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2011/12/13

米川正子「世界最悪の紛争「コンゴ」」感想。
コンゴ分析。2011年12月12日読了。

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世界最悪の紛争「コンゴ」―平和以外に何でもある国

◆著者紹介
本書の序章で、著者自身の生い立ちについて書かれている。神戸に生まれ、父親の転勤でアメリカに住み、7歳で帰国、「ガイジン」扱いされ、中学・高校時代は再び父親の転勤でアメリカへ。大学はどこかに留学し?、その後、南ア・ケープタウン大学大学院で国際関係の修士を取得。国連ボランティアとしてカンボジア、リベリア、南ア、ソマリア、タンザニア、ルワンダで活動後、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)職員としてルワンダ、ケニア、ザイールコンゴ(2007年からの1年半はザイールコンゴ東部の街ゴマのUNHCR所長)、ジュネーブ本部で活動。現在は宇都宮大学特認准教授。アフリカ活動は17年におよぶ(うろ覚え)。

◆前振り
本書の著者は自身のブログで、震災に伴う原発事故で斜め上杉(のデマ)を全面的に信用していることを書いており、私はそれにすごく違和感を持った。というか貶した。本人のブログにも文句を書いたが、ガン無視された。

◆感想
本書はどうなんだろう、敷居がやたらと高い気がする。

語り口は比較的簡単で容易に読み進めることができる。しかしコンゴとルワンダに関する歴史に関しては、そこまで端折っちゃって大丈夫か?と思えるくらい省略されている。

FDLRとかAFDLとかRPFとかLRAとかRCDとかの紛争当事者に関する略語が、あまりにも説明不足で、これじゃあ予備知識の足りない読者はまともに理解できないだろうな、と感じたのである。

例えば、「ルワンダ難民」という言葉を用いている。

この「ルワンダ難民」は、1959年にルワンダを出て行ったツチ族なのか(行き先はコンゴとウガンダ)、1994年のルワンダ大虐殺でルワンダから逃げたツチ族(虐殺された方)なのか、大虐殺のさなかツチ族の逆襲でルワンダから逃げる羽目になったフツ族(虐殺した方)なのか、文脈からだけでは容易に推測できない。(例えば54ページの4行目とか)

※ご参考:以前私は「ルワンダ・ブルンジ・コンゴ(旧ザイール)のまとめ」というのを自分用に作ったので、わけがわからない方は読んでみて下さい。

本書の全体的な主張は、ルワンダ大虐殺を防げなかった国際社会なのに、コンゴ紛争(アフリカ大戦とも言われている)についてあまりにも報道が少ないのは何故だ。ルワンダはコンゴ紛争に関しては加害者であるはずなのに、世界各国から引き立てられるのは何故だ。それは、コンゴ紛争そのものがアメリカを中心とした資源を欲しがる先進諸国の「舞台劇」となっているからで、報道が少ないことや、国連関連機関同士の連携が悪いのも、「舞台劇」のシナリオの範疇なのではないか……

著者は国連機関の一員として長く活動したため、国連やNGO、各国政府の悪いところが見えている。そして、一向に良くならない現状に対して強い怒りを持っている。苛立ちなのかもしれない。


しかし私の印象としては、著者は長い間アフリカの紛争地に人道支援をする立場として居たため、現在の世界の動きが見えなくなっているのかな、と感じる。

世界の動きって何だよ?

最近読んだ本では、パラグ・カンナ「ネクスト・ルネサンス」やダンビサ・モヨ「援助じゃアフリカは発展しない」などに記されているように、人道支援団体は、支援すべき人が居なくなったら(≒紛争や貧困が無くなったら)、その存在意義が無くなり、結果として食いっぱぐれてしまうから、紛争屋貧困は無くならない。世の中のシステムはそのようにできてしまっている。

ということである。

また身も蓋もないことを言ってしまえば、これ以上世界の人口が増えたら、食料や水やエネルギーの争奪戦で世界中が大混乱に陥るから、世界の人口を減らすために紛争は常にあり続ける方が良いと思っている人たちが少なからず居る。(こっちは私の考え)


(P187)
「一方、常に紛争の犠牲者になる一般市民が望んでいることは、衣食住や言動の自由が守られている「人間らしい生活」ができること、と大変ささやかだ。(中略)選挙も重要ではあるが、もっと市民の視点に立ち彼らのニーズに応える必要がある。」

→だから世界各国で武装解除をやってるんじゃねーの?

※ご参考
ルワンダ大虐殺の加害者フツ族(当時ルワンダの政権を握っていた)は、大虐殺の真っ最中に被害者ツチ族率いるRPF(ルワンダ愛国戦線=現ルワンダ大統領ポール・カガメの集団)の逆襲に遭い、フツ族が難民となってコンゴに逃げ出した。そのフツ族残党が作ったのがFDLR(ルワンダ解放民主軍)。

AFDL(フランス語読み、英語ではADFL)(コンゴ・ザイール解放民主勢力連合)は、独裁者モブツを倒すためにポール・カガメらが作ったコンゴの反政府ゲリラ組織。AFDLがモブツを倒し政権を奪取すると、ルワンダ系を政権から追い出したため、怒ったルワンダ系が作った反AFDL組織がRCD(コンゴ民主連合)。

LRA(神の抵抗軍)は反ウガンダ政府の宗教団体。気が狂っている教祖が率いている悪魔の集団。


7点/10点満点

コンゴやルワンダが出てくる本で、私が読んだものは、
コーレイヴィッチ「ジェノサイドの丘(上)」のみ
吉岡逸夫「漂泊のルワンダ」
桃井和馬「破壊される大地」
石弘之「キリマンジャロの雪が消えていく」
白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ」
大津司郎「アフリカン・ブラッド・レアメタル」
石井光太「飢餓浄土」
ダンビサ・モヨ「援助じゃアフリカは発展しない」など。

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