« FaceBookで友達申請する設定(備忘録) | トップページ | 高野和明「ジェノサイド」感想。
SFクライムサスペンス。2012年06月28日読了。 »

2012/07/01

クラウス・ブリンクボイマー/渡辺一男訳「出口のない夢-アフリカ難民のオデュッセイア」感想。
ルポ。2012年06月25日読了。

にほんブログ村 本ブログへブログランキングに参加しております。
バナーをちょこっと押していただけると恐悦至極なり。

出口のない夢―アフリカ難民のオデュッセイア

ヨーロッパ移住を目指すアフリカ諸国の貧民。

自国で大学を出ても、教師の仕事も電気工の仕事も配管工の仕事もないアフリカ諸国の貧民。

アフリカ諸国の農村で農家をやっていても、食っていくことすら出来ないから、農村から大量の食い詰め者が都市にやってくる。学歴は関係ない。仕事がそもそも無い。学歴があっても働く場所がないアフリカ諸国。

運良く仕事にありつけたものは、その特権をフル活用し、親類縁者に仕事を回す。(もしくは、親類縁者はたった一人の働き者にたかる)

運が普通だと仕事にありつけない。そういうアフリカ諸国の一般人は、ヨーロッパで働くことを夢見る。

ガーナ出身者の場合、旅費を親類縁者から借金し、まずガーナからトーゴに行き、ベナンに行き、ナイジェリアに行き、ナイジェリアの巨大都市ラゴスでしばし働き金を貯め、(ナイジェリアの)ベニンシティ、アブジャ、カドゥーナ、カーノに渡り、国境を越えニジェールのアガデス、アルリット、アッサマッカに行き、国境を越えアルジェリアのタマンラセット(蔵前仁一「ゴーゴーアフリカ」にも出てきたルートだ!)、インサラー、ガルダイア、そして首都アルジェに行き、ここでまたしばらく働き金を貯め、アルジェリアからモロッコに抜け(※)、アフリカ大陸モロッコ国の敷地内にあるスペイン領、セウタやメリリャに密入国、もしくはモロッコのタンジェからゴムボートで無理やりスペインに渡る。

※アルジェリアとモロッコは国境紛争を抱えているので、通常陸路国境は閉じている。

※全然関係ありませんが、「世界206カ国」に行ったことのあるバックパッカーのWebサイトが面白いです。赤道ギニアや中央アフリカ旅行記もあります。でもアルジェリア旅行記は無いんだな。


等々の無理矢理、強引、なりふり構わず、ヨーロッパ諸国法律など関係なしに、とにかくなでもいいからヨーロッパに渡る。

それがアフリカの貧民(と言っても仕事がないだけの普通の人々)

モロッコ領内にあるスペイン領セウタやメリリャは、今や3m、5mの有刺鉄線で国境がガードされ、怪我をも構わず密入国を試みても、有刺鉄線を登っている最中に見つかれば、モロッコ警察経由で母国へ強制送還される。

アルジェリアの警察に見つかれば、「不法入国」と断定され捕まり、サハラ砂漠まで連れ戻され、水も食料もない状態でサハラ砂漠に捨てられる。

ゴムボートででヨーロッパ(主にスペイン)に行く場合、ちっぽけなゴムボートに50人、100人乗せるため、ジブラルタル海峡を渡っている最中に数人~数十人が海に落ちる。密入国は夜なので、落ちたら最後、死ぬだけ。

落ちずにスペインに辿り着いたとしても、ビーチからスペイン領内へは有刺鉄線のバリケード。

アフリカの貧民がヨーロッパに渡ろうとしていることは、モロッコ警察からスペインに通報がいっているので、有刺鉄線をくぐり抜けてもそこにはスペインの警察が待ち構えている。

それでも何とかヨーロッパへの密入国を果たしたアフリカの貧民は、夢にまで見た金持ちヨーロッパが実は移民への差別意識が強く、スペイン語もフランス語もドイツ語もまともに喋れないアフリカ人が雇用される機会は極めて少ないことを知り、新たな絶望を覚えるのである。

運良くヨーロッパで仕事にありつけたガーナ人ジョン・エコ・アムパンが、どのようにヨーロッパにやってきたのか。

本書は、ドイツのジャーナリストが、アムパンの足跡を、アムパンと一緒にトレースするすることで再現したルポである。

アムパンは、ヨーロッパで出稼ぎすべく、妻も子供もガーナに置いて旅立った。しかしガーナからドイツに渡るまで、3年以上を費やした。

ガーナからトーゴ、ベナンを経てナイジェリアに行き、金が尽きたので密入国先で闇で働き、アルジェリアに行ったら警察に見つかりサハラに捨てられ、それでも何とかニジェールに行き、ブルキナファソからマリ、セネガル、モーリタニアに行き、モーリタニアでまた働き、金を貯めて西サハラ経由でモロッコに行き、モロッコでまた働き、ようやくスペインに渡り、運良く教会に拾われ、シェンゲン協定(ヨーロッパ内はパスポート無しで行き来できる協定)のおかげでドイツに渡った。(注:うろ覚えにつき、間違ってるかも)


本書で記憶に残る文章は、経済的に豊かなヨーロッパと、貧しいアフリカ諸国を対比する言葉として

「(前略)ヨーロッパの雄牛はアフリカの人間より多くの金を稼ぐ。あなたたち(ヨーロッパ諸国のこと)の農業補助金がわれわれの農業を壊滅的にしている。われわれはヨーロッパの補助金政策によって毎年250億ドルもの輸出収入を失っていることを知っているのか? これと比べたら、あなたたちの発展途上国援助なんてお笑い種だよ。(後略)」 P128


まあ、なんだ。

地球の人口が増えすぎたんだな。


8点/10点満点


|

« FaceBookで友達申請する設定(備忘録) | トップページ | 高野和明「ジェノサイド」感想。
SFクライムサスペンス。2012年06月28日読了。 »

■アフリカ」カテゴリの記事

◇ルポ・ドキュメンタリー」カテゴリの記事

●海外作品(原著非英語)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/43036/55097255

この記事へのトラックバック一覧です: クラウス・ブリンクボイマー/渡辺一男訳「出口のない夢-アフリカ難民のオデュッセイア」感想。
ルポ。2012年06月25日読了。
:

« FaceBookで友達申請する設定(備忘録) | トップページ | 高野和明「ジェノサイド」感想。
SFクライムサスペンス。2012年06月28日読了。 »