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2011/03/26

広河隆一はジャーナリストではなくなり、上杉隆は思っていた以上にカスだった。失望した。

これは2011年3月26日にアップした記事です。


大震災の日、NHKがヘリから生中継した宮城県名取市、名取川の津波の様子を見た。気仙沼港、八戸港が波に呑まれるところもNHKは生中継した。それを見ていた私は、twitterで(数少ない私のフォロワーに向け)「津波が来るから逃げろ」的なことを何度もツイートした。テレビは刻々と深刻な事態を伝える。私は震災のテレビ報道に釘付けになった。

しかし、この大災害に対し何もできない自分に苛立った。数日経ち、Google Person Finderへの人名登録作業を2日間ほど手伝い、ポイントサービスで募金ができるところへちょこまかと募金をしたり(総額で2000円くらい)、そんなこんなでちょっとは役に立てたのかも知れないと、わずかながらの自己満足を得ていた。

地震のあった3月11日から、これを書いている今日3月26日にまで、1冊の本も読めていないし、大学の勉強も身が入らない(※私は44歳の通信大学生です)。

何に対して苛立ちを感じているのかというと、ネットを中心に流れてくるデマとウソと極論、そしてそれを簡単に信じ込む人たちに対してである。

なかでも特に、福島原発に関して、高名なジャーナリストですらウソや極論を書き散らす現状が、私を苛立たせた。

デマのまとめサイトはいくつかあるので、私が気になったジャーナリストについて書くことにする。


◆広河隆一はジャーナリストではなくなった

かなり昔の話だが、雑誌の買いすぎには注意しましょう。2006/11/21などのエントリーで「DAYS JAPAN」という雑誌をえらく推奨していた時期があった。

「DAYS JAPAN」の責任編集長が、フォトジャーナリストの広河隆一氏。

日本人があまり注目しない海外情勢を精力的に取材し、取材の視点は強い者に虐げられる人々に置かれていた。雑誌「DAYS JAPAN」は、広河氏本人の写真よりも、自身のコネクションを活かした各国のフォトジャーナリストからの寄稿によるものが中心だった。

さらに広河氏は、「岩波フォトドキュメンタリー」というとても素晴らしいシリーズ書籍の責任編集も務めていた。「DAYS JAPAN」の内容と、岩波フォトドキュメンタリーの完成度の高さから、私はジャーナリスト広河氏を尊敬していた。

桃井和馬「破壊される大地」感想。岩波フォトドキュメンタリー。2007年02月22日

佐藤文則「ハイチ 圧制を生き抜く人々」感想。岩波フォトドキュメンタリー。2007年02月22日

林克明「チェチェン 屈せざる人々」感想。岩波フォトドキュメンタリー。2007年02月ころ読了。

私は広河氏を応援するため、「DAYS JAPAN」を定期購読し、岩波フォトドキュメンタリーシリーズは全11冊+別冊を全て買った(全文を読んでいないので当ブログに感想を書いていないが、写真とキャプションは全部見た)。


ところが、2007年7月の「DAYS JAPAN」に奇妙な記事が載った。説得力に欠け、まともな内容に思えなかったので、当ブログで否定的見解を書いた。DAYS JAPAN 7月号 2007/07/07

以下、私が書いた全文
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
DAYS JAPAN 7月号に、「まだ間に合うのなら 日本の原発」という記事が載っていた。
原発の安全管理意識の低さを説き、原発の必要性を問う記事だ。執筆者は高木章次氏。
その意見、主張には頷ける部分も多いのだが、最後がいただけない。
「原子力発電は電気の1/3をまかなっていると宣伝されています。それなら私たちは「原発をやめて、2/3の電気で暮らそうよ」といいましょう。」

できるわけがない。

絶対無理、とまでは言わないけど、電気使用量を1/3も減らすなんて、まあまず無理。電気代を1/3に減らすことはできるだろうけど、電気の使用量そのものを減らすなんて無理。だいたい発電設備は、真夏の最高気温更新時にエアコンをガンガン使うときのピーク電力を確保するためのものなんだから。

そういう主張をしたいのなら、日本の電気の使用量は家庭用と事業用のどちらが多いか、経済を停滞させずに事業用電力消費量を減らせることができるのか、ピーク時の電力使用量はどのくらいで、これから更に温暖化が加速する中で、エアコンを使わないで自分の主張が実現できるのかどうか、そもそも自分が 1/3削減できているのか、そのくらい検証(実証)してから主張すべき。

こういう阿呆な主張をする輩がいるから、原発廃止論は世間の歓心を引かないんだよ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


この記事が掲載されて以降、「DAYS JAPAN」はおかしな主張が目立つようになってしまった。いつも資金繰りが苦しいと叫んでいた雑誌だから、反原発団体にページを金で売ったのかと思ってしまった。

そして私は「DAYS JAPAN」の定期購読をやめた。内容が信用できなくなってきたからだ。


広河氏は、@RyuichiHirokawaでtwitterをやっている。(たぶん)今年に入ってから私は広河氏をフォローした。

氏のツイートは反原発だった。
中電が上関原子力発電所(祝島)の建設を強行しようとしている!
バリケードを組んでの阻止行動をやっている、是非応援を!
住民や生態系を蔑ろにする日本の原発政策は酷い、原発は断固反対!

といった感じのツイートだった。

んー? なんだこれ? おかしいぞ。

原発誘致は、賛成派と反対派がいて、民主主義的に原発賛成派(8/26追記:賛成派の議員数)が上回ったから建設されるんだろ?
祝島のある山口県知事だって、建設にゴーサインを出したんだろ?
民主主義的に選挙で選ばれた県知事が。

それなのに、原発反対派は自分の主張が通らなかったからバリケード封鎖という実力行使。
それを是とする広河氏。


そして、私が広河氏に失望する瞬間が来た。


3月11日20:00頃に広河隆一がツイートした内容を丸ごと引用する。(但し、現在は削除されているので、正確なツイート時刻は分からない)

@RyuichiHirokawa 広河隆一
電力会社のみなさん。メディアの皆さん。原発立地県の知事の皆さん。これで分かっていただけたでしょう。日本列島が原発には適していないことを。この規模の地震に太刀打ちできる耐震構造をもつ原発は一基もないことを。広河隆一 DAYS JAPAN編集長。RTお願い。


このツイートに真っ先に反応したのは、常岡浩介氏。

@shamilsh 常岡浩介
「それみたことか」という話をするタイミングはもう少しあとでしょう。情況をわきまえてください RT @RyuichiHirokawa 電力会社のみなさん。メディアの皆さん。原発立地県の知事の皆さん。これで分かっていただけた… (cont) http://deck.ly/~iQDWB

その後もいろんな人たちから広河氏に苦情が殺到した(私も苦情を直接ツイートした)ため、広河氏は元ツイートをあっさり削除している。ただし、非公式リツイートが多数なされているので、元のツイートは今でも確認できる。

(追記)広河氏の元ツイート「この規模の地震に太刀打ちできる耐震構造をもつ原発は一基もないことを」→報道されているとおり福島第一原発は1971年に稼働を開始した古い原発で、ここが地震に耐えられなかったとしても、他の原発が地震に耐えられないとは限らない。極めて煽動的な書き方である。(追記終わり)


削除してすぐツイートしたのが以下。

@RyuichiHirokawa 広河隆一
「それ見たことか」どころではありません。次に続く東海大地震の前に、すぐ浜岡原発の停止を。


そして幾日かが経ち、ustreamに出ていたのがこれ。

【緊急報告】広瀬隆/広河隆一 「福島原発で何が起こっているか?-現地報告と『原発震災』の真実」
投稿者: ourplanet 投稿日時: 水, 03/23/2011 - 09:22

この動画の開始6分くらいで、「チェルノブイリの取材の時に使用した放射線検知器が、福島では針が振り切れた。チェルノブイリでも振り切れたことがないのに」

ということを言っている。

んー?

チェルノブイリは1986年に起きた事故であり、そのとき手に入れた放射線検知器が、今でもちゃんと動いている事を確認したのだろうか?

それと、こういう測定器というものは、通常1年に1回、最低でも5年に1回は機器校正(機械が正しく動作しているかメーカーに有償で確認してもらう)をしないと、測定データがだんだん狂ってくるのだが、こういうことをちゃんとやっているのだろうか。この動画で話されていることからは判断つかない。

この動画では、広河氏は福島原発の事故後に現地入りし、いろんなところで放射線を測定したら、ことごとく通常の数十倍数百倍、果ては針が振り切れた。と報告している。けどね。放射性物質って風の影響を受けるから、定点観測を継続しないと実際の放射線の影響なんて分からない。

更に広河氏は、
マスコミに出てくるのは東電や政府の御用学者ばかり、
「直ちに影響が出るわけではない」なんてウソを言うな、
IAEAも信用できない、
というようなことも言っている。

原発を推進している誰も彼もがウソを言っている、だから私を信用しろ。広河氏の発言はそう聞こえてしまう。

なんだかなあ。


原子力を研究している学者は全員が政府と東電の手先ってわけではあるまい。実際、東大の物理学部長早野教授(@hayano)の論理的な解説ツイートはかなり参考になる。チェルノブイリの頃(1986年)は研究が進んでいなかったこと、特に医学的なことも、今(2011年)は研究が進んでいる。チェルノブイリの悪夢を事後検証しているのだから。


原子力を安全に使うため、日々研究している学者が居る。
放射性物質に侵されたとき、人体にどう影響するのかを研究している医者が居る。
原発の安全性を高めるために努力しているエンジニアが居る。

そういう人たちがたくさん居る。

そういう人たちは、全員が全員、政府や原発推進者の手先ではない。

しかし、広河氏は、そういう人たちの努力は認めないのだろう。

福島原発に関する広河氏の一連の言動を見る限り、広河氏はもはやジャーナリストではなく、ただ単なる反原発論者にしか思えない。

偏った視点(反原発)からしか物事を見ることができないのなら、ジャーナリストの看板は下ろした方が良い。

氏のことは尊敬していたのだが、残念だ。


◆上杉隆は思っていた以上にカスだった

上杉隆の著書は一冊だけ読んだことがあり(上杉隆「ジャーナリズム崩壊」感想。2009年03月18日読了)、ネットで配信される記事は幾度となく読んだことがある。西洋礼賛の傾向が強いけど、既存のマスジャーナリズムを壊す存在としてちょっと期待していた。

枝野官房長官に「安全デマ」を問い質す|週刊・上杉隆|ダイヤモンド・オンライン

(一部抜粋)

震災発生以来、最悪の事態を想定して、各国政府の方針や海外メディアの論調をソースを明示しながら、その可能性に触れてきた筆者への評価は、「デマを飛ばすインチキ記者」という匿名の批判に集約される。


この記事の全文を読んだら、「デマを飛ばすインチキ記者」という評価がまさしくその通り、としか思えないよ。

がっかりだ。

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コメント

あなたはジャーナリズムをお解りではないとおもいますが?
実際身体を酷使して取材していらっしゃる広河氏を「インチキ」呼ばわりしているあなこそただのインチキブロガーですw

投稿: 宮崎照実 | 2011/12/05 07:39

宮崎照実氏へ

ご安心下さい、あなたよりジャーナリズムを理解しています。

投稿: 天野才蔵 | 2011/12/05 08:23

2011年12月28日[1 /8] 原口一博×上杉隆×初めまして。
読まさせて頂きましたが、古いブログなので現在のお気持ちは判りませんが

上原春男×日隅一雄×木野龍逸【1~8】http://www.amanosaizo.com/amen/2011/03/post-a61b.html
東電会見 4月4日 25時 【1~4】http://www.amanosaizo.com/amen/2011/03/post-a61b.html

動画を見てみてください。
もし興味ないならば、
「検証 福島原発事故・記者会見〜東電・政府は何を隠したのか」(岩波書店)
そして
こちらを読まれてぜひ感想をお願いします。

投稿: yoshiicherry | 2012/01/24 22:24

yoshiicherry様

コメントありがとうございます。

しかしながら、ご紹介されている動画のリンクがよくわかりませんので、見ません。

また、ご紹介されている本も読みません。

投稿: 天野才蔵 | 2012/01/24 23:08

申し訳ありません。

動画リンクが間違っていたようですみませんでした。

http://www.youtube.com/watch?v=o7kk9X6yl0w

http://www.youtube.com/watch?v=f17mjKC2AaQ

です。

本に興味持たれないのは残念です。
否定されるからには読んで欲しかったです。

ジャーナリズムの何をお分かりなのか、説明してほしいです。

投稿: yoshiicherry | 2012/01/26 01:27

yoshiicherry様

コメントありがとうございます。

>ジャーナリズムの何をお分かりなのか、説明してほしいです。

ジャーナリスト(ジャーナリズム)は、極力自分の思想信条を排除し、事実を伝えるべき存在です。但し現実の世界では、それが守られることはありません。日本に限らず、新聞テレビ雑誌などのマスメディアに属するジャーナリストは、多かれ少なかれ自分の思想信条に基づき事実を報道しています。その報道内容にはバイアスがかかっています。

典型的な例は、昨今の「アラブの春」報道です。

事実として、エジプト国民がムバラク大統領の退陣を求めるデモを行っている。

これはジャーナリズムです。

ムバラク大統領は4兆円を超える不正蓄財をしていたと見られる。

これもジャーナリズムです。


しかし、

ムバラク大統領は不正蓄財をし、秘密警察を使って言論の自由も禁じていた極悪独裁者であり、妥当されても当然だ!

これはジャーナリズムでしょうか?

私は違うと思います。

私は元々広河氏のことを尊敬していました。パレスチナをはじめ、世界中で起きている出来事を私に教えてくれた偉大なるジャーナリストだと思っています。


しかし、いま現在私の知る限り、広河氏の原発に関する言動には、科学的に疑問符が付くものが多々あります。

その言動には「反原発」というバイアスがかかっています。

これはジャーナリズムでしょうか?

投稿: 天野才蔵 | 2012/01/26 20:51

すみません、

妥当→打倒

の間違いです。

投稿: 天野才蔵 | 2012/01/26 20:54

こんばんは。

私も真のジャーナリストと言うのは
事実を伝え、又不正を暴く。
などに集約されると思います。

世界的に現在の大手ジャーナリズムは
まず政治・大手企業の絡み
天野さんが言われる思想が入り
真実を伝えるだけのジャーナリストは
本当に数少ないのではないかと私も思います。

今回の原発事故に関して
私は特にジャーナリスト・ジャーナリズム
と言うものを考えさせられました。
情報は政府と東電と大手マスコミに隠蔽され、それ故に沢山の被爆者が出てしまいました。又今も被爆者は増えています。

東電会見 4月4日 25時 【1~4】
ここにいる日隅さんと木野さんと言う
フリーランスのジャーナリストさんですが
上杉さんもいます。
質問、質問、質問。
繰り返されますが、そこには真のジャーナリストの姿と人間としての在り方が見えます。

そして私には正義と悪にしか見えない姿があります。
私はこの会見を見て泣いてしまいました。

広川さんに関して
チェルノブイリで見た事。
そしてチェルノブイリでも
まだ海外に話してはいけない真実がある事。
知ってらっしゃるんだと思います。

日本は世界最高の原発を作る国。
そう言われてます。
その技術を持ちながら水が流れた出した時に
コンクリート・パンパース・おがくず・新聞紙を投入。
水のトレースも入浴剤。
チェルノブイリ以降の研究成果がこれです。

海洋汚染400兆ベクレル以上を出している日本は世界を汚してしまったのは事実です。

これもジャーナリストの情報です。

真実を伝えるジャーナリスト
日本にもきっといるはずです。
でも、それはきっと潰されやすい存在なのでしょう。

個人的な事や意見を書いてしまい
失礼しました。

投稿: yoshiicherry | 2012/01/27 22:46

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