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実話ベースの小説。2012年08月03日読了。 »

2012/08/19

メアリー・ローチ/殿村直子訳「死体はみんな生きている」感想。
死体の使い道ルポ。2012年08月01日読了。

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死体はみんな生きている

理由はさておき、私は臓器売買に並並ならぬ関心を抱いていて、無職でヒマな毎日の合間に、関連書籍を読んでいるのです。

ヒマだから毎日もっとたくさんの本を読めるハズなんだけど、毎日のように自分の職務経歴書を書いているため、というかこれがバカにならないくらい毎日続いて、いい加減嫌になるのよ、無職は辛いね。


それはさておき。


臓器売買のルポから臓器移植そのものの現実を書いた本を何冊も読んでいくうちに、

「生きている人間の頸動脈をぶった切って、人工心肺装置みたいなので脳に血液を送り続け、そのままそいつの首をぶった切って胴体と切り離したら、果たしてその脳は生きているのか死んでいるのか? (脳には血液が行き届いているし、血液を通して必要な栄養素を送り込むことも出来る)」

という疑問が湧いた。


本書にその答えの一端が載っていて、つまり私と同じことを考える医学者は既に存在していて、


でもさすがに人体実験はできなくて、動物実験に留まっているのだけれども、2頭の犬の首のすげ替え実験を行った学者が居るのだそうな。(正確には、1頭の犬の首をぶった切り、別の犬の首に取り付け、双頭の犬に仕立て上げた)

その顛末は本書の第9章「頭だけ」に載っている。


この疑問が呈されたのは、フランス革命でギロチン刑が実施されたことに起因する。

ギロチンで首をぶった切られた犯罪者は、首を切られた直後は明らかに意識があり、しばらく経ってからようやく死ぬ、という証言があるのだ。


というような話を含め、本書は「死体」がどのように扱われているかを興味深くルポしている。

本書でルポされている一例。

故人の意思により献体された遺体数十体。

この数十体の遺体は顔面の美容整形外科のトレーニングに使われる。

トレーニングに胴体は不要なため、頭は首から切り離され、頭部(生首)だけ並んだ状態で研修室に並べられている。


献体だと知っていても、首から切断された頭部だけ数十体が並ぶ研修室に入り込む著者のルポ魂はすごい。


で、首と頭部を切り離す仕事をする医師も居るわけで、この医師はインタビューに拒否的な存在であったり。


そんなこんなで、面白い本です。


7点/10点満点

※ここ数年に読んだ製薬・臓器移植・臓器売買・医療関係の本
・相川厚「日本の臓器移植―現役腎移植医のジハード」臓器移植の現実。2012年05月28日読了。9点

・スコット・カーニー「レッドマーケット 人体部品産業の真実」臓器売買ルポ。2012年04月30日読了。9点

・小松美彦「脳死・臓器移植の本当の話」生命倫理の書。2012年03月29日読了。8点

・広野伊佐美「幼児売買-マフィアに侵略された日本」ルポ。2011年09月10日読了。評価不能(内容が嘘っぽい)

・粟屋剛「人体部品ビジネス」ルポ兼思想書。2011年09月06日読了。8点

・岸本忠三・中嶋彰「現代免疫物語」講談社ブルーバックス。2011年08月29日読了。7点

・ドナ・ディケンソン「ボディショッピング 血と肉の経済」ルポ?哲学?2011年08月23日読了。8点

・岩田健太郎「「患者様」が医療を壊す」エッセイ。2011年07月17日読了。6点

・デレック・ハンフリー「安楽死の方法 ファイナル・エグジット」安楽死指南書。2011年08月06日読了。6点

・一橋文哉「ドナービジネス」ノンフィクション……?2011年02月16日読了。評価不能(内容が嘘っぽい)

・山下鈴夫「激白 臓器売買事件の深層」言い訳本。2011年01月25日読了。3点

・城山英巳「中国臓器市場」ルポ。2011年01月24日読了。6点

・青山淳平「腎臓移植最前線」ノンフィクション。2010年10月17日読了。8点

・木村良一「臓器漂流」ルポ。2010年09月09日読了。4点

・佐藤健太郎「医薬品クライシス」いわゆる新書。2010年04月29日読了。7点

・里見清一「偽善の医療」エッセイ。2009年06月10日読了。8点

・小松秀樹「医療崩壊」医療ドキュメント。2007年06月22日読了。8点

・マーシャ・エンジェル「ビッグ・ファーマ」製薬業界告発ドキュメンタリー。2006年09月04日読了。8点

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