←鮭の粕漬け、まあまあ上手くできた。
デリーでの初めての夜は、エアコン付けっぱなしにするとちょっと寒いし、付けないとクソ暑い。おかげさまで眠りが浅く、朝7:00に目が覚めてしまいました。シャワーを浴びて、朝飯食って、まだ9:00前だっつーのに、デリーの目印となるコンノートプレイスに向かうのです。
メインバザールからコンノートプレイスまで歩いて行ったら40分以上かかった。けっこう遠かった。
コンノートプレイスはあちこち工事中で、この汚さがインドクオリティなのかと思った(後でホテルの人に聞いたら、10月にコモンウェルスゲームというオリンピックに似たような大会があるので、デリー中至る所を急ピッチで工事しているのだとか)
私は、コンノートプレイスにあるDTTDC(デリー観光開発公団)に行き、ダージリン旅行の情報収集をしようと思っていた。
ただこうもあちこち工事中だと、どこがどこやらよくわからんなあ。と思いながら、地下鉄の駅近辺にある周辺地図(の案内板)を眺めていた。
ここから、ちょっとした面倒に巻き込まれる。
地下鉄の駅(Rjiv Chowk)に1台のオートリクシャがやってきた。乗っているのは背の高い金髪の異人。オートリクシャに1000ルピー札を出して「釣りがない」と文句を言われたらしく、私のところに近寄ってきて
「この札、細かく出来る?」と流暢な英語で聞く。
「出来ないよ」と答えると、
「そりゃそうだろうな」と言ってオートリクシャのドライバーとなにやら交渉している。
金髪君はまた私に近づいてきて、
「ドライバーに釣り銭探すように言った。釣りが出来るまでヒマだから、ちょっと話しようよ、旅行者だろ」
「いいけど」
「僕はイタリアから来てるんだけど、君は日本、それとも韓国?」
「日本だよ、イタリアのどこから来たの?」
「ミラノ」
「僕はネサールって言うんだ、君は?」
「××だよ(本名なので伏す)」
「あ、ドライバーが釣り持ってきた。君はこれからどこに行くんだい?僕はDTTDCに行くんだけど」
「私もDTTDCに行こうと思っていたんだ」
「やっぱり。コンノートプレイスで地図見ているから、そうじゃないかと思ったんだ。僕はこれからDTTDCに手配依頼した飛行機のチケットを取りに行くんだ、一緒に来るかい、案内するよ」
「あ、そうなの。じゃ一緒に」
金髪君(ネサール)は、長い足でとっとこ歩き出した。私は着いていく。5分ほどでDTTDCと書かれている建物に到着、そのまま二人で中に入った。中はエアコンが効いていて快適だった。
金髪君「僕の用事は後でいいから、君の相談を先にするといいよ」
DTTDC係員「ようこそデリーへ。君はどこに行きたいんだい?」
私「ダージリンに行こうと思っているんだ」
係員「ダージリンは今、バカンスシーズンの真っ最中だからすごく混んでるよ」
私「知ってる。でもトイトレインに乗りたいんだ」
係員「トイトレインかあ。でもねえ、最近ストで動いていないって話だよ」
私「本当?」
係員「行ってみたらストが終わっていてトイトレインが動いているかも知れないけどね。でも今日は動いていないって話。そんなあやふやな町じゃなくて、シュリナガルあたりで涼しく過ごしても同じじゃないの」
金髪君「そうだね、シュリナガルならけっこう快適だよ。ねえ係員君、チャイちょうだい」
係員「チャイだね、OK。で、シュリナガルなんだけど」
といって係員はシュリナガルを含めたラダック地方の写真集を見せる。
私「うーん、でもダージリンに行きたくてインドに来たからなあ。今さら目的を変えたくないし」
金髪君「先月シュリナガルに1ヶ月行ってきたけど、良かったよ」
こんな感じで、係員はしきりにシュリナガルを進めるが、私は興味の対象外だったので固辞する。
30分くらい経ったところで金髪君が、
金髪君「チャイも飲んだし、僕はもう行くよ。君はどうする?」
面倒なDTTDCの係員から逃げるチャンスだと思い、
私「私もこれで失礼するよ」
と言って二人でDTTDCを後にした。すると金髪君が、
金髪君「僕は飯を食おうと思うんだけど、良かったら一緒にどうだい。良いところに案内するよ」
私「じゃあ、着いていく」
金髪君「それじゃリクシャに乗ろう」
私「えっ、この近くじゃないの?」
金髪君「近いけど、歩くと暑いじゃん」
で、二人でオートリクシャに乗った。
動画中にちらっと写っているのが、金髪君(ネサール)。
で、オートリクシャで10分以上走る。こりゃまずい、こいつ(金髪君)怪しいと思ったけど、後の祭り。
30分以上ぐるぐる走り回り、いったいここがどこなのかわからない場所に連れて行かれ、飲食店があるとはとうてい思えない門をくぐり、看板も出ていない普通の建物の中に連れて行かれた。
私「ここはどこ?」
金髪君「僕の友達が借りている部屋。少しゆっくりしようぜ」
私「ご飯はどこで食うの?」
金髪君「ここで食おうよ。お手伝いさんに作らせるから」
室内には、お手伝いさんというか召使いのような少年がいて、金髪君はその少年にヒンディー語らしき言葉でいろいろと命令している。
私「君はヒンディー語が喋れるんだ」
金髪君「片言だけどね」
弱ったなあ。
どうやって逃げだそうかなあ。
私「あ、タバコがなくなったから(事実)買ってくるよ」
金髪君「じゃあ、店まで案内するよ」
私「そう、ありがとう(逃げられないじゃん)」
金髪君「何吸ってるんだい?」
私「マルボロライト」
金髪君「じゃあ、ちょっと歩かないと売ってないな」
タバコ買い出し脱走失敗。
そうこうしているうちに1時間以上経過。
私「飯まだ?腹減ったんだけど」
金髪君「もうすぐだよ」
私「本当に腹ぺこなんだけど。どこかに食いに行こうよ」
金髪君「じゃあ急がせるよ」
ううむ、飯を食いに行こう作戦も失敗か。
金髪君「ああ、友達を紹介するよ、彼がこの部屋を借りているアミールだよ」
アミール「ようこそ。ネサールの友達なら大歓迎だ」
アミールは120kgくらいありそうな巨漢。でもほとんど会話に参加せず、携帯電話しまくりだった。
金髪君「君はインドに何しに来たの?」
私「ダージリンに行こうと思って」
金髪君「ストやってるよ。シュリナガルにしたら?」
そうか、こいつはシュリナガルへの高額ツアーを強引に組ませる連中の手先だったのか。地球の歩き方には、強引に勧誘するインド人がいて、最近日本人がそいつらの手先となっている、と書かれていた。けどイタリア人の手先もいるとは。
そうこうしているうちに、カレーが完成。金髪君の友達の部屋に着いてから2時間近く経っていた。腹減っていたから、とりあえずカレーを食う。けっこう旨いやんけ。
金髪君「インドに来る前にさ、彼女と別れちゃったんだ。今でも好きなんだ。君は彼女いる?」
私「(またこの手の話か)いや、結婚していたんだけど、妻は9年前に交通事故で死んだんだ」
金髪君「それは悪いことを聞いてしまった、すまない」
私「気にしなくていいよ」
さらに延々と無駄話が続く。カレー食ってから1時間くらい経った頃、
私「すまない、実は私は3:00にホテルで旅行会社の人と会う約束をしているんだ、だからもう戻らないとならない」
金髪君「遅れるって電話したら?」
私「メールでやりとりしているから、電話を知らないんだ」
金髪君「まだ居ればいいじゃない。そんな約束、ブッチしたって良いだろう。夜になったらここでパーティするよ、一緒にパーティやろうよ」
私「ダージリン行きの相談と、帰りの飛行機のチケットを受け取るんだ」
金髪君「電話を調べるよ、どこの旅行会社?」
ううむ、こいつなかなか粘るな。
私「日本の旅行会社でHISって言うんだ」
金髪君「ちょっと待ってて、電話調べるよ」
私「いや、デリーの人間じゃなくて、日本のHISの人が来るんだ(注:すべてウソ)」
金髪君「なんで?」
あー、しつこい。
私「日本のHISの添乗員と会う約束なんだ、まあ、とりあえずオートリクシャつかまえよう」
金髪君「ここら辺りじゃなかなかつかまらないよ」
あー、しつこい。
私「まあでもニューデリー駅まで行ければ、そこから先はわかるから」
金髪君「ふーん、じゃあ僕も一緒にホテルに行くよ、君が泊まっているホテルに興味あるし」
あー、しつこい。
私「じゃあ、一緒にニューデリー駅まで行こう」
というような経緯で、何とかオートリクシャに乗る。金髪君も一緒。
金髪君「用事が終わったらパーティにおいでよ。迎えに行くよ」
私「なんでそんなに親切なの?」
金髪君「そりゃあ、せっかくインドで知り合ったんだぜ、楽しいことしようよ」
あー、しつこい。
金髪君「迎えに行くから、電話番号教えてよ。僕の電話番号教えるから、かけてよ」
私「悪いけど、僕の電話は日本の携帯電話だから、お金がすごくかかるんだ、だから教えられない」
金髪君「なんで?電話がわからなかったら迎えに行けないよ」
あー、しつこい。
私「まあ、パーティには気が向いたら行くよ」
金髪君「約束だぞ、住所を教えるから来いよ」
私「気が向いたらね」
そうこうしているうちに、コンノートプレイスの見覚えあるところまで来た。
金髪君「ここから歩いて10分でニューデリー駅だ」
私「そうか、ありがとう」
金髪君「オートリクシャは80ルピーだ、払って」
と捨て台詞を言って去っていった。でも金髪君の歩く方向と、私の行き先が同じ方向。金髪君は、途中から勧誘にばれて私に警戒されていることに気づいていながら、あくまでソフトにしつこかった。
疲れた。
疲れた体、クソ暑いデリー、汚いメインバザール(昼間は暑いからインド人も少ない)を歩いてホテルに戻る。
その後、シゲタトラベルという会社(日本語が喋れるインド人経営)で、バラナシ経由ダージリン行きのツアーを組んでもらった。けっこう値段高かったけど。
シゲタトラベルのオーナー、ラジェンダさんに、このイタリア人の出来事を話したら、
ラジェンダさん「その人本当にイタリア人?」
私「見た目は完璧にイタリア人」
ラジェンダさん「イタリア人とインド人のハーフじゃないのかな。ヒンディー語喋れたんでしょ」
私「そう言われると。でも出会いが偶然な感じだったんだよね」
ラジェンダさん「それは偶然じゃないよ。たぶんコンノートプレイスの近くで、カモが来るのを待っていたんだよ。あなたがカモに見えたんだよ」
私「そう言われるとそうかもしれないなあ」
ラジェンダさん「DTTDCは本物だった?」
私「地球の歩き方に載っているDTTDCの写真と違った」
ラジェンダさん「DTTDCを騙った悪徳旅行会社だね」
私「そうでしょうね」
ま、実害はなかったんですけどね。
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