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2013/09/29

トマス・ロバート・マルサス/斉藤悦則訳「人口論(光文社古典新訳文庫)」感想。
古典。2013年09月11日読了。

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人口論 (光文社古典新訳文庫)

1798年に出版された古典を読みました。

大事なことなのでもう一度書きます。1798年(タイプミスではない)に書かれた古典を読みました。

著者はマルサス

アメリカがイギリスから独立したのは1776年。本書が書かれた当時、アメリカは新興国であった。そのアメリカの人口推移(動向)を分析すると、耕作面積は25年経つと2倍になり、50年経つと3倍になるが、人口は25年で2倍になり、50年で4倍になる。

その分析結果などを基に、マルサスは人口に関して考察した。

解説にも書いてあるが、本書の内容を大ざっぱに言うと、
・人口増加の速度に比べ、食料生産の速度は遅い。従って、野放図に人口が増加すると、いずれ食料危機がやってくる(食料争奪戦争が発生する)

・人間から性欲が消えることはないので、人口は増加し続ける。

と言うことである。


これが1798年に出された本である。今読んでも、じゅうぶん過ぎるほどに通用する。


以下、気になったところ。

・(人口増加などを含め、国家の様々な動向を知ろうにも)歴史は上流階級の所有物なので、一般庶民の歴史的な動向は掴めない。

・p53「近代では将来の不安ゆえに当然なされる人口抑制も、先々のことを考えない無謀な野蛮人のあいだでは、おそらくほとんどなされまい。居場所を変えれば生活がよくなるという通年、行き先で略奪すればよいという常識、いよいよ困れば子供を奴隷として売ってしまうという権力、そのうえに野蛮人の生来のいい加減さが加わると、人口はどんどん増えていく。それは結局は、飢饉あるいは戦争によって抑制されるしかないのである」

・(金持ちが貧乏人に金を分け与えるという給付金政策は)十分な食糧供給があるのならばまだしも、食料の絶対量に限りがある場合、いままでは金持ちだけが買えていた食料に、貧乏人も買おうと群がるため、結果食料の値段が高騰する。そうすると、給付金政策は意味が無くなる。

・メキシコ、ペルー、エクアドルのスペイン植民地政策は誠に酷い物だった。母国の専制政治がそのまま持ち込まれ、国王により法外な税が課せられ、貿易には国王の勝手気ままな制限が加えられた。しかし、リマ(ペルーの首都)もキト(エクアドルの首都)も、元々は小村だったが、スペインが征服した後、50年ほどで人口5万の都市に発展している(50年前は数千人くらい?)。広大で豊かな土地が無償(征服したから)で得られると言うことは、人口増加の強い原動力なのだ。

・結婚をためらう若者が多いのは、結婚を解消する制度が貧弱だからなのだ。

・(社会は平等であるべき論に関して)「みんなが揃って裕福になるのが普通になってしまうと、各人の人格は向上せず、むしろ堕落する」


この本は、1700年代に出版された他者への質問書のような体裁(手紙の代わりに出版したような体裁)であり、時代を考えるとやむを得ないのであろうが、元の話(他者の論文)を知らないからなんのこっちゃわからんような始まり方をするので、多少減点する。古典に苛立ってもしょうがないんだけど。


8点/10点満点


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