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2013/09/23

井上信一「モブツ・セセ・セコ物語」感想。
独裁者の伝記?2013年09月06日読了。

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モブツ・セセ・セコ物語

9月13日からの3連休で風邪をひき39度の熱を出してから、ずっと調子が悪くブログもほったらかしでした。ようやく少し体調が戻ったので再開するであります。


本書は、コンゴ(キンシャサが首都で旧ザイールyと呼ばれていた方)の独裁者、モブツの伝記です。


●amazonより引用

◆内容紹介
 ブッシュが「最大の友人」と讃える横で民衆は叫んだ、「人殺しのモブツ!」と

 ザイールが宗主国ベルギーより独立した1960年から、アフリカ「最凶」の指導者モブツ・セセ・セコが失脚するまでの37年間を描いたルポルタージュ。

 冷戦下、反共産主義の旗手となることでアメリカからの莫大な支援をとりつけ(当時のCIA長官はブッシュ)、400部族が割拠するザイールを時には聖霊降臨祭という聖なる日にもかかわらず公開処刑を実施するなど、暴力的制裁を厭わない強烈な独裁主義で統一した。
 しかし、ソ連解体による冷戦体制の終焉を迎え、アメリカはモブツの利用価値を失って見捨てるように支援を打ち切り、ローラン・カビラ率いるコンゴ/ザイール解放民主勢力同盟(AFDL)の軍事クーデターに屈する。

◆著者からのコメント
・ベルギー植民地からの独立1960年から失脚する1997年までの37年間をまとめ、モブツの半世紀であるとともに、アフリカ現代史としての資料的価値もある。
・ザイールの英雄は、なぜ民衆に愛想をつかされ、コンゴの仇敵となったのか。
・アフリカ人の伝統的価値観・人生観を見直し、アフリカ本来の人間性に回帰する《オータンティシテ運動》を提唱し、一部知識人から評価を受けた。
・400に及ぶ部族が割拠するコンゴを強烈な独裁制をもって統一し、中央集権国家を樹立した。
・アフリカ反共の砦としてアメリカ、西欧諸国の支援と、CIAの陰謀があった。
・AFDL(コンゴ/ザイール解放民主勢力同盟)軍のキンシャサ政府打倒クーデターに屈した。


●感想

本書は2007年に出版された。著者は1933年生まれの方で、東京外語大を出たあと外務省に13年勤務し、その後、民間企業「日本鉱業(現新日鉱HD)」に移り海外資源開発に従事。コンゴなどに駐在。本書は、著者が書いた唯一の本である(たぶん。検索しても出てこないので)

出版されたことを何かで知った私は、本書をすぐに手に入れた。しかし、コンゴを含めたアフリカ全般の知識が足りず、今ひとつ理解が深まらなかったので、途中放棄した。

それから6年が経ち、アフリカ諸国の本をたくさん読んだ今なら、理解を深めることが出来ると思い、再チャレンジした。6年間の読書は無駄ではなく、本書に書かれていることの多くを理解できた。

本書は、モブツというアフリカの独裁者に焦点を当てたノンフィクションだが、よくもまあモブツ一人に絞り込んで本を書けたなあ、と思っていたが、本書の出版社は「新風社」という会社で、書店流通に乗っかる自費出版を手がけていた出版社である。つまりたぶん本書は自費出版なのだな。ちなみに新風社は既に破産した模様。

本書は全編に渡りですます調で書かれていて、ノンフィクションらしからぬ文体であり、読みづらい。しかし書かれている内容はかなり密度が濃く、フランス語(コンゴはベルギー領でフランス語圏)で書かれたモブツ関連書籍にも目を通し、良くここまでまとめ上げた物だと感心する内容である。

・1885年、ブラザヴィルコンゴを含めたこの地域一帯は、ブラザヴィル一体をフランスが、アンゴラの一部をポルトガルが、残り=ザイールコンゴをベルギーのレオポルド2世の個人領として分割された。(その後ベルギーは、第一次世界大戦に協力した見返りに、ドイツからルワンダとブルンジをもらった)

・第二次世界大戦でベルギーはドイツに占領され、ベルギー政府はロンドンに亡命したため、コンゴは(たぶん)ドイツ軍の基地として使われた。

・第二次世界大戦終了後ベルギー領に戻ったが、ベルギー人が経済支配していることに怒るコンゴ人が出てきたことにより、1960年ベルギーから独立。

・1930年生まれのモブツは頭が良く、教会でフランス語とカトリック教理を学び、19歳で軍に入る。軍で報道官になり、機関誌の編集を行う。

・7年の兵役を終え、26歳になったモブツは、ジャーナリズムに専念する。この時期、ベルギーに渡航の機会を得て、ベルギーの公安関係者と接触し、(コンゴの情報をベルギーに渡す)内通者となり、ベルギーにしばらく滞在。


この後、コンゴの軍を掌握し、クーデターを起こし、政権も掌握する。

政権を掴んだ後は、ベルギー人に搾取された金を取り戻す!とベルギー企業を国有化したり、金をくれなきゃ共産主義に行くぞ、とCIAやフランス政府やIMFを脅して金をせびる。

政敵は徹底的に叩く(というか全部殺す)。

政敵の殺し方は容赦なく、「生きたまま耳を削ぎ、鼻を切り取り、目をえぐり、生殖器を切り落とし、腕も足も切り落とし、残った部分を袋に詰めて河に捨てる」くらい容赦がなかった。


32年も独裁者の地位にあったモブツの伝記は、そのままコンゴ史と言い換えることが出来る部分も多々ある。実際本書では、モブツと敵対する政治グループがどのように組織されていったのかにも、大きくページを割いているし、コンゴという国がどのように世界を渡り歩いてきたのかも分かる。


個人でここまで調べるとは。感服。


8点/10点満点


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