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2014/04/29

宮脇俊三「中国火車旅行」感想。
紀行文。2014年04月16日読了。

宮脇俊三氏は、鉄道が大好きな紀行作家さんです。故人です。今で言うところの、「時刻表大好き乗りテツ」です。

本書は、
1985年の北京-広州
1986年の上海-烏魯木斉(ウルムチ)
1987年の大連-哈爾浜(ハルビン)
1987年の成都-昆明

の中国4路線の鉄道旅が載っています。


私が初めて中国に行ったのは1997年で、この頃はまだ中国渡航にビザが必要でしたが、それでもかなり自由に街中を歩けました。
 
1985年は、本で読んだ知識ですが、中国旅行には中国政府が指定する旅行会社のガイドと一緒に旅をしなければならず、自由旅行は認められていなかった頃です。

著者宮脇俊三は、鉄道に乗れればそれで満足なので、不自由旅行の中国旅行も、それほど不自由に感じていません。

時刻表マニアックな部分は好き嫌いがあると思いますが、30年前の中国がどのようなところだったのか、ほんのひと昔前なのに、昔の中国はこんな国だったのか、的な驚きを感じられると思います。


本書の内容とは関係ないのですが、中国というのは過去を捨てる国というか、過去を大事にしない国というか、日本以上に古いモノを大事にしない国だなあと思うのです。

三国志の「赤壁の戦い」に出てくる赤壁は、いま、どこにあるか分かりません。

マンガのキングダムは「秦の始皇帝」の時代の話ですが、合従軍が攻め入る函谷関は、「項羽と劉邦」の時代にぶち壊され、今あるのは最近担ってから復刻されたモノです。

これに限らず、中国の歴史的な場所は、けっこう悉く後代の施政者によってぶち壊されています。


要するにですね、旅行者にとっては愛想がなくやる気のない中国人ばかりだった頃から、少しだけ自由経済が認めレら出した頃。それが著者が中国を旅した時。

著者が旅する以前は、商店で「これ下さい」と言うと、取り出すのが面倒なので「無いよ=メイヨー(没有)」と答える中国人ばかりで、1980年以前の中国旅行記は無気力中国人との戦いだった。なぜ商店まで無気力だったかというと、商店も共産主義の中で計画経済に組み込まれており、打っても売らなくても給料は変わらなかったから。

1990年以降の中国旅行記は、中国が経済開放され、急速に発展していく過程→都市部発展、田舎は田舎のまま→貧富の差が果てしなく拡大していく。中国がドラスティックに変化していく様を書いている旅行記が多いのです。

本書は、やる気のない国民に、商売の自由を与えて(本書では主に駅のホームで弁当屋お土産を売る商人が自由気ままに活動する様)、中国人が活気づいていく、まさにその最中に旅行した文章です。偶然とは言え、かなり重要な時期に旅行した内容を記した紀行文、という気がします。


6点/10点満点

鉄道大好き宮脇俊三の鉄道紀行文はこちら

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