も悲惨な中国農業」感想。
いわゆる親書。2009年07月22日読了。

高橋五郎 / 朝日新聞出版 2009/02 ¥819 (税込)
◆この本は、日経BPネットのどこかでコラムを読み、そこで紹介されていた本。同姓同名の作家がいるが、本書の著者とは別人と思われる。著者は1948年生まれで、現在愛知大学国際中国学研究センター所長となっている。
◆中国農業を実地調査し、その上で示される中国農業の悲惨な実態は、中国から輸入されてくる農産物など二度と食いたくないと思わせ、また中国から農作物が輸入できなくなった場合、日本の食糧自給率の低さは、食卓を直撃することになるのだろうとも思わせる。そういう意味では、本書はそんじょそこいらのホラー小説より、よっぽど優れたホラー実話である。
◆本書に書かれた一部を紹介する。
◆中国では農薬の値段が(農家の収入と比較して)高いこともあり、人糞を肥料として使っている。しかし、中国の人糞の使い方は根本的に問題があり、発酵させずナマのままの人糞を使っているというのだ。私は40過ぎていて北海道の片田舎で生まれたからかもしれないが、人糞はそのままじゃ適切な肥料として使えないことはしっている。肥溜めにしばらく溜めて発酵させなきゃダメなのだ。発酵していない人糞には細菌が混ざっているので、ナマの人糞を使ったら農作物が細菌だらけになってしまう。
そこで、中国人農家は、殺菌するために農薬を使うのである。
◆畑にまく水の正体。中国の農村には溜池がある。溜池にはトイレの屎尿、洗濯排水、食器洗いの排水など生活排水がすべて溜め込まれている。溜池はアオコが発生し緑色に変色、もちろん悪臭を放っている。その水を、トウモロコシ畑にそのまままいている。
中国の河川は汚い、という話は最近テレビでも取り上げられるようになってきたので知っている人も多いと思う。
著者が取材に行った場所では、川から100メートルも離れた場所に悪臭が漂ってきて、生活排水だけとは思えないいろんな物が混ざってできた真っ黒な水が流れる川だった。さすがにその水を直接畑にまいていることはしていなかったようだが、真っ黒な水は地下に浸透し、地下水を汚染する。
◆著者が言うには、それでも日本に輸入されてくる中国の農作物はマシなほうらしい。完全ではないが、輸出の段階(中国側)、輸入の段階(日本側)で様々な検査をしているから。中国国民が食べているのは、想像を絶するようなひどい農作物が多くなってきている。今すぐ何とかしないと、近い将来、中国は飢餓に襲われ、日本もわりを食って飢餓列島になってしまうかもしれない。
◆すばらしき中国の実態を書いた本は、今までに何冊か読んできた。
何清漣「中国の闇 マフィア化する政治」7点/10点満点。
陳惠運「わが祖国、中国の悲惨な真実9点/10点満点。
東一眞「中国の不思議な資本主義」8点/10点満点。
山本一郎「俺様国家 中国の大経済」8点/10点満点。
園田茂人「不平等国家 中国」4点/10点満点。
本書は、私が読んだこれらの本の中でベストといえる。
9点/10点満点
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