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2013/08/31

トーマス・フリードマン/伏見威蕃訳「フラット化する世界・増補改訂版(下)」感想。
グローバリゼーション解説書。2013年08月23日読了。

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フラット化する世界 [増補改訂版] (下)


下巻も読んだ。読むのに時間を要する本だった。上下巻あわせて約2週間かかった。

著者が言うフラットな世界とは、インターネットの本格的な普及によって、世界中で地域格差が減少していくことである。ビジネスはもちろんのこと、教育格差もどんどん減っていく。

本書の最初の版は2004年に書かれているので、古くささを感じるところが多少あったが、書かれた時代(WindowsXPが出たあとで、VISTAが出る前)を考えると、2013年の今読んでも参考になる部分がたくさんあった。

以下、面白かったところ。引用ではなく要約です。

(上巻)

(p82)
・資本主義は人を不平等に金持ちにする。これに対して共産主義は人を平等に貧乏にする

(p109)
・アメリカでITバブルが起きた(19090年代末期)。これにより、光ファイバー関連銘柄に大量の資金が集まり、世界中の地上と海底に、大量の光ファイバーを敷設した。ITバブルが弾け、光ファイバーを敷設した会社が次々に潰れた。

潰れた会社の資産(光ファイバー網のことだ)は、(倒産整理の一環で)格安でどこかの会社が引き受けた。どこかの会社は、倒産整理で格安で仕入れた光ファイバーを使ってインターネットを世界中に広めた。世界中で光ファイバー=インターネットのコストが安くなった。電話回線の代わりになるくらいに。

つまり、今のインターネットの普及は、ITバブル時に光ファイバー銘柄に投資して、大損こいた人たちのお陰。

(p167)
・オープンな環境で何かを開発する。それはソフトウェアだけではない。金鉱脈を探すのにも使われている。カナダの鉱山会社は、自分たちが所有する土地のデータをネットで公開し、広大な土地のどこに金鉱山があるのか探しあてるコンテストを開催した。通常、鉱山会社が自身の所有する土地の情報を公開することはあり得ない。しかしカナダの会社は公開し、世界中の鉱山学者や地質学者や鉱夫が応募し、実際に金鉱脈が見つかった。

(下巻)

(p46)
・中国にすべてを賭けたいと思う人間はまずいない。文化、ビジネス習慣、法体型など、アメリカと異なりすぎている。一言でいうと、信頼が足りない。

(p88)
・現在の中国では、ビルゲイツはブリトニースピアーズ並みのスターなのだ。アメリカではブリトニーの方がスターだ。それがアメリカの抱えている問題だ。

(p110)
・以前は、終身雇用は会社の責任だった。フラット化した現代では、従業員の責任である、雇い続けてもらえるように自分の技量を高める必要がある。

(p155)
・インドで創業する。失敗したとする。廃業手続きが完了するまで10年かかる。インドで失敗した創業者は、ちゃんと廃業せずに、どこかに行方をくらます。会社の資産を全部換金して、全部持ち逃げする。

(p193)
アメリカとの時差を上手く利用して、インドがアメリカの様々な事業を手がけていることはよく知られている。アメリカが夜の時間帯、インドは昼間である。
アメリカで昼間やっていた仕事の続き(プログラムだったり、ビルの設計だったり)を、インド人が夜行う。
アメリカの24時間コールセンターは、インドの会社が引き受けている(最近はフィリピンが請け負っていることが多い)。
アメリカの会社員がPowerPoint資料を明日の朝までにまとめたい。夜インドに発注すれば、完璧な資料が翌朝にできあがっている。徹夜する必要などない。

・今、南米のウルグアイでは、インドとの時差を利用して、インドの会社が夜の時間帯に、インドの会社のプログラムの続きを引き受ける会社が出てきている

(p266)
ムハマドユヌス率いるグラミン銀行が手がけるマイクロクレジット。を筆頭とした社会起業家に関して、

・魚一尾を与えても一日の糧になるだけだが、漁を教えれば一生食べていける。付け加えると、その漁業が大きくなるようにすれば、家族だけでなく、村の半分が食べていける。

→今は、この考え方は間違っていることが分かっている。資源の量は限られている。資源の供給過多になれば、価格は下落する。

(p340)
・社会主義体制は、ソ連を筆頭にほとんど崩壊した。資本主義は格差を拡大させる。社会主義を信奉する左翼系勢力は、「グローバリゼーションが格差の原因」「私たちは貧困層を代弁している」というようなを言う。

しかし、既に世界中で経済的に失敗したことが実証されている社会主義体制を(今さら)推進させることは、貧困者を代弁しているどころか、「貧困層は貧困層のままにしておく連合」に等しい。

(p374)
・中国は、アフリカのスーダンやアンゴラなど、独裁者や独裁政権が牛耳っている国から大量に石油を買っている。世界政治の世界では、中国は国連などでの得票を得るため(もしくはアフリカの国々の資源を占領するため)、アフリカの独裁者に金をばらまいている的な批判がなされるが、中国政府の高官は「どこも占領する意図はないのです。ただ、(石油争奪戦という)ゲームに加わるのが遅かった(以前中国は石油輸出国だった)から、まわりを見回したら、空いた席がどこにもなかったのです」

中近東や南米の油田は全部欧米諸国に抑えられているから、アフリカの独裁国家の資源に手を出すしかなかった、ということらしい。

(p387)
・デルでPCを買うときは、電話注文の方がお得。デルのPCに使われる部品は、2時間毎に数時間後に不足する部品を予測し、2時間毎にデルから部品メーカーに必要数が発注される。

部品メーカーのトラブルで、何かの部品が足りなくなったら、デルの電話受注オペレーターにその情報が行く。

例えば8GBのメモリが足りなくなり、16GBが多少余っている場合、8GBのメモリを頼んだ顧客に「今ならわずか100ドルでメモリが16GBにアップグレードできます。2時間限定のキャンペーンです。どうしますか?」

かくして、8GBのメモリが足りなくなる事態は避けられた。

(p448)
少し前まで、イスラム教に於ける聖職者は、イスラム教の内容を深く理解し、知識もあり、尊敬される人物だった。

・中東のヨルダンで、1989年から教育改革が改善され、西洋諸国のような近代化を目指した。製造業を立ち上げようとした。
その結果、ヨルダンの大学入試に於ける成績優秀者は医師かエンジニアになり、最低の成績者がモスクの聖職者になった。

ヨルダンは、2004年に、モスクの祈祷指導者の教育資格を改革することになった。

7点/10点満点


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