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2013/04/30

ダウド・ハリ/山内あゆ子訳「ダルフールの通訳」感想。
虐殺体験記。2013年04月20日読了。

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ダルフールの通訳 ジェノサイドの目撃者


スーダンの話。

スーダンの首都ハルツーム周辺は、アラブ人が政財界を牛耳っている。
ダルフール地方はフール人やザガワ人などが暮らしている。

アラブ人の政界と軍は、ダルフール地方の非アラブ人を全滅させようと、民族浄化を始めた。

著者ダウド・ハリ氏は、ダルフールの田舎町に住むザガワ族。中学高校は、ダルフール一の都会であるエルファシェルに通った。この都会で英米の映画や文学に触れ、むさぼるように英語を学んだ。

高校卒業後(だと思う)、ラクダとトラックを乗り継いで、サハラ砂漠1600kmを縦断してリアビアに行き、レストランで働いた。その後、給料の良いエジプト紅海沿いの町に移った。リビアのビザはあったが、エジプトのビザは持っていなかった。

エジプトの10倍稼げるという話に釣られ、イスラエルを目指した。国境で捕まり、エジプトのアスワン刑務所に収監された。このまま行くと、スーダンに強制送還(スーダン政府に引き渡され、たぶん処刑される)されるところであったが、たまたまポケットに入っていて刑務官にも見つからず残っていた100エジプトポンド札(20米ドル)を看守に渡し、家族に電話してもらった。家族はヒューマンライツウォッチなどの国際NGOに連絡を取ってくれた。その後著者はカイロ刑務所に移送され数ヶ月を過ごしたが、スーダン政府に引き渡されることなく、エジプト強制退去だけで済んだ。

カイロからチャドへ従兄弟が買ってくれたエチオピア航空で飛んだ。チャドの首都ンジャメナに降り立ち、スーダンとの国境の町アベシェに行った。ンジャメナとアベシェは960km、悪路が続き4WD車で2日かかる。

アベシェの町はダルフール難民が数万人から数十万人いて、難民キャンプが設置されていた。


大きな地図で見る


著者はザガワ語(ダルフールの言葉)とアラビア語(スーダンの公用語)と英語を喋れる。

そこで、ダルフール難民を支援する国際NGOや、取材するジャーナリストの通訳をすることにした。就労ビザを持っていないので、チャドの法律に違反している。そこで著者はチャド人を自称することにした。

しかし、ザガワ族は、大人数であっても狭い社会で、普通に難民キャンプを歩いていると、顔見知りがたくさんいて、著者がダルフールのザガワ人であることがばれてしまう。

それでも、通訳の仕事をした。ニューヨークタイムズやBBCとも仕事をした。

ナショナルジオグラフィックのポールと仕事をした。

ポールと最後の仕事で、チャドからスーダン領ダルフールに行って、ほんの数時間インタビューしようという計画が上がった。国境界隈のチャド人ですら「このルートは危険だ」という場所へ、相場の3倍の値段を出すから行ってもらうことになった。

スーダン領で政府軍に捕まった。(著者・ポール・運転手)
密入国とスパイ容疑。

政府軍の基地に連れて行かれた。

3日間殴られ続けた。肋骨や指の骨が折れた。

1滴の水もないまま、ダルフールの砂漠に宙づりにされた。

刑務所に連れて行かれ、3人別々に拷問された。

少年兵が上官に命じられ、3人を殺すと言ってきた。著者は少年兵を説得した。

ポールを助けるため、アメリカ軍が介入してきた。

裁判所でアメリカ軍の将校が見守ってくれていた。

さらに、ニューメキシコ州の知事も介入してきた。ビル・リチャードソン

著者・ポール・運転手の3人は、リチャードソン知事のジェット機で、ハルツーム経由でチャドのンジャメナに戻ることができた。

(但し、この3人を助けるためにチャドから駆けつけ、スーダン軍に捕まってしまった2人がいるが、この2人の消息は不明)

8点/10点満点


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