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2013/12/07

ローレンス・ライト/平賀秀明訳「倒壊する巨塔(上) アルカイダと「9・11」への道」感想。
ルポ。2013年12月04日読了。

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倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道


私的10点満点のルポ。


ビンラディンはどうやってアルカイダを作っていったのか。

を、徹底した取材で解き明かす本書。とりあえず上巻は10点満点。

9.11関連の本としては、
・高木徹「大仏破壊」2005年09月08日読了。9点
・朝日新聞アタ取材班「テロリストの軌跡」2012年01月16日読了。7点
を読んでおり、

取材対象がちょっと違うけど
・山田敏弘「モンスター 暗躍する次のアルカイダ」2012年04月24日読了。10点満点

タリバンに翻弄されたアフガニスタン人の叫び
・モフセン・マフマルバフ「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」2012年09月04日読了。8点

などを読んでいる。


1948年、エジプトの作家兼教育者サイイド・クトゥブは、エジプト政府を批判したため、エジプトにいられなくなった。友人が金を出し、彼はアメリカに渡った。しかし、消費大国、性的娯楽大国、欲望大国アメリカに苛立ち、イスラム原理主義を説いた。

1950年、クトゥブはカイロに戻った。ムスリム同胞団などの団体とも協調しながら、そしてサウジアラビア政府から金をもらいクーデターを計画した。失敗した。当時のエジプト大統領ナセルはクトゥブを捕まえ、死刑に処した。死刑は、クトゥブを神格化してしまう最悪の選択だったが、死刑回避を命ずることはできなかった。


エジプトの中流階級に生まれたアイマン・ザワヒリは、1974年に大学を卒業し医者になった。エジプト軍の従軍医になった。過激な思想を持つザワヒリは、ジハード団を結成した。


第二次世界大戦以前は、イスラムの世界で「反ユダヤ」的思想はほとんど無かった。もともとイスラム教徒とキリスト教徒、ユダヤ教徒は、アラビア半島を中心に同じ土地で暮らしてきた。オスマントルコを含め、イスラム教徒がこの地域の権勢を保っていたが、イスラム教に反目しない限り、信教の自由はあった。しかし、オスマントルコの凋落と、第二次世界大戦でのナチスにより反ユダヤ思想が世に広く知れ渡るようになったため、イスラムの中にも「反ユダヤ」が生まれた。


エジプトのサダト大統領は、イランのホメイニ師を「イスラムを物笑いの種にした……常軌を逸した人物」と評していた。


ウサマ・ビンラディンの父親ムハンマド・ビンラディンは、イエメンからサウジアラビアに移り住んだ。ムハンマドは建設業で名をなし、堅実な仕事ぶりでサウジ政府から厚遇された。サウジの首都リャドに建てられた初めての鉄筋コンクリート製宮殿、メッカのモスクなど、イスラムの聖地に関する建築も引き受けるようになった。原油価格の下落でサウジ政府の国庫が尽きたとき、ムハンマドはサウジ王族に金を貸した。ファイサル皇太子(後の第3代サウジ国王)とは、特に昵懇であった。


以下、1時間かけて書いた内容がniftyココログのクソ仕様のお陰でぶっ飛んだ。なので簡単に書く。


ウサマ・ビンラディン(1957年生まれ)は、何十人もいるムハンマドの息子(wikipediaによると55人)。大学1年の時、ムスリム同胞団の友人が出来る。イスラムの師は過激な思想の持ち主。師の影響を受け、堕落したサウジ王族を批判する。


サウジ王族を批判するが、皇太子に金を貸すほどの金持ち実業家ビンラディングループの息子なので、ウサマはそれほどおとがめを受けず。


鬱々していたウサマは、当時ソ連に攻められていたアフガニスタンに行く。戦闘に参加するわけではなく、金を持っていってゲリラ闘士に渡しただけだったが。


この頃、ザワヒリと知り合う。


アフガニスタンとソ連が戦争をしているとき、パキスタンにアフガン難民が多数やってきた。難民を支援するため、クウェートが金を出して(パキスタンに)赤新月社(赤十字のイスラム版)が作られた。ザワヒリはそこで医師として働いた。赤新月社はジハード団の拠点となった。


ウサマは同じように鬱々としたサウジの青年を組織し、アフガニスタンに加勢に行く。しかし、アフガンゲリラから、アラブ人は役にたたないから帰れと言われ、自尊心が大いに傷つく。


で、ウサマは相変わらずサウジ王族を批判する。何で批判するかというと、サウジ王族は石油で儲けた金をしこたま懐に入れ、金に飽かせて欧米諸国で豪遊三昧、酒も女も金で自由自在。それを見て、イスラムの教えはどこに!と怒る。


さすがに王族は頭に来て、ウサマ、テメエこの野郎となった。そしたらウサマはスーダンに呼ばれた。呼んだのはハッサン・トラビ(リンク先は英語)というスーダンのイスラム原理主義者。


ウサマとトラビはお互い相容れなかったが、金が欲しいトラビと、居場所が欲しいウサマはお互いに妥協。


ウサマがビンラディングループからもらっている小遣いは1ヶ月100万ドル(だったかな?)。この金額は、経済が疲弊していたスーダンではナンバー1の投資家になってしまうくらいの金額だった。


ウサマは、投資の見返りにスーダン政府から土地をもらった。


スーダンで農業を始めたウサマは、こういう生活も悪くないな、と感じていたが、いろんな輩にそそのかされて過激なサウジ王族批判をしているうちに、サウジ王族が本気で怒ってしまって、サウジ国籍を剥奪された。


的な内容。


圧巻。


この本に10点付けずして、何に10点を付けるというのだ。


10点/10点満点


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