須貝信一「インド財閥のすべて」感想。
いわゆる新書。2012年02月06日読了。
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◆前振り
2006年にツアー(に一人参加)でケニア旅行した際、走っている大型トラックの多くがタタ社製で、同じく一人参加だった田村さん(産廃会社の社長さん)が「アフリカはタタが強いんだ、どこに行ってもタタを見る」と言っていた。それまでインドの車なんてアンバサダーしか知らなかったが、帰国してから調べるとタタ・モータース(オフィシャルサイトはこちら)という会社はかなり大きいことが分かったのですよ。
当時、香港株やタイ株やロシア株の現物取引をやるくらい株にトチ狂っていたので、インドの現物にも手を出さないとなあ、と思いインドについて調べていたりした。タタも有望そうだし、インフォシスとかICICI銀行とか巨大企業がわんさかあるじゃないですか。とはいえ結果的にはリーマンショックでインド株に魅力が無くなったし、自分の資産も涙目になってしまったのでインド株の現物を買う機会はなかったが、インド市場はやっぱり有望だよな、自分の目で確かめてこなくちゃ、と世界一周の最後にインドに行ったらテロに巻き込まれました。
そんなことがありながらもインドで商売でもしようかなと調査をしていると、カースト制度が鬼のように蔓延っていて、例えば掃除は掃除専門のカーストがやるべき仕事で、経理やウェイターに「ちょっとその辺汚いから掃除しといて」なんてことを頼もうものなら、激怒されたり会社を辞められたり徒党を組んで襲われたり。そんな話がやたらと聞こえてくるので、インドで起業するってのは一筋縄じゃいかないんだなあ、と実感したのです。
◆本書の感想
本屋で立ち読みしたらタタ財閥の詳しい歴史などが書かれていたので、軽い気持ちで本書を買った。ところがどっこい、最近ありがちなライト新書じゃなくて、昔ながらの真面目で堅い新書だった。
曰く、インドの財閥の歴史は、イギリスが作った東インド会社およびイギリス人のアヘン取引に端を発し、東インド会社が徐々に撤退をはじめる頃(1800年代半ば)、デリー近郊が発祥の地となるマルワリ商人、カラチ近郊が発祥の地となるグジャラーティ商人、ボンベイ近郊が発祥の地となるパルシー商人という勢力が出来上がり、それぞれの商人グループはそれぞれに得意分野を持ち……という東インド会社の盛衰とインドの歴史とインド財閥のつながりだけで第1章丸々70ページ以上割いて説明している。
第2章以降は現代インドの3大財閥についての詳細であり、
タタ財閥はパルシー商人、創業者はジャムセトジー・ナッセルワンジー・タタ(1839-1904)うんたらかんたら、
ビルラ財閥はマルワリ商人、現在は財閥継承の際のいざこざで6つのビルラ財閥があり、主系統はアディティヤ・ビルラ財閥であり、ジャイマル・ビルラという人物が系図上確認できる最初の人物である、うんたらかんたら、
リライアンス財閥はグジャラーティ商人、ディルバイ・ヒラチャンド・アンバニ(1932-2002)が1949年に16歳で英領イエメンのアデンに渡りフランス系の商社で働き、1954年22歳で帰国し結婚し再びアデンに渡り、1958年に帰国しボンベイで商売をはじめたのが始まりである、リライアンス財閥は新興財閥でありながら2010年度の売上高は580億ドルの巨大企業である、うんたらかんたら。
第5章で、3大財閥には敵わないけどそれなりの巨大さを誇っている、TVS、アヴァンサ、エッサール、オベロイ、キルロスカ、ゴエンカ、ゴトレジ、ジンダル、バジャージ、ヒーロー、マヒンドラ、UB、ライバル、DCMシュリラム財閥についても記述がある。
ミタル・スティールのラクシュミー・ミタルは出てこない。財閥じゃないんですね。
何はともあれ、インドの歴史とインドの財閥について、入門書としては大変よろしいのではないかと思うのです。
系譜の説明=人物名が凄まじく多く登場するため、途中でゲップが出てきますけど。
7点/10点満点
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