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2011/11/29

ダンビサ・モヨ/小浜裕久訳「援助じゃアフリカは発展しない」感想。
提言書。2011年11月16日読了。

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援助じゃアフリカは発展しない


本書の著者ダンビサ・モヨは、ザンビアの首都ルサカで生まれ(両親ともザンビア大学を卒業しているエリート)、ザンビアで小学、中学、高校、大学へと進学したが、著者の大学在学中にザンビアでクーデターが起きて国内が混乱し大学が閉鎖されたため、著者はアメリカに渡り、アメリカで奨学金を貰いながら高等教育を終了し(カレッジだと思う)、世界銀行で2年間働いた後、ハーバードの修士課程で2年間、オックスフォードの経済学博士課程で4年間勉強し、ゴールドマンサックスで8年働いて、本書を執筆。(現在は執筆活動を中心にしているのかな?よくわからん)

本書の原著「Dead Aid」は2009年に出版され、「フィナンシャル・タイムズ」などで取り上げられ評判となり、日本語版は昨年(2010年)8月に出版された。

というわけで、昨年買った積ん読本をようやく読み終えました。


本書が発するメッセージはタイトルの通りで、際限のない援助がアフリカ諸国の発展を阻害している、という内容である。

それなりの量のアフリカ関連本を読んでいるせいか、この手の話はたびたび出てくる。最近読んだ本だと、石弘之「キリマンジャロの雪が消えていく」には、善意で「アフリカで井戸を掘る」行為は、砂漠に近い場所でこういう善行をしても、井戸ができることによって遊牧民が井戸の周りに住み着き、遊牧民が飼っている家畜が井戸の周りの草を根こそぎ食い荒らし、砂漠化が加速するケースもある、と出ている(もちろん全ての井戸掘りが駄目とは言ってないが)


本書はそれよりももっと過激に、

国連が援助する資金によって肥え太るのは独裁政権だけであり、それがわかっていながら国連の官僚システムは国際援助そのものが目的と化しているのでなかなかやめられない、とか、

U2のボノが困窮極まる最底辺の人たちを助けるためにチャリティーを行うが、その金で寄付された物資(もちろん無料で配られる)のせいで、地場産業が壊滅的な打撃を受ける、とか、

まあ、そういうことが書かれている。


データの信憑性に?がつく部分があったり、計算根拠の異なるデータを並べて比較したり、極論が多すぎたりと乱暴な部分も目立つが、とはいえ「援助は役に立っていない、むしろアフリカ諸国の発展を阻害している」ことを経済学者らしくデータで説明している点や、ザンビア出身でザンビア大学に通っていた著者だからこそわかるザンビアの(ひいてはアフリカ諸国の)問題点を指摘しているなど、説得力も高い。


著者のメッセージのなかで、「アフリカにおける開発の難しさは二つの道筋の板ばさみとなっていることである。一つはアフリカの人々を、開発に自力で取り組めず成長を自ら達成できない子供のような存在であると見なすアプローチである。もう一つは、持続可能な経済成長に目標を定めようとするならば、アフリカの人々が大人として扱われる必要があると考えるアプローチである。もちろんのこと、援助依存モデルの問題点は、アフリカ諸国が永遠に無邪気な子供のような国家として扱われていることである」(P43)

という部分は印象的であった。


また著者は、援助ビジネスに関わる人の多さにも言及している。要約すると、
世界銀行に1万人、
IMF(国際通貨基金)に2500人、
他の国連機関に5000人、
公認のNGO、民間慈善団体、政府の援助機関団体の従業員が少なくとも2万5000人、
そのほか全てを合わせると、およそ50万人が援助に関係している。(P77)

逆説的に言うと、国際援助というシステムが無くなると、一番困るのは援助でメシを食っている上記50万人だ。(私の注:この50万人には、無償ボランティアは含まれていないと思います)

だから、国際援助は無くならない。

そしてアフリカ諸国の、特に独裁国家の独裁者達は、国際援助が無くならないことを知っている。
(本書のP7に、ポリティIVのデータベースによると、アフリカには完全な独裁国家が11ある。ブラザヴィルコンゴ、赤道ギニア、エリトリア、ガボン、ガンビア、モーリタニア、ルワンダ、スーダン、スワジランド、ウガンダ、ジンバブエ、と書かれている。他にもアンゴラ、ブルキナファソ、カメルーン、ギニアも可能性大)


事実として出ているデータで興味深かったのは、ガンビアとエチオピアの財政収入の97%が援助らしい(P102)。
財政収入の97%が援助って、世界が見捨てたらこの2つの国民は数ヶ月後には大量死ってことだ。


また、アフリカでビジネスを行う際に発生する手続きの面倒くささの例として、
カメルーンではビジネスの免許を取得するのに15の手続きに426日、
中国では37の手続きに336日、
アメリカでは19の手続きに40日、
比較的マシなアンゴラは12の手続きに119日、
でも韓国なら10の手続きに17日、
でビジネス免許が取得できる。(P140)

これじゃあ外資は呼び込めないよなあ。


とはいえ、一般市民の大半が銀行口座を持っていないケニアでは、SMS=ショートメッセージしか使えない携帯電話を使った国内送金サービス「エムペサ(M-Pesa)」が急速に普及している例も紹介している(P195)。2007年に誕生したこのシステムは、近々国際送金にチャレンジするらしい。そうなったらアジアを含めて急速に世界のマネー流通の勢力図が塗り変わるかもしれないな。


雑多な感想になってしまったが、荒っぽい内容の本だが、アフリカに詳しくなくても、援助ビジネスに詳しくなくても、社会学に興味が無くても、アフリカが抱える援助の問題点は理解できると思うし、わかりやすく書かれていると思う。


良書である。


※追記:本書ではボツワナが援助に頼ることをやめ、結果的に国債格付けなど経済的に良好な状態を保つことができていることにも言及している。アフリカ投資の入門書としても本書を読む価値があると思う。


7点(とはいえやっぱり内容は粗いので)/10点満点


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