佐藤健太郎「医薬品クライシス」感想。
いわゆる新書。2010年04月29日読了。
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医薬品メーカーはとても魅力的な投資先である。ひとつ特効薬を作り出すと、年間売り上げ2000億円なんてざらなのだ。もちろん医薬品であるから効能と安全性(副作用)は大切であり、また、著しい効果がある新薬などそう簡単に開発できない。だからこそ、たった一つの新薬を出しただけで全世界の業界勢力図が塗り変わるほど、新薬の持つインパクトは大きい。
そのような話を10年前に聞き、当時いちばん有望株だった富山化学に投資した。富山化学は抗菌剤、アルツハイマー治療薬、リウマチ治療薬、鳥インフルエンザ特効薬(T-705)を開発しており、世界でいちばん新薬開発能力が高い製薬メーカーといわれていた。しかし治験に時間がかかり、製品化が遅れるにつれ資金的な余裕が無くなり、富士フイルムに買収されてしまった。残念である。悔しさをかみしめながら、私は富士フイルムに多大な投資をした。花開くのはまだまだ先である。(ちなみに私は武田薬品も買っている)
そのような経緯もあり、私は医薬品メーカーの動向に関し興味を抱いており、以前読んだ本でいちばん印象に残っているのは、マーシャ・エンジェル「ビッグ・ファーマ」である。
今回読んだ「医薬品クライシス」は、日本の医薬品メーカーで研究職をしていた後、東京大学の助教へと転身した著者が書いた、医薬品メーカーの実態である。
私は、医薬品の開発とは、たとえば世界中の土を採取しその中から菌を取り出し培養し、医薬品として使えそうな菌を地道に探すものだと思っていた。
ところがこの方法はとても古いやり方なのだそうだ。
現代の創薬は、病気の原因となるタンパク質を成分分析し、病因となる部分をブロックするための分子構造を導きだし、導き出された分子構造を持つ化合物をいくつも作りだし、抗体に阻害されずに適切に体内に届く化合物を実験で選別し、選別された化合物が人体に影響がないか動物実験と治験を繰り返し、駄目だったら違う化合物で再度同じことを……
地道なトライアンドエラーを何千回も繰り返すことによって、ようやく一つ薬が作れるか否か、そういう世界なのだそうだ。(すみません、詳しく知りたい方は本書を読んで下さい)
第1章はあまり出来が良くないのだが、第2章以降は興味深く、かつ(株式投資にも)有益な情報が多数出てくる。
良書と思う。
7点/10点満点
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