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2011/11/26

富坂聰「中国マネーの正体」感想。
中国分析。2011年11月04日読了。

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中国マネーの正体―日本に群がる!


私が今イチオシの中国ウォッチャー富坂聰の最新新書。なんでイチオシなのかというと、1964年生まれの著者は高校卒業後の1980年代初頭に北京大学に留学し(但し中退したらしい)、中国語が達者であり(但し中国人と喋るとネイティブではないことがばれるらしい)、在学中に築いた中国人人脈を元に、中国各地に情報網を持っているからである。年齢からいって、北京大学の同級生の一部は共産党や国営企業の幹部に登り詰めた人たちも居るのではないかと勝手に想像している。

そんな著者が今回書いた本は、中国人は羽振りが良い。羽振りが良いのだから、傍から見ているだけじゃなく、日本も調子を合わせてもっと儲けられるよ。みたいなテーマである。

とはいえ、まず序章で「中国は13億人が住む巨大市場」というのは間違いであると警告する。

第1章以降にこれに関する詳しい記述がなされているが、中国が人口13億人の超大国なのは間違いないが、桁外れの億万長者も大勢いるし、そこまでの大金は持っていないけど日本の富裕層並みの所得層もいるし、中間層も増えてきた。しかしやっぱり中国は貧富の差が激しく、(普通の先進国の基準に当てはめると)貧乏人が一番多い。中国は「13億人の市場」ではなく、中国のどの層に向けて商売をするのかきっちり決めておかず、13億人市場の幻想で商売を始めると、足下を掬われることになる。と警告している。


中国が「世界の工場」として機能していたのは、低賃金で働く工員が大勢確保できたからである。しかし昨今の中国では「人口ボーナス」が枯渇しつつある。「人口ボーナス」とは若者が大勢いて、働き手を捜すのに苦労しない状態(にある国家のこと)を指す。中国は一人っ子政策(1979年に開始された)により急激な少子高齢化を迎えている。一人っ子政策が始まってから生まれた世代が既に30才を超えているのだ。当然その年代の夫婦から生まれる子供も一人っ子である。(注:農村部には一人っ子政策は適用されていない)

「人口ボーナス」が枯れてきているにもかかわらず、世界中の企業がまだまだ中国に進出している。その結果、中国では工員の不足が生じ始めた。そして、日本のニュースでも報道された「賃金アップのストライキ」が中国各地で行われるようになり、中国は「世界の工場」としての地位を失いつつある。

繊維産業(アパレル)は機敏に反応し、縫製職人が多数いるバングラデシュにどんどん工場を移転していった。日本のアパレル会社がバングラデシュに工場移転を決めたのは最後発に等しく、バングラデシュの立地条件の良い場所は韓国企業や中国企業(ここ大事)に買われた後だった。

つまり、中国から逃げ出している企業に、中国の会社も含まれているのだ。


さらに中国は急速な発展に伴い、電力不足が深刻化しつつあるという。現在14ヶ所ある原子力発電所に加え、10年後には70基、2030年までに200基、2050年までに400基まで増やす計画があるという。

しかし10年後の話はどうでも良く、まさに今、電気が不足しているのである。電気がなければ工場は稼働できない。

原発ができるまで、火力発電や水力発電を増強しようとしているが、中国がばかすかエネルギーを消費するから、石炭やガスや石油は値上がりし、水力発電に使うダムは川の土砂や生活ゴミが堆積して使い物にならなくなる可能性がある。

著者によると、中国は石炭採掘の参入障壁が低いらしく、地下経済の連中がもぐりで勝手に採掘している炭鉱が無数にあり、国営の石炭会社が、もぐりの連中から石炭を仕入れているケースもある。


この他、中国人は「儲かる」ことを見つけたら、誰彼構わず、ノウハウがあろうと無かろうと、とにかく儲け話に参入する。その顕著な例が自動車産業で、中国の自動車需要は年間2000万台なのに、生産可能台数は4000万台分の自動車工場があるのだそうだ。(いまはどうだか知らないけど、一時期中国には400社の自動車メーカーがあったと言われている)

中にはボルボを買収した吉利(チーリー)集団みたいな優良企業に化ける会社も出てくるけど、それにしたって儲け話に群がりすぎだろう。


また中国政府は年金制度の導入を検討しているらしいが、普通の中国人は年金制度の実現なんか無理、と諦めの境地に至っている。そのため中国の金持ちは、(年金制度実現のためにしこたま税金を払えといわれる前に)如何にして中国から諸外国へ金を持ち逃げするか、その段取りをし始めているところだとか。


こういう話が盛りだくさんに展開される本書、なかなか面白く読めました。

といいつつ評価7点というのは、マクロとミクロの話がごっちゃになっているから。マクロ視点かミクロ視点か、もうちょっと統一感を出した方が、書籍としての完成度は高まると思うのです。(いや、今でも十分面白いんですけどね)


7点/10点満点

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コメント

富坂聡は中華民国台湾のパシリ工作員で、こいつの書いてる記事はほとんどが中華民国台湾の情報部から提供された情報をそのままアナウンスしているだけ。
こいつ本人には中国情勢を分析する力などありはしない。すべて情報部の分析官が言っていることの受け売り。こいつはただ台湾人が言えないことを日本人の名前で言っているだけの代言人。中国人の金と情報で動く売国奴で中華のスパイ。
台湾情報部のパシリだから中国の悪口も時には言うが、基本的に中共と日本の関係を破壊するのが役目。

投稿: 湾コロ | 2016/05/30 13:56

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