5月21日 ダージリンで政治テロに巻き込まれ、目の前で政治家が射殺される。
朝焼けの青い空を見ることができた。今日はヒマラヤ登山学校の見学があるから、昨日一昨日より良い景色が見られるだろうし、エベレストがどこか、カンチェンジュンガがどれなのかもわかるだろう。
早朝の目覚めのあともう一度眠りにつき、7:00に起きて飯。
朝から、近所で音楽をガンガンかけながらわいわいがやがや騒がしい。平日なのに祭りでもやっているのかな?と、のんきな私。
8:30、ホテルのスタッフが部屋にやってきて、「君は今晩も泊まって3泊なんだよね。でもツアーエージェントのマイクからは2泊で依頼を受けているんだ。まずいことに、君が泊まっている部屋は今晩別の予約が入っているんだ、それでマイクを呼び出した。今晩どうするかをマイクと相談する」
あら、まあ、そうなの。今と同じグレードの部屋なら別に構わないけど、ドミトリーはイヤだよ。それにさ、9:30にホテルの向かいにあるマイクの会社前でドライバーと待ち合わせしてるから、とりあえず荷物を移動しやすいようにまとめておくから、昼過ぎに戻ってきてから詳細を相談しよう。
と答え、急遽荷造り開始。リュック一つでインドに来たのが幸いしたね。
9:20頃、スタッフをドアの所に呼び、
荷物はまとめたよ、このリュックと濡れたタオルとウィスキーのミニボトルの3点ね、じゃあ私は観光に行くよ。
スタッフは「OK」と言いつつ、部屋に入ってきて窓を開ける。音楽がじゃんじゃん鳴り響いていて、スタッフは窓から身を乗り出しその様子を見る。(窓枠がけっこう高い位置にあり、身を乗り出さないと道路が見えない)
急に音楽が鳴り止んだ。
「Aohhhh」
スタッフが叫ぶ。
どうしたのだろうと私も窓から顔を出す。
人の首から1mくらい血が噴き出している。
私「What?」
スタッフ「Murder」
私「Why?」
スタッフ「I don't know」
私「How?」
スタッフ「Gun shoot」
撃たれた人が、血を吹き出しながら崩れ落ちていった後から、私は撮影を始めてしまった。
以下、限定公開のyoutube。それなりにグロい映像なので、動画埋め込みはしません。(リンクを開けば普通に見ることができます)
http://www.youtube.com/watch?v=z8VhbZK54kQ
その後、警察と軍が入り乱れ野次馬を強制排除。殺害現場は保存された。

目の前で人が血を吹き出しながら殺された。現実感が伴わない。
首筋をやられると、ものすごい勢いで血が噴き出るんだなあ。
あ、もうすぐ9:30だ。観光に行かなきゃ。
私「時間だから待ち合わせ場所に行かなきゃ」
スタッフ「何を言っているんだ、今は外に出るな、軍に捕まるぞ」
私「じゃあどうしたらいいんだろう」
スタッフ「とにかく、今は外に出るな、窓から顔を出すな、ツアーエージェントのマイクが来ると思うから、それまで待っててくれ」
そりゃそうだよな。人が殺されたんだもんな。
スタッフを呼ばずにそのまま外出していたら、襲撃現場に居合わせて、私も射殺されていたかも知れない。そのくらいの時間差だったんだよな。
上の階にあるロビーに行く。大勢の観光客(半分外国人、半分インド人)が、
「何があったんだ?」
「反体制派グループが政治集会を開いていて、そのリーダーが撃たれたらしい」
「なんで?」
「西ベンガル州政府職員のストに抗議する集会だという話だ」
「なんで撃たれたんだ?」
「インドではよくあることだ」
「それでどうなるんだ?」
「今日は商店もレストランも観光案内所も何もかも休みになる」
「今すぐこの町を出ないと」
「道路封鎖されていると言う話も出ている」
「外国人は大丈夫だろう」
「インド人は拘束されるかも知れないぞ」
外国人観光客数人と、インド人の裕福そうなオヤジに、私が撮ったビデオを見せる。皆が「Ohhh」「Ahhh」と言う反応だったが、
ホテルオーナーは反応が違った。
オーナー「君、そのビデオは誰にも見せるな」
私「なぜ?」
オーナー「そんなビデオを撮っていたことを知られると、君は軍や警察や犯人グループに拘束されるかも知れない」
私「でも、誰にでも見せる訳じゃない」
オーナー「どこかのインド人に見せると、そのインド人から噂が伝わり、いずれ君のことが特定される可能性がある」
私「じゃあどうしたらいいの?」
オーナー「誰にも見せないことだ」
私「消した方がいいかな」
オーナー「君が決めることだ」
10:20頃、ツアーエージェントのマイクがやってきて、「今日中にダージリンを脱出する。18:00に出発する。それまでこの部屋を使っていいと、オーナーと交渉した、待っててくれ。店はやっていないけど、広場とかなら行って問題ないと思う。それでは18:00に」
どうしようかなあ。
撮ったビデオをパソコンに落とし、カメラ本体からはデータを消した。
11:00過ぎ、マイクが再びやってきて「よかった、まだ居た。14:00出発に変更だ、ドライバーが確保できた。昼飯はホテルで食ってくれ。それまで外に出ないでくれ、ちょっと危険だ」
なんか、とんでもない事態に巻き込まれたのかも知れない。
ホテルはwifiが使えるので(但し電波弱いしよく不通になる)、ロビーでネットを試したらつながった。速報記事が出ていた。リンク先は後日差し替わった詳細記事。
ダージリンタイムス(これもそれなりにグロいです)
つづく。
(このエントリーを書いているのは6月25日です。5月21日の夜に、脱出後に着いた町からネットで動画をyoutubeにアップしたところ、コメント欄に「お前を捜し出して絶対殺す」というコメントが3件入っていました。さすがにちょっと恐くなったので、いったん動画削除し、今回再度アップするのです)
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