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2011/08/30

曾野綾子「日本人が知らない世界の歩き方」感想。
エッセイの寄せ集め。2011年08月15日読了。

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日本人が知らない世界の歩き方


1995年から2005年まで日本財団(昔の日本船舶振興会→ボートレースの収益を元に慈善事業を行う財団で、ボートのドン笹川良一が創立)の理事長をやっていた小説家・エッセイスト、曾野綾子

敬虔なクリスチャン(カトリック教徒)の曾野綾子は、教会の活動を通し、わりと若い頃から世界中を回っていた。旅をしていたのではなく、クリスチャンとして慈愛に溢れる活動をしていた。


で、本書はそんな曾野綾子の32冊のエッセイに書かれた印象に残る文章を、年代を無視して地域ごとに強引にまとめた一冊。

ここの文章には素晴らしい話や名言などもあるが、

本としては全くダメダメの酷い構成。

クソ本と言い切っていいかもしれないくらい、酷い。


曾野綾子はなんでこんな本の出版を認めたのか。


2点/10点満点


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2011/08/28

春原剛「核がなくならない7つの理由」感想。
核武装分析。2011年08月11日読了。

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核がなくならない7つの理由

本書は、原発とは何の関係も御座いません。

2010年10月に出版された、「核兵器」がなくならない政治的・軍事的理由を考察している本です。

◆本書の概要(紀伊國屋Bookwebより)

これが核を巡る現実だ。
「核があれば大物扱いされる」「核の傘は安くて便利な安全保障」「オバマ大統領に面従腹背する核保有国」―「核なき世界」構想を阻む全情勢を、七つに切り分けて徹底解説。
被爆国日本が原発ビジネスに参入した理由、米国を豹変させた「核テロ」の現実性、温暖化で進む新たな核拡散とは?この一冊で核問題が丸ごと分かる。

序章 核テロの恐怖が米国を変えた
1 「怖恐の均衡」は核でしか作れない
2 核があれば「大物扱い」される
3 「核の傘」は安くて便利な安全保障
4 オバマに面従腹背する核大国
5 絶対信用できない国が「隣」にあるから
6 「緩い核」×「汚い爆弾」の危機が迫る
7 クリーン・エネルギーを隠れ蓑にした核拡散


◆内容抜粋

・第2章は、軍事独裁政権が支配する国家として、北朝鮮とミャンマーの比較から始まる。
米国はミャンマーに厳しく、北朝鮮に甘い。
それは北朝鮮が「核武装」しているからである。

2002年9月、その北朝鮮に行った小泉純一郎元総理大臣は、「金正日総書記とと対話した際、決して笑顔を見せなかったことは記憶に新しい。この時は拉致問題の解決のため、敢えて日本側から北朝鮮の「土を踏んだ」ものの、それ以上のことはない、という意味合いを北朝鮮国内外に強く示す意図があったのだ。」

→私は「笑顔を見せなかった」事すら知りませんでした。

・第5章から引用する。
「地球規模での核戦力ではなく、あくまで自分が位置する地域内での安全確保を狙って核武装をする国家は少なくない。そのような国々には、ある種の共通項がある。1)周辺各国に敵が多く、地政学的に見て孤立状態にある。 2)近隣に強力な同盟国がいない。3)核兵器を開発できるだけの一定の工業力、科学技術力を保有している--などだ。
 これに当てはまりそうな国はイスラエルの他にイラン、二カ国がほぼ同時に核を保有したインドとパキスタン、白人政権時代の南アフリカ共和国が挙げられる。
 そんな彼らに、無邪気な笑顔で、「核をなくそう」「ここを非核地帯にしよう」と呼びかけても、簡単に応じるはずはない。」

・第6章では、2009年12月25日、アムステルダム発デトロイト行きのノースウェスト航空機が着陸態勢に入った頃、着陸20分前に乗客の一人(テロリスト)が爆発物に火を着けた。幸いにも不発で終わりテロリストは乗員乗客に取り押さえられたが、セキュリティを乗り越え爆弾を持ち込んだテロリストの手口に世界中がぞっとした。もしこれが核爆弾だったら……

→この頃私は世界一周の最中で、この事件の影響で、2009年12月29日にエクアドルのグアヤキル→マドリッドのLAN航空機にチェックインしラウンジで待っていたら、エクアドル軍から呼び出しをくらい、機内預け荷物のスーツケースの中身を開けるよう指示され、せっかくパッキングした荷物を全部ひっくり返された。


◆感想

こんな感じで、世界から核兵器がなくならない理由を著者は次々と考察していき、そのどれもが納得できる。

平和ボケした日本のマスコミではなかなか報じられない(先日書いた北方領土の話みたいな事)核武装の現実について、アウトラインだけなのだろうが、かなり勉強になる。

ではなぜ評価が7点かというと、序章と1章が読みづらかったからです。章の構成を変えると、もっとよくなった感じがするのです。

ちょっともったいない本。

でも読んで損はしない本。


7点/10点満点


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2011/08/27

テレビ雑感・北方領土(2011年8月27日)

フジテレビの深夜ニュース(ニュースジャパン)で北方領土の特集をやっていた。

スケソウダラの加工会社の社長さんの名前がタララエフっつーのに笑ってしまった。

じゃなくて。
北方領土は実効支配されて66年が経過し、既に第3世代が生まれ育っているという話だった(終戦後、島に移住してきたロシア人には既に孫がいるということ)。その第3世代はテレビ出ていた子供で12歳と11歳。北方領土みたいに娯楽の少ない島だと、あと5~6年もしたら第4世代が生まれてくるんだろうな。

で、この北方領土を日本が無理に取り返そうとしたら、北方領土に生まれ育ったロシア人がもれなく数千人付いてくる。

このロシア人を、
(1) 「日本人」として扱うのか、
(2) 「日本領に永住権を与えるロシア人」とするのか、
(3) 「ロシアのどこかへ追い出す」のか、
(4) 「北方領土内にロシア人居住区を作って閉じ込める」のか、

このあたりをはっきりさせないまま「返せー」なんて叫んだってしょうがないじゃん。
もし(3)とか(4)を選んだら、イスラエルと徹底抗戦しているパレスチナのような状況になっちゃうよ。
(3)は手切れ金の金額次第じゃ可能性のある解決案かもしれないけど。
あと(2)を選んだ場合、ロシアンマフィアの餌食になるような。

ま、日本人的な玉虫色の解決を狙うしかないんでしょうけどね。(北方領土で生まれ育ったけど戦争で追い出されてしまった日本人が全員死んでから考える、ということ)

※以下、2011年8月28日追記

2008年01月07日に読んだ、吉田一郎「国マニア」という、国の成り立ちや飛び地のエピソードが満載された本の109ページに、

「ところで、日本もロシアに北方領土の返還を本気で要求するのなら、返還後の統治形態やロシア系住民の扱いについて、具体的なビジョンを示す必要があるのでは。①北方領土に一国二制度を導入し、「北方領土特別自治県」に高度な自治権を与える、②ロシア系住民の永住権や土地所有権を認める、③日本語とロシア語を公用語とし、教育言語は日本語とロシア語の選択制とする、④日本国憲法と抵触しない限りにおいて、現行のロシアの法律・条例を引き続き適用する、⑤北方領土の議会は独自の立法権を有し、ロシア系住民の議席枠を設ける、⑥北方領土は独自の入国審査を行い、日本人の移住はビザを必要とする、⑦北方領土の公務員、警官は島民によって構成される、⑧ロシアの医師免許、弁護士や会計士の資格、教員免許、運転免許などを認める--といった具体的な提案がないと、いつまで経っても現実的な交渉はできないはずだ。」


ということで、私が上に書いた話は吉田氏の受け売りで、私のオリジナルな発想ではありません。

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2011/08/24

山本直人「電通とリクルート」感想。
広告業回顧録。2011年08月09日読了。

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電通とリクルート

博報堂出身の著者(と言っても1964年生まれ)が書いた広告回顧録。

回顧録として読むとそれなりに面白いのですが、タイトルには大して意味がない。

そんな私はタイトルに釣られて買ってしまって、ちょっと失敗したなあ、と。


5点/10点満点


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2011/08/23

デレック・ハンフリー「安楽死の方法 ファイナル・エグジット」感想。
安楽死指南書。2011年08月06日読了。

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安楽死の方法 ファイナル・エグジット

「安楽死」に関するハウツー本。1992年に出た本なので、古本でしか入手することは出来ません。臓器移植か臓器売買に関するなんかの本を読んでいたとき、巻末の参考文献に記載されていて興味を持ったので、amazonのマーケットプレイスで入手しました。

本書の著者はジャーナリストでアメリカ安楽死協会の会長さん。

内容は、死ぬためのハウツー本(鶴見済「完全自殺マニュアル」)とは異なり、生命倫理について、とりわけ病気で苦しみながら死ぬことがわかっている人が、如何に苦しまずに死ねるかを主題としており、病気で体が動けなくなった妻を夫が(夫と妻が逆でも良いし、子供でも良い)法に触れずに安楽死させるための法解釈(米国法)や、倫理的解釈なども記載されている。

病気で体が動けなくなった妻を夫が法に触れずに安楽死させるため、の手段として幾つかの安楽死方法が具体例として掲載されている。

例えば、銃による自殺は本人は楽に死ねるが、誰が後始末をするのかを考えたら、安楽死協会は奨めることが出来ない手段であるとか、シアン化カリウム(青酸カリ)が自殺に適していると思われるが、用法用量を間違えると痙攣とひきつけを起こし嘔吐し叫び血を流しながら死ぬことになる、などが書かれている。また安楽死協会の理念として、安楽死したい自殺者は孤独に死ぬべきではない=身内に見守られながら息を引き取るのがベター、とも記載されている。

いずれにしても、本書は20年前の本であり、医療は20年前とは比べものにならないくらい進歩しており、またホスピスなどの考え方も一般的になってきている現代に於いては(20年前はアメリカではホスピスは一般的ではなかったらしい)、本書は参考程度(何の?)に留めるべき本だろう。


6点/10点満点


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2011/08/20

白波瀬佐和子「生き方の不平等―お互いさまの社会に向けて」感想。
思想書。2011年08月03日読了。

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生き方の不平等―お互いさまの社会に向けて

本エントリーは長いぞ。覚悟すること。


この本(も)、私が在学している法政大学の夏期スクーリング「人文地理学実習」の教科書なので読んだ。

タイトル見ただけで内容が推測でき、この手の思想が大嫌いな私は一文字たりとも読みたくなかったが、「スクーリングの前に読んでおけ」との指令だったので仕方なく読んだ。

1958年生まれ(たぶん現在53歳)の著者は、同志社女子大を卒業した後、39歳でオックスフォード大学で博士号を取得した方である。39歳でオックスフォードってことは、そこに至るまで頑張って金貯めてから留学なされた苦労人であろうことが推測できる。

んで、現在は東大大学院の准教授である。


んで、本書はエリート様が語る貧困論である。大方の予想通り、社会主義、共産主義的な主張が満載で反吐が出る。

おどれは現実をどんだけ知っとんのじゃ?


で、要約するのである(注:講義の主題で「正しい要約」をせよ、との指令が出たのだ)


第一章 ゆりかごが決める人の一生 要約
 まず子供の不平等について考える。従来制度化されていた児童手当および家族手当は、妻子を養うための生活保障が第一義であり、子供自身の福利を保障する制度ではなかった。これを指標化したものとして、「日本における児童手当の対GDP比が低いこと」(p28)が挙げられ、更に掘り下げた「18歳未満の子供のいる世帯の貧困率を国際比較」(p30・図1-2)を著者は提示する。

 著者はこれらデータを更に詳しく分析し、「未就学児のいる世帯の貧困率が大きく上昇している」(p31)や、「若くして結婚し幼い子供を抱える家族の経済的に厳しい状況がうかがえます」(p32)と述べる。また、「就労状況のジェンダー差」(p32)、「若年既婚者の学歴分布」(p33)、「社会保障負担の高さ」(p34)、世帯構成別に見た貧困率(p35・図1-5)などについても言及し、「子育てに関する負担として最も多く寄せられるのが経済的なこと」(p36)としている。

 その上で、「子供は親を選ぶことができません」(p36)ということが、子供にとって「社会のスタートラインに差を生み出す」(p37)ことにつながり、「世の中の子供は、どのような親元に生まれようが「ひととなり」を保障されなければならない」(p39)と著者は主張する。

 「子供の幸せは親の幸せ」(p39小見出し)であるが、「親たちは貧しかった自分とは違った豊かな人生を歩ませたいと、子供たちへの期待を膨らませ…後略…」(p41-42)ている一方、「ネグレクトならぬ、親からほとんど注目されずに育っていく子もいます」(p43)と、様々な親が存在していることを示し、そして著者は自分の子供だけが子供なのではなく、「この世に生を享けたすべての子もまたわれわれの子です」(p45)と述べる。

 次に母子家庭の貧困率について、世界各国の「両親が揃っている世帯」と「母子家庭」の貧困率を比べ(p47・図1-6)、日本の母子家庭の貧困率は他国より際立っていることを示し、アメリカとイギリスの現状を「教育を十分うけることなく10代で妊娠し、その現実がわからないままに子供を生んで母親になる…中略…彼女たちは貧困層へと転げ落ちていきます」(p48)と分析し、日本においては「日本の母子家庭の母親はアメリカ以上にワーキングプアの状態にあるといえます」(p49)、「母子家庭の子もまた母子家庭となっていく」(p50)と述べている。

 更に著者は日本における、二人親、母子家庭、父子家庭、における子供の就労・就学状況を調査し、「(世帯の)所得が高いほど平均子供数が少なく、低所得層ほど平均子供数が多い傾向にある」(p55)と分析する。しかし子供によりよい教育をうけさせようと希望するのは、高所得者層も低所得者層も関係なく、「我が子であろうが、他人の子であろうが、子供の生活をわれわれ大人が保障していかなければならないのです」(p58)と提言し、具体案として「学ぶ権利の保障」「チャレンジする機会の保障」を示し、更には高校教育までの総合的な教育改革を訴える。この観点から、民主党政権が採った子供手当は、「国が子供を対象として正面切って保障政策を立ち上げた意義そのものは極めて高い」と評価している。

第一章の評価と疑問点
・「国際的に見て日本における児童手当の対GDP比が低い」(p28)
→この文章の直後に出てくる図1-1は、この文章の図ではない。誘導している印象を受ける。
→ここでいうGDPは、名目GDP(単純な金額)なのか、実質GDP(為替変動を考慮)なのか、購買力平価(俗に言うビッグマック指数のような考え方)を考慮しているのかが不明である。

・貧困率の定義を、「貧困問題で頻繁に引用される相対的貧困率(以下、貧困率)は、世帯収入に世帯サイズ(世帯人員数)を考慮して算出…後略…」(p29)、「図1-2は18歳未満の子供の…中略…OECDのやり方を踏襲して世帯の可処分所得を世帯人数で等価して一人当たりの福利厚生度とし、それをもって社会全体人口の貧困率を算出する方法をとっています。」(p30)
→OECDについての説明がない。(社会科学を勉強する者なら知っていて当たり前?)
→OECD基準が適切である根拠は?
→可処分所得、に関する定義が示されていない(OECD基準?)
→世帯の可処分所得を世帯人数で等価して、に関する数式が一切示されていない。
→絶対的貧困率への言及がない。
 ※絶対的貧困率とは、世界銀行の定義で1日の所得が1米ドル以下に満たない国民の割合の事
→それらを踏まえ、図は国別貧困率に置き換えられているため、(日本の場合)世帯年収が幾らからが貧困と位置づけられるのかがわからない=日本の貧困についてイメージが湧かない。

・「図1-4の分析対象者となっている若年既婚者の学歴分布を見ると…後略…」(p33)
→若年ではない既婚者の学歴分布が比較掲載されていないため、図1-4にて示された学歴の偏向性が、“若年既婚者”のみに見られる傾向なのか、読者は判断できない。

・「貧困層にある母子家庭の多くが未婚の若いアフリカ系アメリカ人(黒人)女性です」(p48)
→単純な疑問として、ヒスパニック(中南米系の移民)は含まれないのか?

・「日本の母子家庭の母親はアメリカ以上にワーキング・プアの状態にあるといえます」(p49)
→感情的にはわかるが、それならば働かずに(生きていくための最低限の生活費を支給される)
生活保護を受ければ良いだけの話。最低限以上の生活をしたい人が多いというだけでは?

◆ちょっと飛ぶが、第四章 評価と疑問点
・「格差の測り方」(p164-167)
→4ページに亘り記載されている格差の測り方に関し、この計算方法は「所得」が計算根拠となっており、「資産」への考慮がなされていない。従って、次のような疑問が生ずる。
(疑問例)総額3億円の土地を所有しているが、現金収入は月額12万円(年収144万円)だけの独居老人は、所得で見ると貧困層に分類されるが、果たしてこの老人は貧困層か?
 (この疑問例は、土地を現預金に置き換えても構わない)

・「家族だから介護すべしと言う規範からの解放をめざすのであれば、介護自体をサービスであり労働ととらえて、報酬体系を検討することが急務です。」(p181)
→家族が介護を行うとキャッシュが必要ないというメリットがあり(経営学的にいうキャッシュフローの観点)、著者の主張にはこの視点が抜けている。


◆スウェーデン
・(p113)「アメリカやイギリス、スウェーデンといった欧米諸国において…略…」
・(p128)「福祉国家としてお手本となるスウェーデンにしても」
・(p129)「経済の回復とともに再び出生率が上昇しているのが今のスウェーデンです」
・(p196)「スウェーデンの恵まれた社会福祉政策は、…略…」

知らない人のために書いておくが、スウェーデンは(半分)社会主義国家だよ。


というわけで、(私の価値観に照らせば)ダメダメ本である。


3点/10点満点


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2011/08/18

宮嶋茂樹「不肖・宮嶋のビビリアン・ナイト(下)」感想。
イラクルポ。2011年08月02日読了。

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不肖・宮嶋のビビリアン・ナイト〈下〉イラク戦争決死行 被弾編

というわけで下巻。

イラク情報省が主催する取材バスツアーしか行き場のない宮嶋茂樹は、米軍が爆撃した痕跡に連れて行かれるだけのお仕着せ取材に飽きてきている。

そんな感じでイラクの悲惨な現場取材をしていると、屈強なイラクの男どもが怪我して病院に担ぎ込まれている場面を山ほど見る。空爆ってのは無差別攻撃だから
(p68)「犠牲になるのは女子供ばかり」なんてのは大ウソである。
と言い切る。

で、泊まっているホテルが停電になって、デジカメやインマル(衛星電話)に充電できなくなってひぃこらする話や、イラク情報省に払わなければならないパソコン&インマル代金(ジャーナリストビザでパソコンやインマルをイラク国内に持ち込むとそれぞれ1日100ドルの税金がかかる)を踏み倒す話とか、イラク情報省に死体置き場に連れて行かれたら死体だらけであった話とか、イラク情報省の国外退去命令ブラックリストに載せられてしまったのを何とかした話とか、戸田嬢という肝の据わった日本人女性ジャーナリスト(手配屋さん)の話とか、

まあそんなこんななエピソードが山盛りに展開した後、

バグダッドに進行してきたアメリカ軍の戦車が、宮嶋茂樹(を含む全世界のジャーナリスト)が宿泊するホテルに砲撃(誤撃)して、異国のジャーナリストが数名死亡したんだけど、このスクープを日本に送ったのに日本では報道されなかった話とか、

で、そんなこんなのうちに、バグダッドのフセイン像が倒され、バグダッド陥落……


その瞬間、それまではフセインへ忠誠を誓っていたイラク国民どもが、一斉に市内各所での略奪を開始。

国防省や外務省や警察などの公的機関にはすべてイラクの略奪民が押し寄せ、どんな些細な物であっても略奪しまくり、略奪できる物がなかったら腹いせに火を放つ。

そんな光景があちこちで見られた。それをして宮嶋茂樹は、

(p298)……このアホどものこじつけ、詭弁はわかりきっておる。
「我々は独裁者に二十四年も搾取されてきた。それを今、取り戻しているにすぎない」
 このアホどもの言い分に一分の理があるとしても、今、コイツらが火を放っているのは官公庁である。戦時下とはいえ、昨日までは一応機能していた治安、行政の中枢である。それに自らの手で火を放ち、破壊し、セコイ備品を奪い去っているのである。
 法務局には登記簿がある。外務省には旅券の書類もある。警察には治安維持に必要な武器や住民情報、犯罪記録、安全情報がある。それらを敗にしてしまえば、復興するもんもしなくなる。コイツらは、近い将来の大困難にオノレで拍車をかけているのである。


と、嘆くのである。


イラク戦争(2003年3月17日米軍先制攻撃、19日爆撃開始、20日から本格開戦、4月9日バグダッド陥落)から8年も経った今(2011年)。

今読んでも全く色褪せることのない、素晴らしいルポである。


宮嶋茂樹の文体(語り口調)は好き嫌いが出ると思うが、それでも、バグダッド陥落のその場に居たジャーナリストのルポは貴重である。


9点/10点満点


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2011/08/16

宮嶋茂樹「不肖・宮嶋のビビリアン・ナイト(上)」感想。
イラクルポ。2011年07月28日読了。

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不肖・宮嶋のビビリアン・ナイト〈上〉イラク戦争決死行 空爆編

アメリカ対イラク戦争のルポ。

臨場感たっぷりのイラク戦争取材記であり、宮嶋茂樹の価値観がよく表れていて、面白いのである。

戦争自体は2003年の出来事だが、本書の元となる単行本が出たのは2007年。戦争後4年も経ってから出版されたのには、様々な事情があるので御座いましょう。

1章から3章までは、ヨルダンのアンマンでイラクのジャーナリストビザを取得するまでの悪戦苦闘ぶりを。
4章でイラク国境突破。
5章は、イラク入国直後に見た空爆の犠牲者(当然イラク人)
6章は、バグダッドに入り首都空爆のさなか、イラク情報省との丁々発止のやりとり。
7章から10章は空爆下のバグダッドでの取材。

私は宮嶋茂樹の価値観が好きである。

ビンラディンをぶち殺すために行ったアフガン戦争取材記(「儂は舞い降りた」「儂は舞い上がった」)で、アフガン人のことを「教育のなってない山猿」と言い切るあたりに親近感が持てるのである。私と価値観が近いんだろうな。とはいえ、単行本で買うほどではない。文庫なら買う程度の“好き”なんですけどね。


しかしまあ、きれい事ばかり言っていたって世の中上手く回りませんて。

ラブ&ピースで国際貢献するNGOやNPOは、世の中から戦争や貧困がなくなったら、自分自身の食い扶持がなくなる(伊勢崎賢治「国際貢献のウソ」より)ということですよ。


8点/10点満点


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2011/08/14

木村元彦「悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記」。
旧ユーゴルポ。2011年07月25日読了。

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今年2冊目の10点満点。

悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記

千田善という方がいるのです。サッカー日本代表のオシムの通訳をやっていた方です。この方の本業はユーゴスラビア研究家で、「ユーゴ紛争 多民族・モザイク国家の悲劇」(1998年01月09日読了)という本を出されています。まあ他にも本は出していますが。(私は他に「ユーゴ紛争はなぜ長期化したのか」という氏の著書も読んだ→当ブログ未掲載)

私の持っていた「世界」という概念がブチ壊れたベルリンの壁崩壊は私が22歳の時で、以降の東欧諸国崩壊に興味があり、まあそれなりにニュースには注目していた(当時はノンフィクションやルポやドキュメンタリーなんてほとんど読んでいなかった)。けど、東欧崩壊に引きずられるように始まったユーゴスラビア瓦解に何故か違和感を覚え、それはボスニアヘルツェゴビナがやたらと被害者になっているニュース報道が原因で(後日この違和感の原因が高木徹「戦争広告代理店」を読んですっきりした)、30歳を過ぎてから旧ユーゴの本を読み出すようになったんですよ。


旧ユーゴは、要するにセルビアが一方的に悪者にされたのであって、たぶんセルビア人も相当酷いことをやったんだろうけど(民族浄化と名付けられた虐殺とか)、それと変わらないくらい酷いことをクロアチア人もやっているし(現在のクロアチア領に住んでいるセルビア人を追い出す際に虐殺強姦強奪しまくった)、ボスニアの連中も酷いことをやってただろうし(現在のボスニア領に住んでいるセルビア人を追い出す際に虐殺強姦強奪しまくった)、結局のところとても後味の悪い戦争だったってことだ。

まあ数冊程度ではあるけれども旧ユーゴ内戦に関する本を読んでいて、それなりに知ったつもりになっていたんですよ、私は。

そんな程度の私が思うに、日本人が書いた旧ユーゴの本は、どこかの民族への肩入れが少ないので、わりと公平に書かれているんじゃないかな、と思うのですよ。


で、本書。

本書は、私が敬愛するエンターテインメントノンフィクション(通称エンタメノンフ)作家、高野秀行氏が、氏のブログ「ムベンベ」で絶賛していたから買いました。

本書の著者木村元彦は元々はスポーツライターで、ユーゴスラビアサッカーに取り憑かれた人。中でもピクシー=ストイコビッチ(セルビア出身)のプレーに魅せられた人である(違ってたらすみません)

で本書は、コソボ紛争でセルビアがNATOに空爆されている前後にセルビア、クロアチア、コソボ、モンテネグロ、スロベニア、マケドニアに「サッカーを見に」行き、その現場で見聞きした旧ユーゴの現状を、サッカー中心にまとめたルポ。

細かな内容は省きます。


旧ユーゴに関心のある方は、絶対読め!


というくらいの名著。

これぞルポ。

素晴らしい。


10点/10点満点

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2011/08/10

忘れないうちに。(地下鉄サリン事件の風化)

地下鉄サリン事件が起きたのは1995年。私(1966年生まれ)らの世代には忘れることが出来ない事件である。

私なんざ通勤に千代田線を使っていて、通勤で乗った一本後の千代田線で事件が起きたから尚更だ。
(当時同僚の女子社員=日比谷線通勤=は事件の被害者になった)

で、今(2011年)の大学生は1990-1993年生まれが中心で、地下鉄サリン事件のことなど全く覚えていないのが大半だ。

ロンドン留学していた大学生が、「ロンドンの地下鉄では、乗客が捨てた古新聞とか雑誌が座席の後ろに置いてあって、後から乗った乗客はそれを読むことが出来る。日本ってエコじゃないなあ」なんて言っていた。

で私は「それは地下鉄サリン事件の影響だよ、知らないの?」と聞くと、

「!初耳!」

だってさ。

事件から16年。物事が風化するには十分な年月なんだね。

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2011/08/08

次回更新予告

現在大学のサマースクーリングに行っており、今週が最終週です。

が、宿題のハードルがめちゃくちゃ上がりました。
単位認定試験の対策もしなくてはなりません。

ブログ更新しているヒマがありません。履歴書を送るヒマもありません。(電車通学しているので本はそれなりに読んでいますが)

ので、当ブログの次回更新は8/14頃になります。

誰に向かって言うでもなく……

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2011/08/05

とあるコンゴ研究者へ向けた意見。

とあるコンゴ研究者が、自身のブログで「福島原発事故の原因を作った人物に刑事罰を課すべきだ」という主張をしていた。その補足で、「フリージャーナリスト上杉隆は、原発が原因で自殺している人も出ていると報告している」と書いていた。

上杉隆はもやはジャーナリストではないと思っている私は、このコンゴ研究者のブログに「上杉隆の発言だけを信用してブログを書くのは研究者としてどうなのよ?」と罵詈った。ガン無視されましたけど。

というわけで計算する。

日本の人口はおおよそ1億2705万人である(2010年データ)
日本の自殺者数は31,690人である(2010年データ)

岩手県民はおおよそ138万人(2009年データ)
宮城県民はおおよそ234万人(2009年データ)
福島県民はおおよそ210万人(2009年データ)

被災3県の合計人口は582万人で、これを日本の総人口で割ると4.6%である。

被災3県の年間自殺者数(パーセンテージで単純計算した数値)は1,451人である。

これを365日で割ると約4人となる。(ひと月だと120人)

原発事故が起きようと起きまいと、被災3県では毎日4人が自殺している計算になる。

上杉隆が、(仮に)「今日も福島で原発を苦にした自殺者が出た!」と言ったとしても、その言葉自体に大きな意味はない。

例年と比べ明らかに自殺者が増えているデータじゃない限り、原発事故が日本人の人生に深刻なダメージを与えているとは言い切れない。

原発事故が起きようと起きまいと、自殺する人は自殺する。今回のケースは、自殺者の自殺理由が、「景気が悪くてもうダメだ」から「原発事故でもうダメだ」に変わったに過ぎないのだ。


※「罵詈」を動詞として活用するのは間違いです。

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2011/08/03

真野栄一・遠藤宏之・石川剛「みんなが知りたい地図の疑問50」感想。
うんちく本。2011年07月25日読了。

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みんなが知りたい地図の疑問50―地図はなぜ北が上なの?コンビニのマークが地図記号にないのは?

ん?

雑学うんちく本として、普通に面白かったですよ。

4点/10点満点


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2011/08/02

宮田珠己「ジェットコースターにもほどがある」感想。
ジェットコースター満喫エッセイ。2011年07月18日読了。

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ジェットコースターにもほどがある

ジェットコースターが大好きな著者宮田珠己が、わざわざアメリカに行ってレンタカーを借りてアメリカ中の遊園地を回って100種類以上のジェットコースターに200回以上乗る。その体験記。それが本書。

ジェットコースターに興味のない私は、いくらご贔屓作家の宮田珠己とはいえ、さすがにこの本は楽しめないだろうと思っていたのだが、読前の予想より面白かった。

第1部はまじめなジェットコースタールポで、これはイマイチ。

でも第2部以降、はっちゃけた感じが多大ににじみ出てきて、いつものタマキング(宮田珠己の尊称)節が全開になるのである。ファンには堪えられん。

あと、本書はイラストが絶妙である。もし本屋で見かけることがあったら、142ページのイラストや、157-158ページのイラストを見て下され。はじけた宮田珠己の一端がわかろうというものである。


6点(第1部が固かったので減点)/10点満点


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