平野克己「南アフリカの衝撃」感想。
2010年02月15日読了。アフリカ新書。

平野克己 / 日本経済新聞出版社 2009/12 ¥892 (税込)
南アフリカでは凶悪犯罪が蔓延している。それも、アパルトヘイトが終わってから増加している。アパルトヘイト終了とともに世界市場に受け入れられ、市場経済が発展してきた南アフリカでは、黒人低所得者層が食うに困って犯罪を犯すのだ、と言う考え方が一般的なのだと思う。私もそう思っていた。
しかし、本書の著者に言わせると少し異なり、アパルトヘイト時代の南アフリカは国内に住む白人を相手にした市場しか作ってこなかったため、(人口5000万人の国なのに)市場規模800万人程度の産業しか育っていなく、大量の黒人が労働力として市場に出てきても受け入れる企業がないということと、通常の発展途上国ではそういう人たちを受け入れる場所として農業があるのだが、南アフリカでは農業が貧弱なため、黒人労働者の受け入れ先とにはならなかった。そのため現在黒人失業者や低所得者層が増えているのだ、と筆者は言う。
さらに、長い年月にわたり反アパルトヘイト闘争を行ったANCの中堅どころ(武力闘争を行っていたグループもある)は、闘争に勝ち黒人政権が誕生した瞬間に、無学で職能のない単なる役立たずの中年になってしまった。そんな連中の一部が、食うために犯罪組織を作ったのかも知れない(ANCという団体を維持していたので、組織運営能力はある)。
上記のような内容を含め、現在の南アフリカの経済状況や、中国の進出をどのようにとらえるのか、まったく知らなかった南アフリカ小史も書かれており、読み応え十分な一冊だった。
9点/10点満点
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