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2015/04/26

ロバート・D・カプラン/奥山真司訳「地政学の逆襲」感想。
地政学。2015年01月08日読了。


地政学(Geopolitics)とは、地理的要因が政治や国際関係に影響があるを研究する学問である。地政学とは、学問的な主流から外れ、廃れかけているらしい。

本書は、全世界的なネットの普及(情報格差が減る)や空路の発達(物理的な移動時間が短くなる)によって、世界の距離は今まで以上に短くなり、それに伴い(学問的には傍流になりつつある)地政学の重要性が大きくなっていくと言うことを説いている書である。


本書でもっとも興味深かったのは(p154)
「(レバノンの)ヒズボラはベイルートの政府をいつでも望むときに転覆させることができるが、あえてそうしない。国家は特定の原則に従わねばならず、そのため狙われやすくなるからだ。」

レバノンは宗教のモザイク国家と呼ばれていて、
 キリスト教マロン派(大統領)
 イスラム教シーア派(国会議長)(ヒズボラはシーア派武装組織で現在は政党)
 イスラム教スンナ派(首相)

現在の宗派別の議席 宗派 議席定員(wikipediaより引用)
 マロン派 34人
 ギリシャ正教会 14人
 ギリシャ・カトリック教会 8人
 アルメニア教会 5人
 アルメニア・カトリック教会 1人
 プロテスタント 1人
 その他宗派※ 1人
 キリスト教総定員数 64人

 スンナ派 27人
 シーア派 27人
 ドゥルーズ派 8人(シーア派のイスマーイール派から分派)
 アラウィー派 2人(シーア派から分派したと言われているが、シーア派でも異端扱い。シリアのアサド大統領がこの派)
 イスマーイール派 0人
 イスラム教宗派総定員数 64人

 総定員数 128人


ヒズボラはこの中のイスラム教シーア派の武装組織である。ヒズボラはレバノン軍より強く、イスラエルとたびたび戦闘している。ヒズボラはレバノンに拠点を構える私兵軍なので、ヒズボラがイスラエルを攻撃しても、国と国の対決=戦争ではない。

ヒズボラが軍事クーデター(軍じゃないからちょっと違うが)で政権を転覆させるのは簡単であるが、もしそうすると、ヒズボラがイスラエルと闘うことは=戦争となってしまうので、国際社会の通念上都合が悪い。

なのでヒズボラは、軍事力を維持したまま私兵として活動している。


本書は、もともと地政学を学びたくて地理学を学び始めた私にはとても有益な一冊であった。


なお、本書のレベルを敢えていうなら、地政学に興味のある大学4年生以上向けの本であることを書き添えておく。


7点(古典の紹介部分がイマイチ)/10点満点

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