広野伊佐美「幼児売買-マフィアに侵略された日本」感想。
ルポ。2011年09月10日読了。
ブログランキングに参加しております。
バナーをちょこっと押していただけると恐悦至極なり。
本書は1992年に書かれた本で、サンデー毎日に連載し好評を博した幼児密売ルートを暴くシリーズ+日本に海外マフィアが進出している当時の現状を出来る限り取材したルポ。
粟屋剛氏「人体部品ビジネス」の参考文献として書かれていたので手に入れた(絶版本なのでamazonマーケットプレイスで)。
幼児売買に関するルポは第1話のみで、他の話はHIVに感染しているタイ人売春婦を追っかけたり、米軍が麻薬や銃器密売ルートの一翼を担っている話だったり、ユダヤ人(イスラエル人)がやくざをものともせず日本中のあちこちで露店を開いている話とか、まあ今読むと既に小説のネタになっているような話が多い。
幼児売買の話は、東南アジア諸国やアルゼンチンなど南米諸国の貧しい家族の子供を、欧米人の子無し家庭が合法的に養子縁組し、その子供を移動させる際に成田が中継点として使われている、というもの。ネタの出所は入管職員。
著者の広野伊佐美氏は、「ドナービジネス」を書いた一橋文哉氏の本名らしい(wikipediaより)。
で、「ドナービジネス」を読んでいるときにも感じたのだが、それぞれのエピソードについて、確信の人物に到達するまでの道のりがあまりにも簡単である。
「××の件に関し、旧知の間柄である暴力団幹部に聞いたところ、◎◎が黒幕だと教えてくれ、◎◎と会う段取りを着けてくれた」
「麻薬取引の現場に居合わせ、片方の車を追いかけ、ジュースを買いに車から降りてきた人物に突撃取材したら、案の定、しどろもどろになった」
なんて感じ。
ルポ本としてどうにも信憑性が薄いんだよなあ。
全部本当だったら、とんでもないスクープ連発のはずなんだけどねえ。
(評価保留)点/10点満点
◆余談:臓器売買に関する最近の読書
最近、私は好んで医療関係、なかでも臓器売買及び臓器移植についての本を読んでいる。
◆粟屋剛「人体部品ビジネス」2011年09月05日読了(フィリピンとインドの臓器売買ルポ兼、臓器移植そのもの倫理を考える思想書)
◆岸本忠三・中嶋彰「現代免疫物語」2011年08月29日読了(免疫研究に関する医学史の入門書)
◆ドナ・ディケンソン「ボディショッピング 血と肉の経済」2011年08月23日読了(生命倫理を問う本)
◆デレック・ハンフリー「安楽死の方法 ファイナル・エグジット」2011年08月06日読了(安楽死本)
◆岩田健太郎「「患者様」が医療を壊す」2011年07月17日読了(医者の思想エッセイ)
◆一橋文哉「ドナービジネス」2011年02月16日読了(作り話っぽく信頼性に欠ける)
◆山下鈴夫「激白 臓器売買事件の深層」2011年01月25日読了(臓器売買犯の言い訳)
◆城山英巳「中国臓器市場」2011年01月24日読了(ルポ本としての構成はイマイチだが取材内容は良)
◆青山淳平「腎臓移植最前線」2010年10月17日読了(これは良書)
◆木村良一「臓器漂流」2010年09月09日読了(本としては残念だが事実関係は興味深い)
| 固定リンク
「◇ルポ・ドキュメンタリー」カテゴリの記事
- スコット・カーニー「レッドマーケット 人体部品産業の真実」感想。
臓器売買ルポ。2012年04月30日読了。(2012.05.01) - 山田敏弘「モンスター 暗躍する次のアルカイダ」感想。
ルポ。2012年04月24日読了。(2012.04.24) - 早田英志・釣崎清隆「エメラルド王」感想。
コロンビア在住日本人の伝記。2012年03月19日読了。(2012.03.24) - 水谷竹秀「日本を捨てた男たち」感想。
在フィリピン困窮日本人ルポ。2012年03月04日読了。(2012.03.16) - 木村元彦「終わらぬ「民族浄化」 セルビア・モンテネグロ」感想。
ルポ。2012年02月26日読了。(2012.03.12)

コメント